夢中文庫

言葉だけじゃ足りない!

  • 作家藍川せりか
  • イラストnira.
  • 販売日2014/10/31
  • 販売価格300円

女王様気質のすみれは、大学生をしながら週末はレースクイーンをしているスタイル抜群の女の子。大学デビューした幼なじみ・太郎なんて、全く相手にしていないはずなのに、他の女の子といるのを見ると腹が立ってしまう。ある日クラブで太郎と喧嘩になり、そのまま勢いでラブホテルに連れ込んで自分から押し倒してしまう。「私に触って欲しかったら、自分で裸になりなさいよ」なんて、肉食系丸出しのHをしてしまって、夢中になるのは太郎? それともすみれ?そんな時に超セレブの金髪碧眼の男性が登場して、二人の間は大荒れ模様! 自分の気持ちに素直になれない女の子の、もどかしい恋の行方を描くラブストーリー。

――それを例えるなら、何が一番適切で伝わりやすいものだろう? 噴水? ロケットの発射? 炭酸飲料をとても振ったあとの大惨事……?

それはあまりにも突然で、かつ刺激的な出来事だった。きっと私の人生の中では、忘れられない瞬間べスト3にはランクインするだろう。

そんなことを頭に過ぎらせた、ある日の夜。

私、高橋(たかはし)すみれの幼なじみである、岡崎(おかざき)太郎(たろう)から借りっ放しだったCDを返そうと、突然家を訪問した。

いつものように太郎の母親に挨拶し、そのままノックもせずに勢いよく部屋に入ったのが間違いだった。

部屋の中に入ると、下半身をあらわにした太郎が自慰行為に勤(いそ)しんでいるところだった。

そして運よく…いや、悪くか……。発射の瞬間だった。

「……私、帰るわ」

「わーーッ!」

有り得ない、有り得ない、有り得ない……!

二十年間友達だった男の、見てはいけない場面を見てしまった。

しかも先日この男から告白されたのを、こっぴどく振ったばかり。さすがにひどかったかなと反省して来てみたら、コレだ。

猛(たけ)った自身を恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべて弄(いじ)る姿。あんな表情をした太郎を見たことなんてない。

私は悪くないからね。ノックしなかったのは悪いけど、そんなことしているのなら部屋の鍵くらいかけておけばよかったでしょ! と、太郎に責任転嫁してやった。

「ほんッと、有り得ない……」

有り得ないのは、幼なじみの痴態(ちたい)を目撃したことじゃなくて、太郎のアレが立派だったことに性的な魅力を感じている自分自身に、だ。

異性として全くもって論外だったのに、オスの部分を目の当たりにして激しく動揺している。

私の中に入ったら、一体どれだけの快感をもたらしてくれるのか……知りたい。

ダメだ、と頭を振る。

あの太郎に欲情するなんて、私のプライドが許さない。私は、太郎に落ちるような女じゃない。もっと気高くあり、もっと価値のある男と付き合うんだ。

私は普段大学生だけど、週末にはレースクイーンとして活動している。小さいころは背が高いことがコンプレックスだったけれど、大学に入って街を歩いていると芸能プロダクションからスカウトをされた。でも芸能人になりたいわけではなかった私は、モデルならいいと返事をした。最初は読者モデルとして雑誌に出たりしていたけれど、最近ではレースクイーンの仕事を主にするようになって、ある程度この仕事にも慣れてきたと思う。

