夢中文庫

不器用な彼の溺愛攻撃~彼の初めてをいただいてしまいました~

hinanokotori06_s
  • 作家ひなの琴莉
  • イラスト弓槻みあ
  • 販売日2016/01/12
  • 販売価格500円

麻友乃は15歳の時、全てを捧げた人がいた。就職するとなんと彼が上司だった。オフィスで体の関係を結び、付き合っていると思っていたのだが、ある日の朝礼で違う人と結婚することを発表したのだ。29歳になっていた麻友乃は裏切りに落ち込む。上司の結婚式を終えて、自暴自棄になった麻友乃は、会社の冴えない後輩安西と一夜を共に……。ことを終えた安西は「責任、取ってもらえるんですよね」と言い出し……。麻友乃は安西を警戒しながら見つめると……「俺、初めてだったんですよ。初めては麻友乃とするって決めていたんで」と言い出し、責任を取って「2ヶ月限定」で付き合うことに!?それからと言うもの安西からの溺愛攻撃がはじまった!

プロローグ
「お色直しを終えた新郎新婦の入場です!」
拍手の中登場したのは、麻友乃(まゆの)の上司である新郎の藤岡(ふじおか)龍平(りゅうへい)と受付嬢をしている高嶺の花と言われている新婦。
さっきの真っ白なウエディングドレスも似合っていたが、水色のドレスもよく似合っている。
――花嫁として隣に並ぶのは自分だとずっと夢見ていたのに、どうして……?
笑顔で拍手を送っていたが、麻友乃は心臓がえぐられるような思いで結婚式に出席をしていた。

結婚式が終わると、海の見えるレストランで二次会があり帰ろうとしたが後輩の優奈(ゆうな)に連れて行かれてしまった。
仕方がなく参加した麻友乃は、とりあえずアルコールを流し込んで過ごしたが、酔っ払って気分が悪くなり、外に出た。
ライトアップされた海を見ながら、夜風で火照った頬を冷やしていると、涙が溢れる。同僚に見られないようにそっと手の甲で拭う。
「どうして、こんな目に遭わないといけないの?」
小さい頃から真面目に生きてきたつもりだった。
なのに、酷い仕打ちを受けている。
(奥さん……幸せそうだったなぁ)
そんな時、友人の遥(はるか)の言葉を思い出し、頭の中でぐるぐると木霊していた。
――麻友乃は真面目すぎるよ。少し冒険しなさい。
(冒険と言っても、私なんか……誰にも相手にされないし)
「大丈夫ですか?」
びくっとなった麻友乃は、後ろを振り返る。
声をかけてきたのは、会社で冴えない後輩の安西(あんざい)だった。
ヤバイと思って逃げようとすると、手首をぎゅっと掴まれる。
その手は大きくてすごく熱い。
モジャモジャヘアーの前髪から覗く瞳には眼鏡がかかっており、目の縦幅は広くないが二重でとても澄んでいる。
目が合うと麻友乃は頬が熱くなった。
(ドキドキ……する)
――冒険。
どうせ、この会社も辞めるつもりだし、社内の人と何かあっても関係ない。
それよりも今は誰かに温めてもらいたい。
冒険、してみようかな。
麻友乃は緊張しながらもアルコールの力に任せて言葉を吐き出す。
「だ、大丈夫じゃないかもしれない」
「え……?」
「あの、ちょっと付き合ってもらえる?」
「喜んで」
麻友乃はついに、人生初のお誘いをしてしまった。
有沢(ありさわ)麻友乃、29歳。
(こんなノリ、私らしくない!)なんて思いながらも、よく知らない会社の後輩とラブホテルまで行ってしまった。

1 まさかの初めてを……
麻友乃は、映像制作会社Movieジャパンに勤務している。
都心のビルの22階と23階を借りており、その他、全国5箇所に拠点がある業界では名の知れている会社だ。
安西は映像編集部にいる映像ディレクターで、麻友乃は総務部だ。
ふたりは仕事でほとんど接点がない。
安西が総務部に書類を届けて受け取り処理をするだけの間柄で、お互いのプライベートのことは何も知らない。
安西の女性社員の評価はあまりよくない。
髪の毛はモジャモジャだし、いつも無表情なのだ。
ただ、仕事のセンスは抜群で、受注件数は多いらしい。
納品が早くて心を掴む作品を作っていると聞いたことがある。
作品を見たことはないけれど。
安西を誘った麻友乃は、近くのバーでお酒を飲んで理由も語らず泣いていた。
安西は黙ってそれに付き合ってくれる。

