夢中文庫

この愛は偽装・・・・・・? それとも、真実ですか?

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  • 作家泉怜奈
  • イラスト夢志乃
  • 販売日2016/11/09
  • 販売価格500円

「いたってノーマルだ。コスプレをしろとも言わないし、縛らせろとも、目隠しもなしだ。普通に君を抱く。なんなら今試すか?」高級ホテルの客室清掃のバイトをしていた涼夏は空室のはずの一室で、全裸でバスルームから出て来た男と鉢合わせをする。再会したホテルのハプニング男は誰もが一目置くエリートのサラブレッド、桐谷の御曹司、要だった。怜悧な雰囲気を崩さない氷の美男子から契約恋愛を持ちかけられるが……。官能小説家の涼夏は傲慢な彼の態度に憤慨し、拒絶するも、執拗に彼に口説かれていくうちに彼の意外な一面に心が揺れて……。心も体も彼に捕らえられていくが、彼には涼夏に惹かれる理由があった。桐谷兄弟シリーズ第三弾。

出会いは突然素っ裸で
 間接照明が優しく廊下を照らし、毛足の長い絨毯(じゆうたん)が全ての音を消し去っている。ブランド物のアメニティ、真っ白なタオルやバスローブを積み込んだカートを引きずるキャスターの音などもちろんしない。
 さすが、星が5つの高級ホテルだけあると感心してしまう。ホテルの客室清掃の仕事に就いてまだ1週間、普通なら二人一組で仕事をするところを、相手が病欠の為、独りで行うという試練に直面していた。
 今朝方までコンビニでバイトしていた疲れが今頃出てきて、あくびが出てしまいそうになるのを、奥歯を噛(か)みしめて堪える。
 別にここであくびをしていても誰に見られることもないけれど、万が一宿泊客に見られてしまったら目も当てられない。客室清掃の仕事にも品が求められる高級ホテルなのだ。なぜか、若くて見栄えの良い女性が揃(そろ)っているのである。そのことに驚きはしたけれど、確かに若い女の子がメイド服もどきの制服を着ていた方が、高級ホテルには適しているのかもしれない。大したこだわりようだと感心してしまう。平均年齢22歳のメンバーの中、あたしは少し年上の25歳。微妙な年齢ではあるが、まだ若いと思っている。だからバイトを掛け持ちして、結構ハードなスケジュールもこなしながら生計を立てているのだ。
 さてと、次は1625室か。
 カートを部屋の前に置くと、もう一度部屋の番号を確認し、カードキーを差し込み中に入った。
「失礼しまーす。清掃です」
 誰もいないとわかっているが、一応声を掛ける決まりである。
 しんと静まり返った部屋に入るとまず目に入るのは、正面にある全面ガラス張りの窓だ。東京の煌(きら)びやかな夜景が堪能できるに違いない。
 応接セットにはワインのボトルと、グラスが2つあった。
 ホテルで用意されたクリスタルのワイングラスだ。赤ワインの香りが微かに部屋に残っていた。
 ふむふむ、ひとつだけグラスの縁に口紅がついているという事はカップルだったんだ。と、妄想を膨らませる。こんなお洒落な部屋で東京の摩天楼を眺めながら赤ワインなんて、ロマンティックじゃないか。あー、あたしにもだれかそんな素敵な夜をプレゼントして!
 なんてことを脳裏でコントのように繰り返しながらベッドに近づいて行った。
 テーブルを片付ける前にまずベッドのシーツを取り払い、バスルームの汚れ物を取り出す作業から始めなくてはならない。
 さてと、がんばろー!
 ダブルベッドのシーツをめくったその時、ガチャっとドアが開く音が背後でした。
 ドキンと心臓が大きく飛び跳ねた。
 あまりに驚きすぎてビクンと肩を揺らし背後に振り返る。
「ひっ」
 思わず鋭く息を吸い込み、予想外の状況に腰を抜かしてベッドに座り込んでしまった。
 目の前には長身で、手足の長い、程よく筋肉がついた、すらりとした──裸体の男性が、タオルで頭を拭きながらバスルームから、出て来たのである。
 裸体と言ったら、そのとおりすっぽんぽんだ。
 小説的に言えば一糸まとわぬ艶やかな姿。水も滴るなんとやら。
 いや、違うそうじゃなくて、確かに男性にしては、肌はすごく綺麗(きれい)だし、毛深くもないけれど……。それに、あ、あれが……!
 あたしの視線は男性の下腹部へとついつい向いてしまい、その人が頭を拭いていて自分に気がついてないことをいいことに、ドキドキしながら男の体を観察してしまっていた。もちろんこれは無意識にで、なんと言うか、不可抗力とでも言うか……。こういう時は可愛らしくきゃーとか言って顔を隠した方がいいのかもしれないが、いや、それが一般的な25歳の女性の反応なのかもしれないが、あたしの場合、これも勉強! とかそんなことを考えてしまって、つい目線はそこにくぎ付けになってしまったのだ。
 男性経験がそんなに多くなく、どちらかというと奥手な方で、こんな風にまじまじと観察したことはなかった。つまり男性のそれを。男性の裸をこんな目の前で、全身を見たのは初めてかもしれなかった。

ご意見・ご感想

編集部

桐谷兄弟シリーズ 衝撃の第三弾……!

氷のような鋭い視線と、素晴らしく冴えた頭脳…
そんなインテリ系次男・要さんと涼夏ちゃんは、
戦慄の走るような衝撃的な出会いから物語はスタートします!

頭が良いためか、ありえない提案をしてくる要さんを
最初こそ拒絶する涼夏ちゃんですが、意外すぎる一面に惹かれ始めて…♪

契約とわかっていても、まさに理想的と言える素晴らしい日々に、強く燃え上がる気持ち…
でもある日、涼夏ちゃんは要さんが自分に近づいた理由を知ってしまい…?

今までの、全ては、カモフラージュだったの…?
そうだとしても…

蕩けるような情熱的な時間と、どこまでもついてくる契約という縛り…
ドキドキハラハラの展開に、目が離せません…!
立て続けに起こるギャップの嵐、ぜひお楽しみください!
(※にゃんこもあるよ!)

2016年11月9日 12:40 PM

泉怜奈

夢中文庫さまから7作目を出させていただきました、泉怜奈です♪

はい、桐谷シリーズ第3弾です!

今回お猫様が出てきます。
お猫様はベンガル猫のベンくんです。このこがまたいい仕事をしてくれて目尻が下がりっぱなしでございます。

怜悧でハイスペック眼鏡男子の要は次男という立場上、かなりストイックな性格で自分を作りまくっています。
キレる男で策士な要にロックオンされたヒロイン、涼夏はそりゃあなた、逃げられるわけはありません。

熱烈に溶かされて、甘やかされていきます。
ここはもう情熱的なヒーローを堪能していただければと思います。

しかし要にはいろいろとやっかいな「過去」があり……。
事実を知った涼夏はショックを受けますが、持ち前のポジティブシンキングで「上等だ!」と一瞬立ち直るも……

今回のヒロインは逆境に強いポジティブガール。
そんな彼女を打ちのめしたのは、「彼から感じた愛はカモフラージュだったのか?」という疑念。

最後までドキドキハラハラ、楽しんでいただけますように!

2016年11月9日 6:33 PM

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