一方の太郎は、ギリギリ私と同じぐらいの身長で、これでも頑張って伸びた方らしい。長身の男性が好きな私は、太郎のことを昔から男として全く相手にしていなかった。

物心ついたときから私たちは友達で、今までずっと一緒に過ごしてきた。友達というよりも、兄弟のような感覚に近いんだと思う。

昔からずっと私の言いなりの太郎。そんな男に恋愛感情が芽生えるわけもなく、下僕(げぼく)といわんばかりの扱いを散々してきた。

それでも犬のように近寄ってくるので、呆れて放置していたら高校や大学まで同じところに通い出し、気が付けばいつもそばにいるようになっていた。

太郎から溢れる好き好きオーラはハンパなく、こんなに適当に扱っているのに、まだ擦り寄ってくるモチベーションの高さは一体どこから生まれてくるのだろうと不思議に思う。

昔から好きだ好きだとはよく言われていたけれど、先日二人きりになったときに、真剣な表情で告白をされた。

またいつものことかと適当に聞き流していたら、肩を捕まれてまっすぐな瞳で見つめられて逃げられなくなってしまった。

――本気で言ってるの? 私がアンタと真剣に付き合うわけないでしょ? おかしなことを言わないで。

そう一蹴して、肩の手を振り払いその場を後にした。その判断は間違ってはいなかったと思っているけれど……。

さっきのシーンが頭にこびりついて離れない。

なまめかしくいきり立つ先に白濁が絡まるアレは、悔しいけれど予想以上にいやらしくて、私の中に秘めた性欲を駆り立てた。

あの告白を受けていたら、あの太くて立派なモノで突かれていたのかと思うと、体の芯が疼(うず)くような感覚がして身体を震わせた。

夏休みが明けたばかりの大学。教室棟の一番端にある教室内に黄色い声が響いて、私はとても不快な気持ちで埋め尽くされていた。

「たろークン、これ可愛いぃー」

高校生のときにはあまりイケていなかった太郎が、急激にオシャレに目覚めたのは、大学に入った頃からだろうか。

昔より背が伸びて、周りからチヤホヤされだしたのが始まり。お酒も嗜(たしな)む程度に飲めるらしく、飲み会にもよく参加している。マメに色んな人と連絡を取ったりと、付き合いの良さが太郎の人気の理由らしい。

太郎のことに全く興味がない私にとっては、本当にどうでもいいことなのだが、なぜか視界に入ってくるといつもイライラしている。

調子に乗って痛い目に遭えばいいのに! 女の子にチヤホヤされて鼻の下を伸ばして、一体なんなの? 女の子だったら誰でもいいわけ?

生意気よ! 太郎のくせに!

心の中で暴言を吐いて、女子と楽しそうに話している太郎の方を見据えた。

太郎の顔は、良くも悪くもない。最近人気の塩顔男子ってやつだ。背はギリギリ私と同じ170センチで、細マッチョっぽい。きっと太郎のことだから、夜な夜な筋肉トレーニングをしてモテるために日々努力をしているに違いない。

見た目もしかり、性格も含めて私の理想の男性とは違う。なのに、アソコの大きさは理想だ。悔しいけれど、合格と認めざるを得ない。

昔から一緒にいたのに、さすがにそれは初めて知った。

それはそうか。普通ならセックスしない限り、臨戦態勢のソコを見ることはないのだから。

それを知っているのか、知らずにただ単に外見が気に入っているだけなのか、太郎の周りに集まってくる女の子たちは、相変わらず猫撫で声で話しかけている。

「ねぇ、すみれ。いいの? 太郎が他の女の子とイチャイチャしてるけど」

「悪い理由なんて、どこにもないから。私には関係ございません」

私の隣に座って、机に肘をつきながら太郎と私を交互に見つめる松井(まつい)陽子(ようこ)は、高校からの友達。陽子は昔からずっと私たちがお似合いなカップルだとか、いい加減付き合えばいいとか、そんなことばかり言ってくるので困っている。

「まーた。すみれも素直じゃないんだから」

「くだらないこと言ってないで、行くよ。今日、彼氏のイベントなんでしょ?」

「うん」

陽子の戯言(ざれごと)を適当に聞き流して、テキストを鞄に片付け終えると、私は勢いよく立ち上がった。あまりにも勢いよく立ち上がったので椅子と床が擦れる音が大きく響いた。

その音を聞いて、女の子たちの声が急に途切れる。

周囲を威嚇(いかく)するような大きな音を立ててしまったことで、教室中の視線を集めてしまった。その中の一人、太郎と目が合った。

昨晩の出来事を思い出したようで、太郎は頬を紅潮させて目を逸らした。

男のくせに、女みたいな照れ方しないでよ。マジ気持ち悪い!

「……顔に出てるよ、すみれ。相変わらずドSだわー。見ているこっちが清々しくなる」

「もう! 早く帰ろう」

太郎のまわりにいた女子たちは、私が歩くと避けるように道を開けてこちらをジロジロと見ていたけれど、私はそんなことを気にしない。

陽子の彼氏の仁(じん)は有名なDJで、彼も高校生の頃からの友達である。仁の出演するイベントが今夜開催されるので、クラブに行く予定にしていた。

渋谷にあるクラブに到着したのは二十一時を過ぎたぐらいだった。中に入るとすでに沢山の人がフロアで踊ったり、お酒を飲んでいる。その中でこちらに手を振る仁が見えた。

「陽子! すみれ! こっち」

「お疲れー」

仁が回し始めると痺れるくらいにクールで、彼がイベントに出演するとなると客数が一気に増えて、フロアは入場制限がかかる程に人で埋め尽くされる。

「太郎も来ていたけど……女といたぜ? 何、お前らケンカ中なの?」

「は? 何でそうなるわけ?」

仁まで……と、私は肩を落とした。

なぜ、どこに行っても太郎と付き合っている設定になっているのだろう? 確かに告白される前までは、一緒にクラブに来たりもしていたけれど。それはお互いに恋人がいないから、たまたま一緒に行こうかという話になったからで……。