15歳の時に家庭教師として来てくれた藤岡は、麻友乃のすべての初めてを捧げた人である。
問題が正解すると頭を撫でてくれるのが嬉しくて、褒めてもらいたくて勉強を頑張った。
気がつけば麻友乃は恋をしていて、ご褒美はいつしかキスに変わっていた。
好きな人に褒められるのは最高に幸せだった。
ある日、藤岡の家に遊びに行くことになり、そこで初体験を済ませてしまったのだ。
それから親の目を盗んで会いに行くたびに、身体を重ねた。
しかし、社会人になった藤岡と会うことがほとんどできなくなり自然消滅した。
ところが、大人になった麻友乃が入社したところに、たまたま藤岡がいた。
しかも上司として再会したのだ。
麻友乃は、いつもひとりドキドキしていて、話しかけられるだけで緊張して固まっていた。
大人になっても藤岡を好きだったのだ。
ある日の会議終了後、片付けていた時にふたりきりになったのが、過ちの始まりだった。
「大人になって、ずいぶん美人になったな……麻友乃」
魅力的な笑顔を向けられてフリーズしていると藤岡はにやりと笑った。
「昔のままピュアだな」
顎をクイッと持たれて上を向かされると、キスをされた。
入社して4ヶ月目のこと。
藤岡も自分を思ってくれていたのだと思い感動すら覚えていた。
これが運命の恋だ。
小説に出てくるような話が実際にあるのだと、信じて疑わなかった。

それから、だんだんと藤岡の行為はエスカレートしてオフィスでセックスをした。
土日に会うことはなかったけど、付き合っているのだと思っていたし、社内でも人気がある藤岡だから、交際していることは誰にも言ってはイケないことだと勝手に考えていた。
それなのに、朝礼で突然結婚すると知らされたのだ。
これは公開プロポーズ?
なんて思っていたが話を聞いていれば、どうやら自分じゃないらしい。
受付に座っている高嶺の花と結婚すると言うのだ。
信じられなかった。
(嘘でしょ? だって藤岡さんと何度も身体を重ね合わせたのに)
家庭教師だった頃も、社会人になっても藤岡に「好きだ」と言われたことは一度もない。そもそも、自分が鈍感すぎ?
普通の大人の女であれば遊ばれていると気がついたのか?
遊ばれていると知った日は、とにかく悔しくて。
何か仕返しをしてやろうと思ったけど、麻友乃にはそんな勇気はなかった。
会社でも力のある藤岡をどうすることもできず絶望的な毎日を過ごしていた。
自分が辞めるか藤岡がどこかに異動になるか、それくらいしか立ち直れる方法はないと思った。
このご時世、簡単に再就職するのも難しいと思う。
きっと麻友乃はこの先……誰とも、恋愛ができないだろう。
この話を高校時代から仲のいい遥にすると、かなり怒られた。
「麻友乃は真面目すぎるよ。少し冒険しなさい」
「冒険?」
「麻友乃は男を知らなすぎるの。もっと恋愛をしなさいってこと。経験値を積みなさい」
「でも、好きでもない人と付き合えないよ」
これは、本心だった。いままで一筋で藤岡を愛していたのだ。他の誰かと恋に落ちるなんて怖い。
「好きまでいかなくても、許せるなって思った人とはどんどん付き合ってみようよ。ストライクゾーンを広げてごらん?」
自分がもっと器用な人間であればいいのにと心から思った。
冒険しようと安西を誘ったが、やはりできない。

オススメ書籍

kumanomayu04_muchu

美貌の子爵はときどき淫らに専属乙女を誘惑する

著者熊野まゆ
イラスト炎かりよ

きみのすべてを僕にさらして鎮めて欲しい。この、どうしようもない部分を――
私設美術館で働くダリア。実家は郊外の農家で幼い弟妹のために仕送りが欠かせない。
家族のために、そして誰にも教えていないある目標のために身を粉にして働かなくてはと思っている。
そんなダリアは館長のアルヴァンが少し苦手。美貌の子爵でもある彼はダリアと正反対で、遠い世界の住人だからだ。
ある日、アルヴァンは磨けば催淫作用がもたらされるといういわくつきの宝石を手入れする。
その場に居合わせたダリアは目の色を変えた彼から淫らな要求をされてしまい――!?
宝石の効果は本物なのか?
真面目な学芸員と美貌の子爵様のじれ甘ラブストーリー。
【挿絵入り!】

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

この作品の詳細はこちら