夢中文庫

世界一難解なアプローチ~屈折彼氏の愛情表現~

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  • 作家あゆざき悠
  • イラスト雪乃つきみ
  • 販売日2016/12/14
  • 販売価格500円

いつの間にか部署の中でも一番年上になってしまった鈴音。結婚願望がないということもなく、彼氏だって欲しくないということはない……しかし気づけば恋愛から遠のいていた彼女だったが、突然異動してきた優秀な主任にプロポーズされて――!? かと思えばデキる、モテるカチョー様からもキスをされちゃった!? いつも違う女の人と逢瀬を重ねる彼の不実さを、鈴音は苦手に思っていたのに……仕事だけではなく、家事スキルも高いイケメン二人に言い寄られるなんて。人生最大のモテ期に二人からのプロポーズ。浮気しそうな彼はイヤ、だけど誠実な彼には――。迷う鈴音に構わず、イケメン二人はノンストップで猛烈なアプローチを仕掛けてきて……?

第一話:デキる上司
 トントンと書類をそろえ、ダブルクリップで端を止めた。時計を見ると、二十時を過ぎていた。
「ふぅ、終わった。思っていたよりも早く終わってよかった」
 最後まで一人残って仕事をしていたのは、谷川鈴音(たにかわすずね)だ。大手保険会社の総務部経理課に勤めている。
「明日から十一月か。今月分も無事に終わってよかったわ」
 二十九歳の鈴音は経理課の中では、ベテラン社員の一人に数えられる。営業部や総務の庶務課には鈴音よりもベテラン女性も多い。しかし、経理課は寿退社組が多く配属されるらしく、今では鈴音が一番年上の女性になっていた。
「あれ? まだ残っていたのか。谷川」
「お疲れ様です。今、帰るところでした」
 残業しない主義者の課長、兼元誠司(かねもとせいじ)がこんな時間まで社にいるのは珍しい。
「これのせいで残業していたのか? 谷川」
 鈴音が提出したばかりの書類に目を通した誠司は、秀麗な顔を不機嫌そうに歪(ゆが)める。
「え? はい。期限は明日までですし、担当者は体調不良で早退したので」
「──また、お前は。何も谷川がやるような仕事じゃないだろうが。後輩にでも振っておけばいい」
「早く終わったほうがいいですからね」
 鈴音はそう言い、お疲れ様でしたと続けるはずだった。
「あ、谷川、帰るだろ?」
「えぇ」
 鈴音はゆっくりと振り返り、誠司を見つめた。
(あっ、そういうことで残っていたのね。まったく相変わらず──)
 誠司の鎖骨下に、真っ赤な口紅と一緒に内出血の痕ができているのを鈴音は見つけた。
「飯、食わないか?」
「ご馳走(ちそう)してくださるなら、付き合いますけど?」
 可愛くない言い方をしているのは自分でもわかっているが、ついそんな言い方をしてしまうのだ。
「運動したら腹が減っちゃってね。もちろん、ご馳走する。いつも残業してくれてありがとな」
「なんで、お礼を言われるんですか?」
「谷川のおかげで期限を守った仕事ができるからだろ? ほら、行くぞ」
「カチョー様」
 鈴音は、イヤミを含んだ言い方で誠司に声を掛ける。
「何だ?」
「ネクタイもワイシャツもちゃんとしたほうがいいですよ。何の運動されたのか──みんなに知らせたいんですか?」
「うわ、気付かなかった」
 ワイシャツのボタンをきちっと留め、ネクタイをした誠司は苦笑を浮かべていた。
「サンキュ、谷川」
「そういうの、ちゃんと気付いたほうがいいんじゃありませんか?」
「んー、気付かないもんだよ? 夢中になっちゃうからね」
「──そうですか」
「なぁ、谷川」
「何ですか? カチョー様」
「俺の唇に口紅ついてないかな?」
「──トイレで確認してくればいいでしょう? では、通用口でお待ちしております」
 鈴音は足早に誠司の傍を離れた。
 誠司は女性社員に人気があった。仕事はデキる、顔は良い、何より気さくでセックスも上手らしい。しかも関係は一人一度限りという噂(うわさ)もあるらしい。
(社内の女性全員と関係を持つ気かしら?)
 ふぅっと鈴音は溜息(ためいき)を洩(も)らした。
 浮気するような男は嫌い。鈴音には大学時代からずっと付き合っていた彼がいた。恋人がいたからこそ、鈴音は経理課に配属されたのかもしれない。

ご意見・ご感想

編集部

恋をしたくないわけじゃない…
結婚願望だってある…

それでも恋愛から離れてしまっていた鈴音ちゃん
元カレの心無い行動により、ちょっとだけ奥手になってしまいました
そんな彼女に、人生最大のモテ期が到来!?

いつも社内でいろんな女の子と『運動』をしては、鈴音ちゃんに目撃される、チャラ男……課長の誠司さん!
面倒見は良いものの、不実な男性を苦手とする鈴音ちゃんに、まずは本気と認めてもらわねばなりません…!
そして異動してきたばかりなのにも関わらず、場所を選ばず熱烈な愛の言葉を囁く、主任の大地さん!
とても丁寧で誠実なイメージを持つ彼ですが……

止まらないイケメンたちのアプローチに鈴音ちゃんは戸惑うものの、
真面目な彼女はどちらの言葉にも真剣に耳を傾け、向き合おうとします…

ひねくれた愛も、まっすぐな愛も、全て受け入れて答えを出そうとする鈴音ちゃん

彼女が選ぶのは、一体どちらなのか……?
ぜひお楽しみください(*´艸`*)

2016年12月14日 11:31 AM

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