夢中文庫

伯爵さまは家庭教師に夢中

kirimaiko01_s
  • 作家桐舞子
  • イラストヨシザワ
  • 販売日2017/09/22
  • 販売価格400円

アンネマリーは男性不信から結婚願望を持てず、仕事に生きようとのどかな田舎で教師をしている。ある日、父の取引先から都会に住むアードルング伯爵の娘カロリーネの家庭教師をしてほしいと依願され、引き受けることに。カロリーネはふさぎがちの少女だがアンネマリーはすぐに打ち解けることができた。が、雇い主であるオスヴァルトの対応に手を焼くことに!?彼はアンネマリーが男性不信になった理由に対して「どうやら君にも家庭教師が必要なようだからね」と告げる。そしてアンネマリーが返事に窮している間にキスをしてきて、さらに――?ちょっと勝ち気な家庭教師と家族思いの伯爵とのハートフルラブロマンス。

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

第一章 冷たい伯爵
 アンネマリーは大きな欠伸をしながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。地方から都市までの長旅はとても退屈で、何度小さな口を開いてしまったことか。
 村の駅を出発してから、どれくらい経っただろう。長い時間を汽車で過ごし、持ってきた本を読破してもまだ時間が余る。
 それでも長閑な田園風景が続いていたのに、少しずつ建築物が多くなっていくところを見ると、目的地に近付いているのだなと感じられる。
「もうすぐかしら?」
 終着駅に到着したら、再び都会での生活が始まる。用事がない限り訪れることはないと思っていたが、また住むことになろうとは予想していなかった。
「久しぶりだわ」
 都会の女学院を卒業して以来だ。
 教師の資格を得て、故郷の村に戻って子どもたちに勉強を教える日々を送っていた。生まれ育った土地から出て、都会に住むことはもうないだろうと思っていた。
 だがある日、商売を営む父の取引先の男性から、さる貴族の家で家庭教師をしてくれないかと頼まれたのだ。
 都会に住むアードルング伯爵家には、七歳になる令嬢がいるのだが、その女児の家庭教師を探しているのだという。
 貴族令嬢の家庭教師ならば、知識や教養のみならず礼儀作法に至るまで、すべてを教え込まなければならない。女学院出身で、田舎で教師をしているアンネマリーより、大学を卒業したベテランのほうが相応しいはずだ。
 ところが田舎教師のアンネマリーに話を持ってくるだけあって、実際は厄介な頼みごとだった。
 この伯爵家令嬢のカロリーネは話せないわけではないのだが、無口で愛想がないらしい。そのため教師側も困ってしまい、すぐに辞めてしまうのだそうだ。
 悩んだ伯爵が知人男性に相談したところ、「地方に住む取引先の商人の娘が教師をしております。まだ二十歳と若いですが、ベテランを雇うより、歳の離れた姉のような女性のほうがよいかもしれません」と、アンネマリーを紹介したのだという。
 知人男性はさらに「都会の教師より、地方に住んでいる者のほうが活発な印象もございますし、内向的な生徒を良い方向へと導いてくれるのではないでしょうか」と付け加え、伯爵も賛同し、話が進められたとのことだった。
 父からは大事な取引先からの紹介だし、とりあえず伯爵家へ行ってみてくれないかと頼まれた。
 アンネマリーは当初どうしたものかと悩んだが、幸い村には他にも教師がいる。伯爵家側も困っているのだろうから、こんな遠くの地方に住む人間にまで、話を持ってきたのだ。
 それに内向的な令嬢のことも気になった。
 まだ若手の教師の自分だからこそできることがあるのであれば、ぜひとも力になりたい。
 アンネマリーは快諾し、こうして都会に来ることとなった。
「さて、と」
 汽車の速度が徐々に緩くなり、ようやく退屈な時間が終わろうとしている。
 荷物の入ったトランクを棚から下ろし、汽車が駅に到着すると、他の乗客に続いて降りていく。
 終着駅だけあって人の往来が激しく、降りる客もいれば、別のホームではこれから乗車する者もいる。また見送りに来ている人など様々だ。
 こんな大勢の中から、迎えに来ている伯爵家の執事を捜さなければいけない。
 すでに手紙で、伯爵家側にはアンネマリーの特徴は伝えてある。
 身長は平均よりやや低めで、細身の体型。輪郭は丸く、海のような青い目は大きく、逆に鼻は小さい。そのせいか見かけより二、三歳若く見られることがある。
 教師が童顔では生徒に舐められてしまうと考え、周囲には年相応の印象を与えようと、長い金髪は常に結い上げていた。
 これで相手が気付いてくれるといいのだが、アンネマリーは執事の年齢や特徴は知らない。それらしき雰囲気のある人を見つけようと、左右を見渡していた。
「汽車は予定どおり到着したのだから、もう来ているはずよね?」
 自問をしながら必死でそれらしき人を捜していると、白髪交じりの紳士が人混みの中から姿を現した。

オススメ書籍

asahiyurine_hokora02_muchu

揺れる愛、乱れ惑う 闇の花2 ~祠☆闘士シリーズ~

著者朝陽ゆりね
イラストもなか知弘

「礼なら涼に言ってね。彼の優しさと、警察官の誇りに感謝してよ」内科医で除霊師の相田透子は、恋人の田神涼にかつて冷たく接していた。自分と関わることで危険な目に遭わせたくなかったからだ。けれど、真っ直ぐな心を向けてくる涼を愛していると自覚し、護ろうと心に誓う。警視庁捜査一課の刑事である涼は、その正義感と人を引き付ける魅力、そして彼自身が『水の祠』であることから、敵である矢代征一朗の妹怜柯を救出する依頼を受け、助け出したことで怜柯から惚れられてしまった。心中穏やかではない透子のもとに、征一朗の命が危ない、助けてくれと涼から連絡が! 祖父を征一朗に殺された透子はどうしても許せないが…

この作品の詳細はこちら