夢中文庫

贅沢な恋愛、契約しました!

  • 作家神埼たわ
  • イラスト緋月アイナ
  • 販売日2018/6/15
  • 販売価格300円

実乃里はカレシである直人に誘われてシェアハウスに向かうが、オーナーの海藤からその話はなくなったと告げられる。もうすぐ引っ越し業者が来るというのに……茫然自失になっていたら、海藤から直人と別れるならシェアハウスの契約をするがと提案される。別れたらってどういうこと!? 驚く実乃里だが、別れるつもりはない。だがこのままでは住むところがない。とりあえず条件を飲む実乃里。いざ屋敷の中に入ると、ただ豪邸だというだけではなく、住んでいるのが海藤一人というではないか。これでは海藤と同棲するようなものだ。ドキドキする実乃里に、海藤は紳士的に接してくれるが――神埼たわが贈るキラキラ甘いラブストーリー。

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「もしもし直人(なおと)? どういうこと!?」
『あ、うん』
「ていうか、今どこなの!?」
『家』
 その呑気な答えに、私こと徳本(とくもと)実乃里(みのり)はスマホを握り締めた。
『引っ越しは中止だ』
「中止……!?」
 勝手なことを言い続ける。
「だったらどうして、連絡くれなかったの!?」
『忘れてたし』
「はあ!? こっちはもう前のアパートを引き払って、シェアハウスまで来ちゃったんだよ!!」
 小言を嫌う直人に、大声で叫んでいた。
   ***
 都内のど真ん中、目黒の高級住宅地に建つモダンな豪邸が、シェアハウスとして知り合いから借りられる。
 家賃はなんと光熱費込みで、月々三万五千円。敷金も礼金もいらないという──。
 そんなスペシャルな情報を手に入れた彼氏、打田(うちだ)直人から、一緒に入らないかと持ちかけられたのはつい三週間前のこと。
 大学の同級生で同じ部活、もともと友達だった彼からいきなり告白されたのは、三年の夏休み。
 背は低いけど、マスクはそこそこ。短気なところはあるが、持ち前のリーダーシップで、ぐいぐいと引っ張るタイプ。
 何事においても消極的、どちらかというと大人しい性格の私には、そんな直人がどこまでもカッコよく見えた。それに、好きだとも言ってくれている。
 友達から恋人へ。直人と付き合うことにした。
 いい加減な彼に散々小言を浴びせ、それが原因で喧嘩をし、別れかけたこともあったけど。結局は五年の付き合い。
 寝ても覚めても好きで堪らないというわけではなかったが、ファーストキスも初エ○チの相手ももちろん直人で。私は他の男性を知らなかった。
 一緒にいると楽だし、互いのこともわかり合えている。結婚するなら彼以外にはいない。
 そして今年私たちは、二十六歳。そろそろ将来のことを真剣に考えたかった。だけど直人の方は、まだまだそんなつもりはなさそうで。
 焦り始めていたとき、シェアハウスに一緒に入らないかと誘われたのだ。
「えっ、いいの……?」
「実乃里のアパート遠過ぎて、行き来するのが大変だから」
「うん!」
 私はひとり暮らしの部屋を、大急ぎで引き払う。
 長年住み慣れた町を離れるのは、寂しかったけど。今はそんな感傷に浸っている場合ではなかった。直人と一緒に、素敵なシェアハウスに住めるのだ。これが結婚へのステップになるかもしれない。
 現在両親と住んでいる彼は、すぐにでも引っ越すことができた。
 本当は一か月前に大家さんに申し出ることになっていたが、私の方はなんとか無理を聞いてもらい、三週間後に引っ越せることになった。
 ──待ちに待った引っ越しの当日。
「うわっ、ホントにすごい豪邸……」
 車が五台は停まるシャッター付きの駐車場に、カーキー色の外壁は建物自体の壁になっていた。想像していた以上に素敵で都会的、高級モダンな豪邸だ。
 いくら直人の知り合いでも、本当に家賃三万五千円で住まわせてもらえるのだろうか。あまりに立派な邸宅を前に、思わず不安になってしまう。
 前髪ぱっつんの肩までのボブヘアーに、メイクはリップクリームだけ。シンプルメイクは、学生時代とほとんど変わってはいなかった。
 唯一の自慢は、胸がCカップとまあまあ人より大きいこと。
 黒と白のボーダーTシャツに膝下丈のジーンズという格好は、誰が見てもダサ目カジュアル。
 そんな中高生のような外見の私は、引っ越し荷物を積んだトラックより一足早く到着し、緊張しながら玄関脇にあるインターホンを押した。
「はい」
 聞こえてきた男性の声に、
「こんにちは。本日から入居させていただきます、徳本実乃里です」
「えっ?」
「引っ越し荷物は、まだなのですが……」
 と、元気に話し始めたのだけど──。
「入居……!?」
 明らかに驚いている。
「そ、そうです……こちら、海藤(かいどう)さんのお宅、ですよね?」
 改めて、ガラス板にローマ字で書かれている表札を確認する。
「もしかして、今お話しくださっているのは、オーナーの海藤さんではないのでしょうか?」
 そうも尋ねたが、
「打田直人さんとは双方の話し合いで、入居はなくなりました。まさか、引っ越してこられたんですか?」
 呆れたようなインターホンの声。
「ええっ? そ、そうなんですか!? つまり私、こちらに住めなくなったのでしょうか……」

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