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囚われ契約~秘密の願望かなえてあげる。~

  • 作家桜井真琴
  • イラストnira.
  • 販売日2018/02/23
  • 販売価格700円

千鶴は二年付き合った恋人に裏切られ、「今度こそ本当にもう懲りた」と仕事に生きることを決意する。建築士の卵でもある千鶴は、憧れを抱き続けてきた世界的に名の知れる若手建築家の御堂啓介のもとで修行できることになり、胸を弾ませる。しかし、初対面で現れたのはその日の朝、最悪の出会いをしていたその人だった。傲慢で自分勝手…と口では悪態をつくが、仕事の面では尊敬できる存在…おとなしく御堂の元で働き始めるのだが、そんなある日、「契約しよ。キミは絶対に僕のことを好きにならない。僕も好きにならへん」御堂から秘密の関係を持ちかけられる。不安を覚えながらも承諾してしまう千鶴だったが──御堂に切なく翻弄されていき…

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プロローグ
 突然、前触れもなく挿入された指に反応し、私は汗ばむ背中を大きくしならせた。
「あんッ……」
 少しだけ痛みがあったが、うまくごまかして感じたような声を放つ。
「すげぇな。この濡れ方。千鶴(ちづる)ってエロいよな」
「やだっ」
 恥ずかしい。息が上がる。体温が上昇する。
 羞恥に腰をくねらすが、真人(まさと)が身体を両脚の間に差し入れてきて、逃げられないように押さえられる。それどころか両方の脚をすくいあげられ、恥ずかしくも開脚させられてしまった。
「それっ、やだってば」
 言っても、聞いてくれない。いつもの通りだ。このあとの順番も、私の頭の中ではうっすらとわかっていた。
 彼の熱いモノが太もものあわいに押しつけられる。ググッと圧力をかけられ、めり込むように入ってくる。
「ううんっ……ああっ」
 この瞬間を言葉になんかできない。愛しい人のものが胎内に収まる瞬間。私は至福に包まれて、腰が甘く痺れる。
 彼は髪を撫でながら、キスをして腰を動かしてくる。まるで決められたルールのように、いつも寸分違わぬ行為。でもおざなりではない。それが彼のもっとも好きなルーティンならば、不満なんか何もない。
「ああんっ、ああっ、ああっ」
「すげえ気持ちよさそう。これ、いい?」
 薄目を開けると、彼の興奮した顔があった。汗がぽたっ、と胸元に落ちた。セ●クスの匂いが結合した部分から湧き出てくる。
「うん、ああんっ……だめっ、ああっ」
 気持ちいい……はず。でもまだなんか余裕がある気がするような、ないような。
(私、本当に気持ちいいのかな? それともこれって演技なの?)
 自分でも本当に感じているのか分からなくなる。自分の演技に自分で騙されているような感覚。大好きな彼にされながら、こんなことを考えられる余裕。無心に快感に溺れられていない自分は、もしかしたら不感症なんじゃないのか。
 わからない。わからないけれど、でも、彼のことを考えていると満ち足りた気分になるのだから、それだけで十分だと私は幸福を噛み締める。
「わるい。来週なんだけど、仕事で行けなくなった」
 真人はスーツを身につけながら、あっけらかんと言い放った。
「えっ」
 ベッドの上から驚いた声をかける。彼はホテルの部屋にある姿見で、髪型とネクタイを直しながら、肩越しにちらりと私の方を見た。
「そんな顔するなよ。仕事が忙しいのはわかってるだろ」
「……うん。じゃあ、いつにしようか」
「そうだな……今ちょっと……うちさあ、来週からイベントやるだろ。あれにかかりっきりになりそうなんだよな」
 真人は不動産デベロッパーの営業マンだ。成績はトップクラスらしく、それだけに三十歳と若いながらも、どこか堂々としていて貫禄というか存在感がある。年中、日に焼けているのは単にアウトドア好きというだけなのだが、遊んでいる風にも見られがちであった。
 彼と出会ったのは二年前のこと。大手のハウスメーカーで建築士見習いをしていた私が、打ち合わせに行った先に彼がいたのだった。彼は私を見るなり、すぐに声をかけてきた。
「こんな綺麗な人がいるとは思わなかったなぁ」
 軽い人だな、と思ったけれど、彼のペースに乗せられているうちに、いつの間にか付き合うようになってしまっていた。
 彼は私と同じく平日休みだったから、ちょうどよかったのもある。
 そうこうしているうちに、もう付き合って二年。
(そろそろ将来のこと、真剣に考えて欲しいと思うけど)
 私、田崎(たさき)千鶴は今、二十七歳。人生を俯瞰してみれば結婚適齢期だろう。結婚して、子供をつくり、幸せな家庭をはぐくむ。今の私にはそれがゴールにしか見えなかった。
「……じゃあイベント終わったら、また考えてくれる? それとも、ウチの両親に会うのはまだ早い?」
 私が拗ねたように言うと、彼はふっと顔を寄せてきた。
「そんなことないよ。もう二年も付き合ってるんだから、そろそろだろ?」
(あっ、これプロポーズ……かな)
 今まで、あまり男運がよかったとはいえなかったけれど、これでようやく断ち切れそうな気がする。

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