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恋をのぞむ御曹司と嘘つきなフィアンセ

  • 作家江原里奈
  • イラスト中田恵
  • 販売日2017/08/04
  • 販売価格400円

次々持ち込まれる縁談にうんざりのイケメン御曹司・伊集院翔。
「結婚じゃなくて恋がしたい!」そんな切実な願いを抱く彼の屋敷に、ある日可憐なメイドが現れる。
初日から大失敗して困っている彼女を、翔は助けることに。
その代わりにと彼が出した条件は「フィアンセのフリをすること」!
一方のメイド・西園寺由梨恵は内心怒り狂っていた。
実は彼女はお嬢様。自分の従姉とお見合いをし、すげなく断った翔に復讐するため身をやつして伊集院家に潜入中だったのだ。
ところが、フィアンセのフリをするうちに復讐を忘れて翔に惹かれていく由梨恵。
――イケメン御曹司と身分を隠したお嬢様が紡ぐラブストーリー、二人の恋と復讐劇の結末は!?

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プロローグ
──最後に恋をしたのは、いつだっけ?
 忙しさにかまけてプライベートをおざなりにしていたら、彼女いない歴がかなり長くなってしまった。
 今は、山と持ち込まれる「お見合い話」から逃げまくる日々にうんざりしている。
 俺は、毎日疲れているんだ。立っていても、うっかり爆睡しそうなほどに。
 金目当ての女に費やす時間があったら、ちょっとでいいから寝かせてほしい。
 できれば、無欲で天使みたいな女の子の膝枕だったら、最高なんだけどなぁ……。
 たぶん、そんな子がいたら久しぶりに恋ができるような気がする。
 そうだ……俺は、結婚じゃなくて恋がしたいんだ……!
1.新人メイドの大失態
 広大な屋敷の掃除というのは、なかなかやりがいがある仕事だ。
 藍色のヴィクトリアン・スタイルの制服に身を包んだ若いメイドは、重そうに担いでいたドイツ製の掃除機を床に置くと、大きな部屋の真ん中で溜息を漏らした。
 ヨーロッパ製クリスタルをふんだんに使ったシャンデリア、ルイ15世スタイルの応接セット、そして見事な彫りが周囲にほどこされたマントルピース。
(すごーい、マルメゾン城みたーい!)
 と、去年家族で訪れたフランス・パリ近郊の城を思い出し、思わずテンションが上がる。
 キョロキョロと辺りを見回しながら、彼女はマントルピースの上にある金縁の鏡に映る自分の顔を見た。
 そこには、絢爛(けんらん)豪華な大広間を背にして夢見がちな表情をしている美しい少女がいた。
「やだなぁ、メイド服って幼く見えちゃうのね」
 と、彼女は苦笑いして肩を竦めて見せた。
 くりっと大きな愛嬌のある瞳、色白で小さな顔。頬の微かな赤みとピンク色の唇。
 文句なしに、彼女は美少女と呼ばれる人種だった。
 生まれてから一度もパーマもカラーもしたことがない黒髪はつややかなストレートで、今は仕事のために高い位置でお団子ヘアにしている。
 制服はMサイズを支給されたが、細身の彼女が着ると胸以外はぶかぶかで生地が余ってしまう。白いエプロンでウエストを締めないといけないから、折れそうに細い腰が強調されて、やけに発達した胸が悪目立ちしている。
 清純なイメージを裏切る体つきのせいか、通学電車の中で痴漢に狙われること数知れず。
 そのトラウマと美人ゆえの潔癖さもあって、彼女は自分を物欲しそうに見る若い男が大キライだ。
 だから、断じて変態男をうっかり釣るようなこんな格好、好きでしているわけじゃない。
「さぁ、お仕事しなきゃ!」
 と、彼女はずり落ちそうになったエプロンの肩紐を直して、掃除機と仕事モードをスイッチONにした。
──彼女の名は、西園寺(さいおんじ)由梨恵(ゆりえ)。今年21歳の女子大生だ。
 その仰々しい名字が表すように、彼女はこれまでバイトなどしたことがない。いわゆる良家のお嬢様である。
 それがなぜ、大邸宅のメイドをすることになったのか?
 そこには、少々複雑な事情があった──。

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