「じゃあ、あれはカノジョかな? 結構巨乳だったな。やるな、太郎のヤツ」

「仁、最悪! どこ見てんのよっ」

怒った陽子が仁の肩を叩くところを見て笑っていたけれど、なぜか心にチクりと針が刺さるような痛みが走った。

巨乳という言葉が妙にひっかかる。

どうせ私は貧乳だよ。フラれた腹いせ? ヤなヤツ。そういえば、太郎の好きな女の子のタイプとか、今まで聞いたこととかなかったけれど……巨乳が好きなんだ?

じゃあなぜ付き合おうとか言ってきたのだろう。貧乳なところは妥協して、一番近くにいる幼なじみで手を打とうとしたのだろうか。

きっと手っ取り早いと思われたに違いない。私ならいけるんじゃないかと、軽く見られたんだと思うとだんだん腹が立ってきた。

ここはノリノリのHIPHOPやR&Bが流れていて楽しい気分になれる場所のはずなのに、なんでアイツのことを考えてイライラしなくてはならないのだろう。ほんっとに迷惑なヤツだ、と遠くにいるアイツとその女の子を睨みつけてフンっと顔を背けてビールを飲み始めた。

「じゃあ俺の番だから、行ってくるわ。お前ら、ちゃんとノれよー」

「オッケー! 頑張ってねー」

仁に手を振って、私と陽子は二人で改めて乾杯した。

陽子と二人で飲んでいる間に、懲りもせずまた太郎の方へ視線がいってしまった。いつもよりオシャレしている太郎の隣に、胸の部分が大きく開いたワンピースを着ている金髪の女の子が座っている。

何、あれ……。あの女の子、あの服じゃブラジャーしていないよね? じゃ、じゃあ、ヌーブラでもしてるのかな? っていうか、ヌーブラかノーブラか知らないけど、あんなに胸出して太郎を誘ってるわけ? ま、あの二人がしようがしまいが、別に関係ないけど。

……お互いにデレデレしちゃってお似合いだこと! 何で私がこんなにイライラしなきゃなんないの? 本当ムカつく!

「どしたの、すみれ。眉間にシワよってるよー?」

「え、いや、何でもないよ」

遠くにいる太郎を見ては負けだ、と思って気を取り直そうと、私はビールを飲み干した。

「あ、あそこに友達がいる! ねぇ、ちょっと行ってきていい?」

「え、あぁ、うん……」

陽子は楽しげにフロアの方へ歩いて行ってしまった。

一人になってしまい、飲んでいたビールも空いてしまったので、バーカウンターへ取りに行こうかと歩き出したとき、一人の男性にぶつかってしまった。

「Sorry,Are you ok?(ごめん、大丈夫?)」

顔を上げて驚いた。目の前に立っていたのは彫りが深く、宝石のように美しいスカイブルーの瞳をした金髪で長身の男性だった。それよりも背景にバラが見えるほど美しい顔立ちの彼に目を奪われて、青い瞳に吸い込まれるかと思って絶句してしまった。

「あ、ごめん。日本語じゃないと通じないよね?」

彼の言葉に更に驚く。どこからどう見ても異国の人なのに、とても流暢(りゅうちょう)な日本語を話すなんて予想外だった。

「こちらこそ、ごめんなさい」

「え? 何て?」

小さな声で呟(つぶや)いた私の顔に彼の顔が近づいてくる。仁のプレイがスタートし、フロアの中は熱気に包まれる。そのせいで声が聞き取れなかった彼は、声を聞こうと腰に手を回してぐっと強く私の体を引き寄せた。

彼からセクシーな香りがして、その瞬間胸が大きく高鳴った。

――このフレグランス、すごく好きな香りだ……。

私の身体をすっぽり包み込む大きな身体に密着して、彼がアスリートのように逞(たくま)しい身体ということが分かった。

「ごめん、何て言ったの? 日本のレディは恥ずかしがり屋だね。そこが奥ゆかしくてとてもいいのだけれど」

「あ、あの……! 離して、下さい」

「どうして? 君が美しい花みたいだから、僕は甘い蜜に吸い寄せられるミツバチのようになってしまうんだよ」

真面目な顔をして、聞いているこちらが恥ずかしくなるような言葉を話す彼は、照れて俯(うつむ)いてしまった私の頭にキスをした。

「ちょっ……何するの!」

「怒っている顔も素敵だよ。……今日ここに来たのは、君と出会うためだったんだ」

だめだ、何か話が噛み合わない!

