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愛されメイドはご主人様に逆らえません!

  • 作家本郷アキ
  • イラストまりきち
  • 販売日2018/03/16
  • 販売価格400円

突然の会社の倒産で職を失った美羽。家賃の滞納を招き、大家から出ていくように言われてしまう。空腹で眩暈まで。もう限界……と思った時、礼司と出会う。お金もなく、仕事もなく、住むところまで失った美羽に礼司は「俺に専属メイドになれ」と提案。二つ返事で了解したまではよかったが、広い部屋から出ることを禁じられ、することもなく放置。私はなにをすればいいの? 思いついたのはマッサージだったが、それを逆に施されてしまう。全身に感じる礼司の指先。そして熱い指先は大事なところまで……ダメと言っても止まらない。抵抗できない!そして俺様の礼司は美羽に命令する。「邸から出るな」ご主人様の命令には逆らえない!

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プロローグ
 初夏らしく澄み渡っていた空は薄暗くなり、日中の暑さは影を潜め心地よい風が吹いていた。
 街中にある看板や街灯に明かりが灯り始め、会社帰りのサラリーマンたちが駅への道を急ぎ足で歩いて行く。
 そんな中、駅前にある電話ボックスから出て、ヘナヘナと座り込む女が一人。
 ぐぅぅぅぅ~。
 空っぽのお腹が派手な音を立てた。
 あまりの空腹に足元がおぼつかない。
「二十三歳にして……職なし、金なし、宿なし……それに、彼氏もなし」
 お腹空いた~と腕を振り上げて叫ぶと、何事かと周囲の仲睦まじそうに歩くカップルやサラリーマンが振り返る。
 漫画喫茶やホテルに泊まるようなお金はない。ファストフード店で水でも飲みながら過ごすしかないかと、葦原(あしはら)美羽(みう)は手に持ったスケッチブックにハンバーガーの絵を描いた。
 もともとの華奢な身体はここ何日かまともな食事をしていないせいで、さらに細くなり、白い肌は青白ささえあった。けれど、持って生まれた愛らしい大きな目と、そう高くはないが小ぶりで形のいい鼻、プルンと厚めの唇は可愛いと形容されるものだ。
 ティーシャツにデニムという軽装は、けっしておしゃれとは言い難いが、よりいっそう美羽の素材の良さが引き立っていた。
 肩につかない程度に切り揃えられた風になびく髪を耳に掻き上げる仕草は、もうとうに成人したというのに、成長途中の幼さも感じさせる。
 しかし、神様から与えられたこれらの可愛いと称される容貌は、美羽にとってはどうでもいいものでしかないし、彼氏だの恋人だのと言っている余裕は今までの人生の中でもなかった。
「お腹、空き過ぎて……頭がクラクラする」
 目の前を流れる車のヘッドライトが真っ暗の中を泳ぐ蛍のように見えて、美羽はスッと吸い寄せられるように足を進める。
 タイヤがアスファルトを擦る音が、右から左に流れていく。
「ちょっと、あんたっ!」
 身体がガクンと揺れたと同時に、目が醒めるほどのクラクションが鳴り響いた。

 一ヶ月前──。
「あ~もうあと千円しかない。まあ、今日給料日だし何とかなるか」
 美羽はため息をつきながら、財布の中に入った一枚のお札を見つめる。
 一人暮らしはいろいろとお金がかかる。
 しかも、郊外とはいえ急行電車一本で都内中心部に出られるという立地の良い場所だ。
 午前七時三十分、アパートを出て桜の花が咲き誇る川沿いを歩きながら会社へと向かった。
 大学の頃から一人暮らししているアパートは、運良く都心にある会社から一時間程度の場所だ。大学の頃はバイトと勉強に明け暮れる生活に苦労したが、働き始め何とか薄給の美羽でも生活できている。
 駅からは遠いが、ユニットバスのワンルームで月に五万円。食費に携帯代金、光熱費、実家への仕送りで残るお金は少ない。
 それでもわずかばかりの貯金を毎月している。
 大学卒業後に就職したそこそこの中小企業は、仲間も優しく仕事も楽しい。働いてまだ一年しか経っていないが、美羽はこの会社に骨を埋める覚悟だ。
 子どもの頃から定職を持たない父と、パートをかけ持ち美羽を育ててくれた母を見ている。どんな仕事だって、頑張って続けてこそだ。
 このご時世、何の経験も資格もない美羽が再就職するには厳しい。もちろん、今の仕事を続けていきたいと考えているが、美羽の友人たちの中には一年持たずして仕事を辞めてしまった人もいる。
 その人たちをどうこういうつもりはないが、美羽としては与えられた仕事に感謝しながら全うするべし、だ。
 なのに──。
 ドラマの中でしか見たことのない現実が今、目の前にある。
 三階建てのビルの正面入り口、ガラス張りの自動ドアに貼られた紙がヒュウッと風が吹くたびに揺れる。
≪○×年三月三十一日をもって、倒産することになりました。売上、利益の減少による資金不足が理由で、負債総額は一億を超えて……≫
「と、倒産……って嘘でしょ~!?」
 何がなんだかわからない。パニック状態に陥ったのは美羽だけではないようで、まったく知らされていなかった他の同僚と共にビルの前で呆然と立ち尽くした。

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