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花舞い 雅狼2 ~祠☆闘士シリーズ~

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  • 作家朝陽ゆりね
  • イラストもなか知弘
  • 販売日2015/12/15
  • 販売価格600円

「抱ければどこでもいいと思っていたが、これからは時間に余裕もできるから、行きたいところに連れていってやる」矢代征一朗は矢代地所の取締役社長だが、六月末で退職する。魔を祓う『破魔矢』一族束ねの務めを果たし、興味のある経営学研究に時間を費やしたいからだ。そんな冷徹無情と恐れられる男の心を虜にした九条舞。白蛇の力を持つ彼女だが、実は『魔』を魅せる「負」が本質であると発覚する。高級ホテルで樺山友里と名乗る女性に操られた舞は、真っ赤なドレスと装飾品に飾られ、バラのような痣を胸元に付けられてしまう――。捨てられることを恐れる舞と、孤独が当たり前だった征一朗、相手を愛しく想い強い絆で結ばれる二人の運命が絡まり合う――。

紅蓮の花
 神保町の不動産会社。その一角に座っている矢代(やしろ)征一朗 (せいいちろう)の機嫌は極めて悪かった。彼の怒りの様子は一目で窺い知れるが、目の前に座って対応をしているスタッフの女は気づいていないようで、ただウットリと見惚れているばかりだ。
 確かに今日の彼はいつもと様子が違った。珍しくメガネをかけていない顔は、その鋭い目元と冷たい眼差しが際立っており、より男っぽさを強調している。またモデル並みに整った精悍な顔立ちは女の視線を集めるには十分すぎた。
 スーツのボタンを一つも外すことのなかった彼だったが、今は異なり、質のよい高級スーツはそのままに、ネクタイをやや弛め、上着を脱いで隣の椅子に置いている。
「いい加減にしてくれ。何度言わせる気だ。事務所を構えるためのテナントを探している。古さも広さもこだわらんが、駅から三分以内が唯一の希望だ。さっきからそう言っているだろうが」
 鋭い視線とイラついた口調。ビジネスにおいては老若男女容赦ない彼だが、さすがにもしかしたらご近所になるかもしれない会社とはトラブりたくないらしく、かなり我慢をしているようだ。それでもその女は眼前の客が醸し出す怒りの空気が読めないのか、ただ見惚れるばかりだった。
「あ、はい。事務所でしたね、すみません。あ、それで、広さはどれぐらいを希望されていますか?」
「だから──」
 言いかけ、一端口を噤んだ。そして鋭い目で女を睨んだ。
「私の会社では君のような社員は即刻クビだ。何年この仕事をやっているのか知らんが、もっと緊張感を持ちたまえ。もういい。他を当たる。これは返してもらう」
「え?」
「無用な会社にプライバシーを残す気はない」
 そう言って先ほど書いたアンケート用紙を取り上げると、立ち上がった。さすがにその女はハッと我に返り、引き止めにかかった。彼女の悲鳴にも似た声に、オフィスの奥にいた上司と思しき中年の男がバタバタと走り寄ってきた。
「お客様、ウチの者がなにかご無礼でも?」
 その言葉に、矢代は視線を上司に向けて、冷たく言い放った。
「業績とは、徹底した社員教育の先に見えてくるものだ。そのもっとも重要なものは、礼儀と緊張感だ。覚えておきたまえ。失礼する」
 矢代はそう言い残し、そのまま不動産会社を後にした。
 今月末の会社退任を控え、やるべき残務処理に忙殺される毎日だった。
 創業し、守り続けた先祖には多少の罪悪感を覚えたものの、やりたい事をするためには致し方がない。兄妹が持つ株をすべてメインバンクに引き受けてもらう話もつき、株式上場の準備も整った。健全な財務内容とキャッシュフローの大きさに関しては特にこだわってきた彼だ。証券取引所に文句を言われるようなモノはないと断言できる自信があった。七月一日からは、会社も自分も、新たな社名を掲げて歩き出すことだろう
 闇の世界で呪術師である彼は、最重要の仕事だけ引き受け、大部分を配下の者達に任せている。労働の七割程度を会社経営にあてていたのだ。それを術師に本業を変更し、二、三割程度自分のやりたい事、つまり経営学の研究に従事することにした。

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