夢中文庫

強面上司からの強引な求愛~誰にも言えない職恋事情~

  • 作家逢見るい
  • イラスト夢志乃
  • 販売日2016/10/19
  • 販売価格300円

「誘ったのは、君だ――」アパレルブランド販売員の樹里は、店長の上原と内緒の恋をしている。上原は優しく、仕事も順調。そんなある夜、冷徹仕事人間と噂のエリアマネージャーの高梨と、樹里は半ば強引に一夜を過ごしてしまう。上原という恋人がいるのにも関わらず、何を考えているのかわからない高梨に、身体も心も魅せられしまう樹里。それでも想いを内に秘め、いつも通りの日々を過ごしていた……。だがある日、上原の目の前で高梨は、狂ったように樹里のことを奪おうとする……。「ああ、そうだ。初めての夜。嫌がりながらも彼女、感じていたぞ――」そう言って上原を挑発する高梨の本音とは。禁断の、社内三角関係の行方は――?

 野生の、狼(おおかみ)みたいだな、と思っていた。
 真っ黒で艶のある髪とか、ひとを見るとき、そらすことなく射抜くようなその眼差しとか。
 背が高くて、だけど少しだけ猫背で、口数が少なくて表情も乏しい。強面でみんなに怖がられているけれど、でも、とても優しいひとだと知っていた。
 わたしだけ。きっと、わたしだけしか知らない。そう思うといつも少しだけ、胸がジンッと熱くなった。だからいつまでも高梨さん(あのひと)は、みんなに恐れられていたらいいのに。
「樹里(じゆり)ちゃんさ、よく高梨(たかなし)さんと普通に喋(しやべ)れるよね……」
 バックヤードは、賑(にぎ)やかだった。終礼が終わりその日出勤していたスタッフが、一斉に狭い空間に押し入ってきたからだった。
 ヒールの高いパンプスからペッタンコ靴に履き替えているスタッフや、羽織っていたダウンベストを脱ぎ捨てて「やっぱこの時期からダウンはあちぃ」と文句を垂れているスタッフもいる。
 株式会社レインブルーは、日本国内ではわりと大手のアパレルブランドだった。
 アメリカンカジュアルなファッションを扱うメンズブランドで、スタッフはアルバイトも込みで男女合わせて十二人。全員が日々出勤するわけではないけれど、毎日必ず半分以上のスタッフが集まる。全国にある店舗の中でもここ桜木町店はダントツで広い。その分やることも多く、大変だけれどやりがいもある。
「高梨さんですか?」
「そう、高梨エリアマネージャー」
 わたしが指定の荷物置き場の前で帰り支度をしていると、先輩の男性社員が話しかけてきた。どこか探るような、心なしか少し、同情するような眼差しだった。
 おそらく終礼が終わった直後、わたしが高梨さんに話しかけられているところを目撃されたのだろう。
「今日だってさ、上原(うえはら)店長が休みだからって、あのひと偉そうにあーだこーだ。本部の社員さんが、ぶっちゃけ現場の何がわかるのって思うわけよ」
「まぁ、本部の社員さんは実際偉いですから」
「だからってあのひと怖いじゃん。得意なひとなんかひとりもいないよ。俺なんか前に売り場でスタッフと笑い話してたらさ、見つかって超凄まれたもん。真面目っつか、硬すぎなんだよな。怖い怖い」
「へえ」
 その高梨マネージャーと、今夜わたしは飲みに行くんですけど……とは、言わないでおく。
「もしマネージャーになんか怖いことされたら、俺に相談するんだよ? まぁ売り上げトップの樹里ちゃんに、変なことしないだろうけどさ」
「いえ、そんな」
「ま、いいや。お疲れさま! また明日ね」
「はい。お疲れさまです」
 ポンとわたしの肩を叩(たた)いた先輩の背中を見送ってから、満面の笑みを、徐々に失くした。
 何かを相談することがあるなら、わたしは真っ先に高梨さんに相談するだろう。あのひとはああ見えて、真面目で優しいひとだから。

ご意見・ご感想

編集部

”あのひと”のこと、私だけが好きだったらいい――

誰もが羨む優しい彼氏・上野さんに、やりがいのある職場。
樹里さんの毎日は順調に過ごしているはずでした…
憧れの上司・高梨さんと一線を越えてしまったあの夜までは――

急激に変化していく樹里さんの世界…
自分の本当の気持ちや上原さんとの関係
新しくわかってくることもある反面、
どうしてもわからないことも…
高梨さんの本当の狙いとは…?
それを知った樹里さんが選んだ行動は…?

不器用な大人たちが描く、ほんのりビターな△関係♪
抗えないほどの官能と3人の行く末、ぜひお見逃しなく^^

2016年10月19日 12:18 PM

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