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世界一大っ嫌いなアイツと恋なんて~甘くせつない愛で満たされ!?~

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  • 作家あゆざき悠
  • イラスト弓槻みあ
  • 販売日2017/08/08
  • 販売価格500円

同期の蓼科尚人はとにかくチャラい。女なら誰とでも付き合いそうな――来るもの拒まずなタイプ。そんな男が大嫌いな梶本さおり。しかし酔った勢いで一夜を過ごしてしまったさおりは、なぜか尚人ともう一度試したい衝動に駆られる。彼からの告白も信じないと強気に出ていても、さおりもどんどん尚人に惹かれていく。しかし彼のもとには常に女の気配があって……? 「信じてほしい」そんな言葉、信じられるわけがない。遠距離恋愛なんて無理……言い訳を重ねて彼を忘れようとすればするほど、尚人は強引に近付いてきて――!?

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プロローグ
 ぼんやりと家に戻って眠ったあたしは、お昼を回ってだいぶ時間が経ってから目覚めた。身体は重くてだるい。二日酔いとは違う身体の重さがあった。
「あぁ、今日が休みで良かった」
 ボソッと呟いて、のそりと起き上がる。のそのそとバスルームに向かった。
 今日が出勤だったら、あたしは仕事に集中できなかっただろう。
 熱めのシャワーを頭から浴びた。ふと鏡に映った胸元にあたしは息を呑んだ。
「アイツ、こんなところに──!」
 鎖骨の下、胸の膨らみ、そして左胸の心臓の上に赤い痕が残っている。ただでさえ、はっきりと昨夜のことを覚えているというのに証拠を残された気分だ。
 悔しいことにあたしは昨夜のことをはっきりと覚えている。
「あーぁ、なんであたし、全部覚えているのかしら?」
 何も覚えていない方が良かった。お酒のせいにしてすべて覚えていなかったら、あたしは何事もなかったかのようにアイツを嫌いなままでいられたのに。
 熱いお湯があたしの肌を撫でる。アイツが残した痕もすべて消えればいいのに。
「だいたい、事故なのにこんな痕を残すなんてどういうつもりかしら?」
 今も鮮明にあたしは覚えている。アイツにとっては過ちで誰と寝たのか、そんなこともきっと気にも留めていないはずなのに。
 悔しいことにあたしにはすべての記憶が残っている。どんなふうにアイツに抱かれたのか、あのごつごつとした指が繊細な動きであたしをどんなふうに高めていくのか。
 優しく肌を指と舌でなぞり、啄むようなキスを時折与えられた。
 指があたしの中に入った瞬間、腰が戦慄いて快感の波があんなにも押し寄せてくるなんて。
「あぁ、バカ。思い出してどうするのよ」
 二度とアイツと関わることはないのに、あたしの中に熱は残されたまま。
 思い出しても意味がない。
 そんなことよりもあたしはアイツとどんな顔で会えばいいのか。いや、関係ないか。あたしはいつも通りを貫くだけ。
 だから早く忘れなきゃいけないのに、夜になっても翌朝になってもアイツの体温があたしの中に留まったまま燻っていた。
第一章:同期
 イベント企画会社「ハーモニー」に入社して丸二年。あたし、梶本(かじもと)さおりは朝のこの光景にも慣れた。
「おはよー、かじもん、今って朝?」
 屍のような──ミイラのような? ゾンビのような? どう表現していいかわからない先輩方がふらっとソファや椅子から蘇り、時間を聞いてくる。慣れているつもりだけど、毎朝の一発目はビクッと震えそうになる。
 イベントの企画運営を一貫して行っているこの会社は、泊まり込み作業も多い。数日、家に帰れないことも多いらしいけど、入社二年のあたしはまだ経験していなかった。先輩たちの雑用を任され、イベント当日の準備やプレゼン資料のコピーが主だった。
「先輩、そろそろ顔を洗ったほうがいいですよ。みんなが出勤してきますよ!」
 手をぱんぱんと打ち鳴らして、ゾンビ──いや、先輩たちを覚醒させるのもいつの間にか、あたしの仕事になっていた。
 というのも、あたしは遅刻ギリギリに出勤するのがキライ。学生時代に部活で培った精神が影響しているのか、集合時間十分前整列当たり前でその十分前には集合場所に到着という習慣が身についてしまっている。別に悪いことではないし、人を待つことが苦でもないので今の今まで直してこなかった。そして、今ではゾンビ──もとい、先輩たちの立派な目覚まし役として活躍もできている。
 先輩たちがそれぞれ身支度を整え、お目覚めの一杯を自動販売機で購入するのはいつものことだ。

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