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エリート社長の溺愛!?花嫁教育

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  • 作家泉怜奈
  • イラスト夢志乃
  • 販売日2017/07/14
  • 販売価格500円

「温室育ちの世間知らずなお嬢様。そんな感じだね。君は僕の理想の足元にも及ばない。申し訳ないが、結婚など論外だ」
両親の溺愛の元育ってきた茉莉花は、父親の勧めで見合いをしたが、相手の実はとんでもなく失礼な態度で茉莉花をこき下ろしていく。
怒りと屈辱からその場で見合いを断ったが、父の会社のピンチを知り…。
IT界のプリンスと呼ばれている実の援助が必要となった茉莉花はもう一度彼に会いに行くことに。
事情を明かしチャンスを乞う茉莉花に突きつけられた条件は花嫁修業!?
逆らうこともできず、実と一緒に過ごしていくうちに意外な一面が見えてきて…。
そんな時、彼には社内公認の恋人がいることを耳にして…!?

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 その人はフランス製の有名な陶器のティーカップを貴族的とも言える優雅な仕草で持つと、ひとくち飲み、ソーサーに音もたてずに戻した。私はヨーロッパのロマンス映画を観ているのかと錯覚するほど洗練された彼の仕草から目が離せず、多分、失礼なほど見入っていたに違いない。
 男性の指がこんなにまっすぐで美しいと感じたのも初めてだった。それにもまして目の前の男性は高貴な血が流れているのかと思うほど、全てにおいて完璧だった。それはつまり私個人の主観なわけで、他人の意見も聞かないと信憑性において自分が正しいとは言えないのだけれど。とにかく、彼は私の25年の人生で出会った男性の中で、容姿や作法の面では完璧だと思えた。というのは中身についてはまだよく知らないからだ。
 穴が開くほど彼を見つめていた私の視線を感じたのかその人が不意に顔を上げた。ばっちり目が合ってしまい、思わずビクンと体が揺れ、息さえ止めて硬直してしまう。彼の次の行動を凝視してしまうのは防衛本能に他ならない。何を言われるのだろうと不安になる。すると彼は高級ホテルの座り心地の良い椅子の背に背中を預け、ふっと微笑んだ。
 シャープな印象のするすっきりとした奥二重の双眸を鋭く細める。そもそもクールなイメージの人だ。それが更に冷たい印象を強くさせる。私と言えば、何か文句を言われるのだろうかと身構え緊張でガチガチだ。
 彼のヘアスタイルは漆黒の短髪だが、前髪は少し長くそれを自然に流している。オーダーメイドと思われる体にぴったり合った三つ揃えのスーツは少し光沢がある素材でとても洗練されている。ネクタイも同系色でコーディネイトしていて、落ち着いた感じだ。確か36歳だと聞いている。どちらかというと年齢よりも若く見えた。肌の色はオークルで白過ぎず黒過ぎない。この人がIT界のプリンスと呼ばれているのを思い出し、確かにそんな感じだと勝手に納得していた。
 高級ホテルのラウンジにいても様になっている。落ち着いた大人の地位のある男性だという事は全身からにじみ出ていた。それに対して自分は、仕事もしたことのないお嬢様で、気の利いた会話さえできずに彼を観察しているしかない。
 ジワジワと焦燥に追い詰められていく。
「大澄(おおすみ)さんは、今の状況に満足してますか?」
 いきなり難しい質問を投げかけられ、私は早速パニック寸前だった。この質問は罠だろうか? そんな風にさえ思えて、どう答えていいのかわからない。自分の状況を考えると更に焦りだけが倍増していく。
 大学卒業して早3年。家事手伝い、つまり無職の私に対して満足してますか? との質問はかなりハイレベルだ。
「あ、あの。その、いえ、ま、満足と言うには……まだ……」
 彼の口角が上がった。笑ったのだ。きっとバカにされたのかもしれない。IT業界で名をはせている成功者の彼にしてみれば、家事手伝いの過去務めていた会社の娘と、こんな風に時間を潰しているのは不本意だろう。時間がもったいとでも思っているに違いない。そうきっと苛立っている。そんな風に思ってしまうほど彼には愛想のかけらもなかった。
「温室育ちの世間知らずなお嬢様。君はそんな感じだね。君の父上には大変世話になったし、娘に一度会ってくれと言われて断り続けているわけにもいかず、今回見合いのようなこの状況を引き受けた。が、しかし、もし君が僕との結婚を夢見ているとしたら、申し訳ないが、結婚など論外だ」
 一語一句聞き逃さず私は彼の言葉をしっかり噛みしめた。ちゃんと脳細胞に浸透しかみ砕き、ものすごい勢いで分析さえした。しっかりと彼の目を見つめて。
 私はその間、ただ硬直したまま彼の目を見据えていたのだが、こんなにはっきりと突き放されたのは初めてのことなのでまるで雲の上を歩いているように、現実味が全く持てず、言葉を理解しているのに夢の中にいるようなふわふわした気分のままではっきりとリアクションできなかった。
 初めて彼の眉間に皺が寄った。
「僕は昔の男とは違ってお飾りの妻など要らない。ビジネスの面でもプライベートの面でも常に対等なパートナーになれる女性が理想だ。君は僕の理想の足元にも及ばない。君にとっての救いは僕が処女に価値を見出していない点だけだろう」
 ふわふわした気分だった私はその言葉に雷に打たれたような衝撃を受けた。まさに丸焦げ寸前状態だった。一気に覚醒し、その反動で椅子から立ち上がってしまったほどだ。
「な、なんですって!? 大人しく聞いていたら、何なのよ、偉そうに。そんなにあなたがお偉いの? 確かにご立派でしょうよ。IT界のプリンス、新城(しんじょう)実(みのる)! 冗談じゃない。そこまで馬鹿にされて誰があなたと結婚なんてしてやるものですか! 父に頼まれたから、父の顔を立てるためにあなたに会っただけよ。こっちこそ、お断りよ!」

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