夢中文庫

失恋ツアーコンダクターの絶頂トラベル

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  • 作家花房観音
  • イラスト雨野森
  • 販売日2012/11/9
  • 販売価格200円

海の見える豪奢な部屋に通されて最初に用意されていたのは、「ホルモン活性化」のマッサージ。アロマオイルが秘所まで滴り、男の指に甘いツボを捉えられると恥蜜が溢れ出し―「失恋 旅行」とキーワード検索をしていた菜々は「新しい恋を見つける旅」というサイトをある日見つけた。彼に別れを告げられ二ヶ月、思わず「参加」をクリックした―そして、夜。パーティではイケメン・ツアコンで彼女担当の岩崎と、男達が凝視する舞台で…。

さっきまで豪華なドレスを着てシャンパンを傾けて優雅にほほ笑んでいたはずなのに―今はもう一糸まとわぬ姿で―ううん、それどころじゃない―今まで彼氏にしか見せたことのない秘密の場所を大勢の男たちに眺められている―。

男たちの指が伸びて、身体のあちこちにふれる。ふれられたところが、全て性器になったように、敏感になって鳥肌が立ち、声をこらえることができない。

どうして、こんなことされてるのに、嫌じゃないの、私。

それどころか、男たちにふれられた身体は、自らを貫くものを欲しがって、腰を動かしはじめている。

「何がして欲しいのか、自分の口で言わなきゃダメですよ。欲しいものを欲しいと言える女性こそが、真に魅力的なのですから」

男の声に、うなずくより先に口を開いた―入れて―。

アフター5も週末も家に引きこもってばかりいると、ますます鬱々とした気分になる。それは承知しているのだけれども、友達と飲みに行って同情から来る慰めを聞くのもうんざりするし、街で幸せそうなカップルの姿を見かけると時に涙がこみ上げてくる。

だから家にいて、こうして無造作にネットを見たり、本を読んだりして過ごすしかない―倉下くらした菜々ななは、ため息をつきながらパソコンを立ち上げた。

学生時代から五年間付き合った彼氏に「他に好きな人ができた」と告げられてから二ヶ月が過ぎた。周りの友達も家族も公認で、いつか結婚するであろうことを疑ったことはなかったのに。

平日も週に二度、週末はずっと一緒に過ごしていた彼を失ってしばらく呆然としていた。一週間もしたら悲しみが押し寄せてきて毎日泣いて過ごした。時間が解決してくれるよ、他にも男はいるよと友達は慰めてくれるけれど、ずっと彼に一途だった菜々には、彼を忘れることは不可能だとしか思えなかった。けれど彼はもう新しい彼女と暮らし始めていると噂に聞いたし、よりが戻る可能性もないに等しい。

とにかく今は何もする気が起こらず、家でじっとするしかなかったが、それも苦しい。何か―気晴らしはないかな、旅行でも行こうかな―そう考えながらネットで「失恋旅行」のキーワードで検索していると、「失恋した女性限定・綺麗で魅力的な女性にうまれかわって新しい恋を見つける旅」というサイトを見つけた。

え? こんなのあるんだ……なんだかうさんくさいような気もする……だいいち、旅行に行ったぐらいで生まれ変わって新しい恋を見つけるなんで、できるわけがないよ―菜々は少し鼻白みながらもそのサイトを眺めていた。

行先は秘密のミステリーツアーで、現地のリゾートホテルにてエステ&アロママッサージ付き。夜はパーティで、豪華なドレスをレンタルしますので、お姫様気分が味わえます、とある。

値段は内容のわりには高くない……結婚資金にと貯めていたお金もあるし……家で悶々としているよりは、冷やかしついでに行くのも悪くないかも―菜々はそのサイトの「参加ボタン」をクリックした。

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