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こっちにおいで~弁護士先生の溺愛マーキング~

  • 作家朝陽ゆりね
  • イラスト
  • 販売日2017/09/12
  • 販売価格300円

子どもの頃、偶然出会ったハーフの高校生に向かって「お婿さんにしてあげる!」と宣った莉香。あまりに恥ずかしい記憶に祟られ、異性に近づけない体質になってしまった…。
そういうわけで結婚はあきらめて一人で生きていこうと決めた莉香は、就職が決まった弁護士事務所へ初出勤!張り切る莉香に紹介されたのはなんと金髪碧眼の超イケメン弁護士、ジョー・ロットン・高橋。さすがの莉香もドキドキ!だが、ジョーに見つめられてハッと息をのむ。そして戦慄が!
このイケメンは…っ!その瞬間、莉香の意識は遠い宇宙の彼方に飛んで……ようやく意識を取り戻した莉香にジョーが甘く囁く。「お婿さんにしてくれるんだろ? 責任とってもらわないと」

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──お婿さんにしてあげる!
 はぁ。
 あの頃は無邪気でよかったなぁ~と、つくづく。
……………………。
 いやいやいや、そんなことはない。この言葉に絡む出来事は、私にとって過去最大の黒歴史。初めて会った男性に向けて爆裂させた“おバカでおませなお嬢さま”発言だから。
 子どものころは、ここ東京ではなく、長野県(ながのけん)の端っこのほうに住んでいて、いわゆる“大地主”の娘で、蝶よ花よと育てられていた。(自分で言う)住み込みと通いのお手伝いさんを雇っていて、本当に無邪気な“おバカさん”だった。うん、“お嬢さま”ではなく。
 十歳になって間もなく、身辺は劇的に変わった。本当にビフォーアフターのような変転。それもテレビで見るような、汚い家から綺麗な家に変貌、ではなくて、お嬢さまから貧乏人に転落、だったのだ。
 理由は至って簡単。父が素性のよくわからない投資会社の人に唆(そそのか)されて(騙されたと言うのが正しいのかもしれないけど、父がそう言うからそういうことにしておいてあげている)、莫大な借金を作ってしまったのだ。どんなに土地を持っていようと、ド田舎もド田舎で、軽井沢のような有名な場所でもないから、土地はとーーーっても安くて、売ってもたいした額にはならなかった。結局、土地から家から貯金から、なにからなにまで全部手放したのだけれど、そのときに管財人として現れた弁護士が息子を連れていた。で、私はこの弁護士の息子に今の恥ずかしいセリフをぶち撒けたのだ。
 あとになって父から聞いた話。この弁護士は東京からやって来たのだけど、足を怪我して松葉杖をついていた。が、ちょうど息子が遊びにきていて、観光したいから車で行こうと言ったそうだ。自分が運転してやる、と。それで息子と一緒に出向いてきたとのことだった。
 で、その息子というのが……今でもはっきり覚えている。金髪碧眼で、まるでおとぎ話に出てくる王子様のような容姿だった。(だからブチ撒けたのだけど……)これも父の話だと、この弁護士の奥さんはイギリス人で、彼はハーフで、イングランドに住んでいて、たまたま日本に遊びにきていたそうだ。
 田舎のませた子どもが、キラッキラの王子様的容姿の弁護士息子に一目惚れし、普段の偉そうな上から目線のセリフを吐くんだから目も当てられない。とはいえ、どうも彼は日本語があまり堪能ではなかったのか、私の暴言に対して目を丸くしただけでなにも言わなかった。きっとなにを言われたかのかわからなかったのだろう……と思う。だから、まぁ、黒歴史とはいえ、若干、ちょっぴり、救われているってわけ。
 だけど……今にして思い出しても、名前も知らないその彼の美しさは忘れられない。あ、苗字は知っている。高橋(たかはし)さんという、日本で五指に入る(確か三位くらいじゃなかったっけ?)よくある名前、だけどね。
 なんて黒歴史をわざわざ思い出しているのは、この殺人的満員電車から自分の注意を逸らせたいだけ。それにしても、苦しい。これから毎日これか! と思うと泣きそうになる。なんでこんなにぎゅーぎゅーなの!? こんなにぎゅーぎゅーなのに、まだ乗ろうとするなんて、信じられない。
 大学通学は自転車だったし、用もないのにわざわざ悪名高い東京の通勤ラッシュ時に電車に乗ることもないので未経験だったのだけど……。
 入社一日目にしてすでに挫折しかかっている私の軟弱な心は、ただひたすら、「早く駅に着け!」って嘆いていた。
 ようやく目的地に着き、電車を降りてオフィスに向かった。
 今日から社会人!
 内幸町(うちさいわいちょう)にあるガラス張りの高層ビルを見上げたら、その凛々しさと立派さに、ほげぇ~と感嘆してしまって、単純でおめでたい性格は、すっかり今さっきまでのラッシュの苦しみを忘れてしまっている。
 気合いを入れてエントランスに入った。目指すは『IFJ法律事務所』という名の法律事務所。正確には、『International Fair & Justice law office』で、私は今日から弁護士として働く……わけではなく、弁護士先生のアシスタントをするのだ。
 本当は、父のようにワルいヤツに騙された人を少しでも助けたいと思って、弁護士になりたかったのだけど、在学中の勉強でムリだと悟った。どう頑張っても、司法試験にパスできそうもない。だったら弁護士先生をサポートして、少しでも役に立ちたいと思い、求人を出していたここに飛びついて、受かったというわけ。でも、飛びついたのにはわけがある。私はこの事務所の所長である沢木(さわき)先生を尊敬しているから。まさか憧れの沢木先生の事務所で働けるなんて夢にも思わなかった。本当にうれしい。

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