夢中文庫

君色オフィス~年下男子に恋をして~

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  • 作家一文字鈴
  • イラスト炎かりよ
  • 販売日2016/04/25
  • 販売価格300円

初めて会った人なのに、彼のことが頭から離れない……。入社三年目の琴音がひと目惚れしたのは、新入社員の眼鏡男子・有栖川明。しかし彼は、同期の理奈に恋をしている。琴音は叶わない恋だと自分の気持ちを隠し、彼の恋を応援しようと心に決め、先輩として接するが、彼を好きな気持ちは深まるばかり。そんなある日、彼が理奈に失恋したことを知った琴音は、傷ついた彼を慰めるうちに押し倒されて驚く。彼女の身代わりでもいい……琴音は求められるままに体を重ねるが、翌朝、目を覚ました時に彼の姿はなく、『すみませんでした』と、謝罪するメモだけが残されていた。相手を想って空回りする、恋に不器用な二人の甘く切ないラブストーリー。

いつも一回目のアラームで目が覚めるのに、今日に限って寝過ごした。
「もぅっ、なんでこんな日に寝坊しちゃうのかな! 私のバカッ」
 初任者研修を終えた新入社員が、今日から職場に配属される。
 総務課会計係にも新入社員が入ってくるので、いつも以上に勤務態度に気を付けるようにと課長が昨日言ったばかりだ。
 私──速水琴音(はやみことね)は急いでベッドから飛び起きると、急いでクローゼットを開けてブラウスとタイトスカートのスーツの上下を取り出し、メイク道具を持って洗面所へ急ぐ。
 鏡を見て驚いた。何、この髪! どうしてこんなにはねてるの──っ。
 髪を乾かさずに寝た昨夜の自分を激しく後悔しながら、素早く髪をヘアブラシで梳(す)き、ポニーテールにまとめてシュシュでくくった。これならなんとか人前に出ても大丈夫だ。
 遅刻するわけにはいかないので朝食を諦めて、メイクを済ませるとショルダーバッグを肩にかける。
 一人暮らしのアパートに鍵をかけると、一番近いバス停まで走った。アパートから坂道を下り、右手に折れると丁度バスが見える。
「待って!」
 息を切らしながらなんとかバスに乗り込み、汗が引いた頃、バスはオフィス街の入り口に着いた。
 勤務先の城丸商事(しろまるしようじ)は、市外にも多数の支店を持つマーケティング業務の会社で、オフィス街に大きな自社ビルを構えている。
 バスを降りると、似たようなスーツを着た大勢の社員が足早に正面玄関を入って行くのが見え、始業の八時半に間に合いそうでほっと息をつく。
「よかった、ここまで来たらもう大丈夫……」
 ふと、ビルの外壁にもたれるようにして立っている男性に視線を奪われた。
 すらりと背が高い男性だった。黒縁の眼鏡をかけ、ダークブラウンの髪を風になびかせている。
 数メートル先から見ても整った顔立ちをしていることがわかるその人は、黒色のスーツを着て深紅のネクタイを締め、壁に寄り掛かったまま大通りの桜の木を見ている。
 朝の陽射しが彼の端整な顔に影を落としながら、薄桃色の桜の花びらが舞う中で彼の姿は一枚の絵のように美しい。
 私は思わず息を呑み、無意識のうちに足を止めて彼を見つめていた。
「うちの会社の人かしら……」
 社員数百人の会社なので、名前を知らない社員の人がたくさんいるし、彼がどこの部署の人なのかわからない。
 彼から目が離せない。しなやかで細い身体のラインといい、眼鏡が似合う端正な顔立ちといい、まるで桜の妖精のようだ。
 私の視線に気づいたのか、彼がゆっくりとこちらに顔を向けた。目が合ってしまい、ドキンと心臓が跳ね上がる。
 目を逸らせなくてはと思うのに、彼の眼差しに囚われたように視線を外すことができず、全身を電流が走ったような、今まで経験したことのない衝撃を感じて呆然と立ち尽くす。
 数メートル離れた距離にいる彼から目が離せず、彼も視線を逸らそうとしなかったので、無言のまま見つめ合っていた。
 どうのくらいそういていただろうか。彼がぴくりと肩を揺らして視線を反対方向に向けた。
 私も釣られるようにして視線を向けると、スーツ姿の若い女の子がこちらに駆けてくるのが見えた。明るい茶色のセミロングの髪をなびかせた彼女は、遠目に見ても色が白くてとても愛らしい。
 彼が瞳を輝かせながら彼女に手を振っているのを見て驚いた。
 彼女の方も、彼を確認してすぐに笑顔で手を振り返している。
「ああ、彼女がいるのか……」
 ぽつりと呟くと、自分が思っている以上にその言葉が胸を打ち、じわりと苦い痛みが全身に広がる。

ご意見・ご感想

編集部

年下メガネ男子との遠回りラブストーリー★★★
見つめ合ってスタートするドラマチックな二人の出会いが印象的。
しかも、同じ部署の新人だったなんて!!
素敵な予感しかしないではないですか((o(> < )o))

な~の~に~!!
有栖川君の片思いが発覚Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン

琴音ちゃんが健気すぎて……
有栖川君の気持ちが見えなくて……
ひたすらに琴音ちゃんを応援したくなりますっ
最後まで、ノンストップで読みきりたくなる作品です♪

2016年4月25日 3:55 PM

一文字鈴

初めまして!作者の一文字鈴です。
いつも応援してくださり、本当にありがとうございます……(*_ _)♪ 
夢中文庫様から、2冊目の新刊になります。

ヒーローが「年下メガネ男子」有栖川君です!
もうね、琴音ちゃんが惚れちゃうワケですよ。すごく恰好イイのです♪

そして可愛くて健気な年上ヒロイン、琴音ちゃん!
とってもお似合いなのに……二人の恋は、本当に前途多難なのです☆

他に好きな人がいる有栖川君に切ない恋をした琴音ちゃん……。

かわいそうなくらいジレジレする恋心に、読んでくださった方も一緒にキュンキュンしてくださるとうれしいです。

ぜひ、最後までノンストップでお楽しみください!どうぞよろしくお願いします……♪

2016年4月25日 5:27 PM

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