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運命の再会~永遠に契られた恋、時空を越え~

  • 作家泉怜奈
  • イラストロジ
  • 販売日2018/6/12
  • 販売価格700円

「命はいつか尽きるもの。肉体が朽ちても私の魂はお前を求め彷徨い、世紀が変わり、どんな時代になろうとも、この魂が必ずお前を見つけ出し、愛しあう」珠子は幼少のころから、祖母の家に行くと白昼夢を見ていた。祖母が亡くなり、その家を相続した珠子は痛い失恋を引きずる心を癒すために祖母の家に向かった。そこで青い瞳を持つ門倉に出会い、彼の手に触れた瞬間意識を失う。目が覚めたのはバロック様式の豪奢な屋敷、体を締め付けるお姫様ドレスを着ていた――まるで本当に体験しているように感じてしまう。珠子はどうやらフランスの貴族令嬢に憑依してしまっているらしかった。永遠に繰り返される輪廻、珠子の運命は動き出す。

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プロローグ
 サワサワと木の葉を揺らす緩やかな風が通り過ぎると、庭の落ち葉がダンスを踊るように舞い上がり赤茶色や黄色のグラデーションが目の前に広がった。それを目にした珠子(たまこ)は「うわぁ~」と歓喜の声を上げ、座っていた縁側から小さな足でぴょんと飛び降り、落ち葉が舞う楓の木に走っていった。
『ここだよ。ここにいる』
 そよ風に乗って珠子の耳に男性の甘く静かな声が届き、その場に立ち尽くした。今聞こえた声がどこから聞こえてきたのか視線を彷徨わせ意識を集中させるが、目に映るのは楓の葉がくるくると舞いながら落ちていく様子だけだ。
 パチパチと目をしばたたかせた珠子の視界に突然男性が飛び込んでくる。彼は楓の木の前に立っていた。日差しを受けて金色に輝く髪をした背の高い男性──その人が突然現れたことに口をあんぐりと開けたまま驚きながらも、顔をよく見ようと珠子はその人を見上げた。
 男性は珠子のちょうど横に視線を向けている。
 顎がつんと尖っておりまるで童話に出てくる王子様のようだ。白い肌のはっきりとした顔立ちで、瞳は今日みたいな鮮やかな青い空の色をしている。
(うわぁ、きれいな男の人)
 そう感じた珠子の心に別の感情が突如押し寄せてくる。なんだかすごくドキドキするのだ。息が苦しくなるほど鼓動が早くなり、胸のあたりがじんわりと熱くなっていく。
『アントニー様』
 自分の横で女性の声がしたことに珠子は驚きビクンと肩を震わせる。そっと注意深く声がする方に視線を向けると、そこに振り袖姿の女性が立っていた。
 その女性は髪をふんわりと結い上げていてとても綺麗だった。目が大きく魅力的で鼻は小さめで、唇はぷっくりとしているが大きくはない。卵のような顔の形だと珠子は思った。
 彼女はアントニーと呼んだ男性の方を見つめており、互いに見つめ合ったまま微動だにしない。
 珠子はまるでテレビでも観ているような気分で二人から目が離せない。胸に感じた熱はさらに熱くなり、いまだドキドキという音が耳に響いたままで、息をするのも苦しい。
 アントニーが彼女に近づきその両手を握りしめ、少し背をかがめ顔を近づけた。
 珠子の頬が熱くなり、いまや眩暈さえ覚えるほどで、息もできないくらい苦しくなった。
 アントニーが彼女を熱く見つめながらさらに顔を近づけ、唇をそっと重ねた。
 珠子はまるで自分にされたように唇にふんわりと柔らかな感触を感じた。息を止めたまま二人を凝視する。
『和蘭(オランダ)に戻らなくてはならない』
 掠れた声でアントニーはそう告げた。
『ぁ……』
 彼女の口からため息のような小さな声が漏れたと同時に珠子は泣きたくなるほど悲しくなった。突然押し寄せてきた悲しみに、アントニーにすがりつきたい気持ちが膨れ上がる。自分も連れて行ってほしい、離れたくない。──彼女の感情がまるで自分のことのようにはっきりと感じ取れた。
(連れて行ってって言えばいいじゃない!)
 そう思うのに言葉に出てこない。彼女は何も言わず彼から視線を逸らすと下を向いた。その刹那、ポロリと透明の滴が彼女の手を握りしめている彼の手の甲を濡らした。
『一緒に来てほしい。わたしと一緒に』
 彼女は下を向いたまま顔を横に振り、こみ上げる嗚咽を堪えている。
 珠子は胸が苦しくて苦しくて、体が震えだしてしまう。喉が痛くなり、鼻水と一緒に涙が溢れ出した。
「ひっ……ふ、ふぇ……ひぃっ……ひぃっ……ふわぁぁぁぁーー」
 瞳から大粒の涙を流し肩を震わせて珠子はしゃくり上げながら号泣し、その場にしゃがみ込んでしまう。
 縁側に座って珠子を見守りながら話をしていた祖母の初音(はつね)と母の喜代(きよ)は珠子の泣き声に驚き、二人一緒に駆けつけてきた。
「あらあら、一体どうしたの? たまちゃん」
 初音に抱きしめられ背中をさすられるが一向に涙は止まらず、悲しくて辛くて珠子は激しく泣き続ける。
「白昼夢でも見たのかしら?」
 喜代が首をかしげながらそう言った。
「もしかしたら、前世の幻覚でも見たのかもね」

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