夢中文庫

いいえ! 私たちはタダの上司と部下です!!(※ウソです)

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  • 作家藍川せりか
  • イラスト白弓サン
  • 販売日2017/06/20
  • 販売価格300円

隣にいるのはうちの社長、柊聡史――
悪夢よ醒めて!今すぐ!よりによって社長と朝チュンしてしまった。
そりゃイケメンだし、アプリ開発で素晴らしい実績を残した人ではある。
でも今ではだらしなくて女たらしのダメな人。
優秀な社員は皆辞めて残るは私――紺野歩美――ただ一人。
かつて社長制作のアプリに感動し、彼は必ずやってくれると信じているから離れる気はない。
……のに、あんな関係になって気まずい。
しかもこのタイミングで私にヘッドハンティングの話!?
社長とはこれ以上深い仲にならないように気を付けていたのに体は……いや、本当は心の方が正直で。
ずっと好きだったなんて今更言えない。
と思ったら大どんでん返しが待っていて――

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 うだるような暑さを過ぎ、少しずつ朝晩が冷え始め、空気がピンと張り詰めるようになってきた秋の朝。
 もうすぐそこまで冬がやってきていることを感じながら、ゆっくりと目を覚ます。
「ん……」
 温かい布団のぬくもりから、まだ抜け出したくない。このままずっとこうしていたい……。
 でももう起きなくちゃ。今日も仕事だ。
 私、紺野(こんの)歩美(あゆみ)の勤める会社、Focusは、社長と私だけという極小会社。業務内容はソフトウエア開発。……って難しく言っているけれど、平たく言うとインターネットコンテンツやスマートフォン用のアプリなどを作っている会社だ。
 社長である柊(ひいらぎ)聡史(さとし)(三十歳)はスマートフォンが発売されたと同時にゲームアプリを作り始め、当時まだアプリが少なかったということもあって彼が出したアプリは爆発的な人気を得た。そして大きな利益が上がり、その資金をもとに会社を設立。
 しかしその後、開発するアプリはことごとく人気が出ず、十数人いた社員もみんな辞めてしまい、現在社員は私だけ。赤字続きの危機的状況だ。
 社長はイケメンだけど……女たらしだし、だらしないし、残念な人。お給料だって遅れがちだし、真面目に仕事をしない社長に怒ってばっかりなんだけど、不思議と魅力があるんだよね……人としての魅力が。
 なので、放っておけないっていうか見捨てて辞める気になれず、ずるずると勤めて、すでに三年が経過した。
 体を起き上がらせようと動くと、何かに当たった。なんだろう、と不思議に思いつつ、ふと隣に目を向けるとそこには見覚えのある人物。
「あ……。紺野ちゃん、おはよう」
「──は?」
 隣にいるのはうちの会社の社長である柊聡史。
 しかも裸。
 そして私も裸。
 何コレ! ここドコ?
「あの、あのあのあの……。これは……っ!?」
「え? 昨日はここで俺たちめちゃくちゃ濃厚なセック……」
「わああああ──」
 嘘だ! 嘘だって言ってよ!
 まさかそんなことが起きるなんて……っ。
──詰んだ。
「あの! 忘れてください! 昨日のことは、全部!」
「ええ……っ?」
「いいですか。私と社長は、何もしていません。ええっとこれは、酔っぱらって終電逃して、マンガ喫茶で一泊ってのもナンだから、ホテルで一泊しちゃったってだけです。分かりました?」
「う、うん……」
 一方的に説得をすると、私は急いで服を着てホテルの部屋を飛び出した。
 えっと、えっと……。
 どうしてこうなった?
 昨夜の薄い記憶を辿って、どうしてこんなことになったのか、自宅までの電車の中で一生懸命思い出す。
 昨日は、一年ほどかけて作り上げたゲームの完成をお祝いしようってことで、居酒屋で飲み放題を頼んで、かなりの杯数のお酒を飲んだ。

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