夢中文庫

オレ様教授のヒミツの研究室

  • 作家アドウマドカ
  • イラストもなか知弘
  • 販売日2016/01/29
  • 販売価格400円

「貴重な研究のひらめきが導けるのなら、どんなお手伝いでもします」「ひらめきそうだ。早速、役に立ってもらおうか」――明日香は、兄亡き後研究に没頭する理系女子。ある日、兄の親友だった広尾から兄の研究を横取りした神木田教授に復讐をしないかと持ち掛けられる。神木田教授の好みド真ん中の見た目だという明日香は、広尾の計らいで研究室就職、教授に接近して……唯我独尊、超絶変人の神木田教授に身体を弄ばれつつ、たまに見せる優しさに、身も心もに惹かれていく明日香。復讐を迷いながらも、広尾からの指示で参加した怪しげな説明会で忍び寄る魔の手。真に復讐するべき相手は? 広尾の目的とは? 愛と復讐に揺れるサスペンスラブ。

一、~グロッサンビセージュプパン~童顔巨乳
「私を、東京の研究所に紹介してくれるんですか?」
 厚手のコーヒーカップを両手でつかんで、清澄明日香(きよずみあすか)は正面の男に問いかけた。
 東京の研究室、それは日常が一変するきっかけとしては劇的過ぎる。
「そ、僕と優仁(ゆうじん)がいた大学院の分室なんだけど明日香ちゃん、そこで助手の仕事しない?」
「お兄ちゃんと広尾(ひろお)さんがいた……」
 渋谷にあるその研究室は、都会の真ん中というイメージがある。
 ビルに人ごみ、渋滞する車、さっそうと歩くお洒落な男女。
 明日香が暮らす葉山の住宅地は、最寄りの逗子駅まで長い坂を下ってバスで十分ほどかかる。途中、海が見えて山道を通る。マリーナや別荘地のある気取った街の印象が強いが、実際はただの田舎町だと明日香は思う。
 生まれ育った海辺の町から東京へは、それほど遠くないけれど、渋谷の街はまるで異世界のように明日香には感じられていた。
 逗子の駅前にもかろうじてシアトル系のコーヒーショップがあって、静かな駅前にあるスタイリッシュなカフェで、今、明日香の前に座っているのは隙のない完璧な服装をした都会の男性だ。
 彼は十年前に亡くなった兄の親友で、広尾尚人(ひろおなおと)という。
 バイオ系の有名な企業、マーキュリー製薬の営業部に勤めていて、高校時代から家にもよく遊びに来ていた。兄亡きあとも、遺品を見ては昔を懐かしがったり、昔話をしたりで時々、顔を見せに来てくれている。三十四歳とは思えない若々しいファッションと洗練された雰囲気を持った男だ。
 広尾は特別背が高いわけでも、顔立ちがいいわけでもないが、喋り方や服装、ふるまいや持ち物、様々なことに気をつけて自分自身を底上げしている。
 もちろん、それ相応の底が無いとどれだけ努力しても広尾のような仕上がりにはならないだろうけれど。
 雑誌のモデルが着ていそうなコーディネートを帽子から靴までそっくり真似て、人気俳優と同じ美容院でヘアカットをしている。そんな努力が彼から透けて見えると思うのは意地悪だろうか?
 年中日焼けをして、Tシャツとジーンズが定番だった兄が男性の理想の明日香にとっては、広尾が持っている女性向けと思われるブランドバッグも、人差し指にはめたシルバーの指輪も、細かな計算の上での演出だと感じられる。
(でも、都会的だしカッコいいと思う人も多いんだろうなぁ)
 コクっとコーヒーを口に含んで酸味の強いモカを喉に落とす。いい香りが鼻に抜けた。
 店内に流れる低いジャズとコーヒーの香り。
 ここだけ都会から切り取って来たみたいな空間だった。
「明日香ちゃんも、今年で二十四歳でしょ? ちょうど優仁が……亡くなった時と同じなんだよね」
 言いにくそうに広尾が「亡くなった」と言った。
 自殺か事故か? 兄は、十年前のちょうど今ごろ、冬の海で命を落としている。自家用の小型ボートで沖に出て海に落ちたのだ。
 子供のころから船に乗っていたし、海がしけていたわけでもない。
 事故ではない、と明日香も家族も思っていた。
 そのころ兄に何かしら悩み事があったのは確かで、亡くなる数か月前から明るかったり暗かったり、いつも考えごとをしていたことを明日香は覚えている。

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