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初恋御曹司にまた恋しています

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  • 作家有坂芽流
  • イラストnira.
  • 販売日2017/10/10
  • 販売価格300円

「初めて出会ったときから、君が欲しかった」――親友の兄、遥希は美紅の勤務する会社の御曹司。社長である彼の秘書になった美紅だったが、初恋の相手である遥希への恋心を身分違いだと必死で封印する日々。一方遥希も、四年ぶりに再会した美紅との距離と縮めようとしない。ときおり見せる優しい瞳は、あの頃と変わらないのに……。しかしある日、ふたりきりの社長室でいきなり抱きしめられて……!? 怖いくらい過保護な御曹司と王子様に恋する女の子の、ピュアなラブストーリー。

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王子様の紅い薔薇
 入学式に向かう列の途中で、さっき友達になったばかりの辰巳美鈴(たつみみれい)ちゃんがあれ、というように目を見開いた。
「ねぇ美紅(みく)ちゃん、新入生のコサージュ、どうしたの?」
「え!?」
 そう言われて慌ててブレザーの襟もとを確かめると、さっき胸に付けたはずのコサージュが見当たらない。
 上級生の手作りだという、可憐な薔薇のコサージュ。
 とても素敵で、ひと目見てうっとりするほど気に入ってしまったのに。
「落としちゃったのかな……。私、ちょっと見てくるね!!」
 居ても立ってもいられず美鈴ちゃんにそう告げると、慌てて階段を駆け下りる。
 私、森本(もりもと)美紅は、今日入学式を迎える中学一年生。
 そしてまさにこれから、校舎の最上階にある講堂で入学式が執り行われようとしているところだ。
 私が入学する桜木(さくらぎ)学園は男女共学の私立校。付属の大学をもつ、この辺りでは文武両道で有名な中高一貫校だ。
 私の家は学校のすぐ近く。小さな頃からよく目にしていた制服に憧れて、絶対ここに入ると決めていた。
 難しいことで有名な入学試験を何とかパスし、ようやく念願かなって迎えた入学式なのに……。
「ない……。どうしよう、失くしちゃったのかな……」
 注意深く探しながら教室まで帰ってきたけれど、失くしものはいっこうに見つからない。
 せっかくもらった新入生のコサージュなのに。真紅の薔薇が、黒いブレザーと千鳥格子のプリーツスカートの制服にとても映えていたのに。
 希望に胸をふくらませながら迎えたこの日に、新入生の印ともいえる大切なものを失くしてしまうなんて。
 私ったら、なんて不注意なんだろう……。
 誰もいない教室からひとり、泣き出しそうな気持ちで講堂に戻る階段を上る。油断すると込み上げてしまう涙をこらえ、私はきゅっと唇を噛んだ。
 急がなくちゃ。もう入学式が始まっちゃう。
 早く戻って、失くしてしまったことを先生に謝ろう……。
 沈み込む気持ちを奮い立たせるよう階段を上りきり、踊り場から反対側の階段を一歩踏み出す。
 その時、誰かに呼ばれたような気がして、私はハッと顔を上げる。
 すると視線の先、階段を上りきった踊り場に、男の人が立っているのが目に入った。
 だれ……? 高等部の人……?
 突然目の前に現れた人影に、私の視線は釘付けになる。
 ずいぶん背が高い。すらりとした体は細身だけれどしなやかで、モノトーンの制服がたいそう似合っている。
 もうみんな講堂に入ってしまったのか、辺りには彼以外、誰の姿も見当たらない。
 背後の窓から差し込む陽春のきらめきが彼を淡いシルエットで縁どり、色素の薄い髪が光で金色に透けて見える。
 無意識に、まるで目に見えない力に引き寄せられるように歩みを進めると、彼の息をのむような美貌が次第にはっきり浮かび上がってきた。
 どちらかというと中性的な顔立ちはとても端正な造りをしていて、わずかに微笑みを湛えた唇は、薄く弧を描く三日月のように引き締まっている。
 王子……様?
 ほんのすぐそばまで近寄ったところで、踊り場に立つ彼が私を優しげに見おろしているのに気付き、思わず立ち止まった。
 色素の薄い髪と同じ、吸い込まれそうな琥珀色の瞳が、私をじっと見つめている。
「もうすぐ入学式が始まるよ。……きみは新入生? もしかして、これの落とし主かな」
 そう言って彼が差し出した手には、真紅の薔薇が携えられている。
 探していた私のコサージュ。
 嬉しくて思わず手を伸ばす私に、彼はクスリと笑みを漏らした。
「もう落とさないように、俺がつけてあげる」
 彼は体をかがめて、私のブレザーの左胸にコサージュの針を刺した。蜂蜜色をした彼のしなやかな髪が、鼻先に触れてしまうほど近くなる。
 男の人、しかもこんなに素敵な王子様との突然の大接近。胸がうるさいほどに騒いで苦しい。それに……。
 い、息がかかっちゃう……。
 あまりにも近い距離に、吐息すら彼に気づかれてしまいそうで満足に呼吸もできない。
 あたふたと戸惑う私に、目を伏せていた彼がフッと視線を上げた。

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