私が困惑していることに物ともせず口説き続ける男性。フロアの中は先程よりもゲストが多くなり、余計に密着してしまう。

「僕はアレン。ねぇ、君。名前、何ていうの?」

「……いや、あの」

「言いたくない? 教えてくれないと君のこと持って帰っちゃうよ」

「すみれ……です」

面倒臭いことになった……。名前なんか教える気なかったのに。アレンに見つめられると、強気な自分が出せなくなって、しおらしくなってしまうから調子が狂う。

「すみれ? えっと……、確か花の名前だよね? バイオレットってこと?」

「ああ、うん……そうだね。英語だったらバイオレット」

英語なんて話せないけれど、自分の名前が花の名前なので、色んな国の呼び方を調べたことがあって覚えていた。

「ああ、なんて素敵な名前なんだ! すみれは彼氏いるの? まさか、一緒に来ているの?」

アレンに言われて、ふと無意識に太郎の方を向いてしまった。だけども太郎は、例の女の子と楽しそうに話していて、全くこちらのことなど見ていなかった。

マジでイラつく。アンタが好きだって言ってた女が他の男と抱き合っているっていうのに! 目の前の女の子に夢中かよ! バカ! どっかいけ!

心の中でたんまりと太郎の悪口を吐いてから、アレンを見上げて笑顔を作る。

「いないよ」

「うそ! ほんとに? 信じられないよ。こんなに可愛くて素敵なのに! ねぇ? 僕がここから連れ去ってもいい?」

アレンの口説き文句は、呪文のように次から次へと止めどなく流れてくる。よくよく聞くと、結構恥ずかしいようなクサイ台詞なのに、彼が言うと様になるからすごい。

アレンは洋画の映画から出てきたような金髪碧眼の男性。こんな美男子と恋愛ができればすごく素敵なことだと思うけれど、そう思って彼に近づく日本女性は沢山いるだろう。ここで本気にしたら、痛い目を見そうだ。何とか上手くかわさないと……。

「すみれ、僕と一緒に出よう。今日は僕と君との出会った記念日だから、二人でお祝いしよう」

「アレン、あのね……」

断るための理由を探しながら口を開いたときに、私の声を掻き消すような男性の声が響いた。

「すみれ! 来てたんだあ!」

こんな騒がしいフロアの中で聞こえるぐらいの大声に驚いて振り向くと、私たちの目の前に太郎が仁王立ちしていた。

「……太郎」

「タロウ? すみれの友達?」

「……うん」

なんで? さっきまで女の子と楽しそうにしていたくせに、どうしてこっちに来たのよ。しかもアレンの姿を見て、ちょっと……いや、結構ビビってるくせに。

自分よりも20センチほど身長が高いアレンに物怖じしながら、太郎はじりじりとこちらに近づいてきた。

「来てたんなら、声かけてくれたらよかったのに! 母さんからすみれに預かりものがあってさあ!」

「か、かあ……さん?」

……はぁ? 何それ? 史上最強にダサい誘い文句なんだけど! 別の男から女をさらうときに、自分の母親を出してくる? 信じられない!

とにかくどちらにせよこの場所を抜け出さなければいけないので、私は渋々この太郎の格好悪い誘いに乗っかることにした。

「アレン、ごめんなさい。私、彼のママに会いに行かなきゃいけなくなったみたい。だから、行くね」

「Oh……。すみれ、今日は会えてよかったよ。また会ってくれる?」

アレンは先程よりも熱い抱擁をして、私の首筋に唇を寄せた。その唇の触れた場所がじりじりと熱を持つ。

「……そうね。また」

そう言って愛想笑いを振りまいて、アレンの体から抜け出して歩き出した。

こうしてアレンという外人から逃れることができた。振り返ることなく歩くけれど、背中には熱い視線をひしひしと感じていた。

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