夢中文庫

素直になれない女王様~期限付きの恋人~

  • 作家桐野りの
  • イラスト繭果あこ
  • 販売日2016/11/22
  • 販売価格400円

『氷の女王』と呼ばれるファッション誌編集長、姫川麗華は秘書の烏谷真也が大の苦手。事あるごとに口説いてくる軽いところが嫌なのだ。ところがある時、麗華は烏谷と1週間限定の恋人契約を結んでしまう。「1週間、俺を見ていてください」そう言って突然麗華を押し倒す烏谷。大人の余裕で期間限定の恋を楽しむつもりが、あっけなく動揺させられて麗華はたちまち逃げ腰に。(彼は確かに魅力的。でも遊び人はまっぴらなの!)どんなに逃げても追ってくる烏谷に困り果てていた時、助け舟が現れた……!プライドを持って働く大人の女性も、恋の前にはただの悩める乙女に変わる。契約切れの朝2人の間に生まれたものは…?ロマンティックオフィスラブ

◆一話
 九月のある朝、ファッション誌「プリンセスリバー」編集室では、新年号の編集会議が行われていた。
 二十七歳の若き女編集長、姫川麗華(ひめかわれいか)は、会議の時だけつけてくる黒縁眼鏡をくい、とあげ、鋭い目でスタッフを見回した。
「さっきからずっとセンス悪い服ばっかり。特にこのシャツドレス、一体誰が用意したの?」
 明らかに不機嫌とわかる暗い声のトーンである。スタッフたちの間に動揺したような雰囲気が流れ、衣装を身に付け、ポーズをとっていた若いモデルたちも、一斉に不安そうな表情になる。
「僕です。姫川編集長。ヨージーデザインの新作です」
 コーディネーターがひきつった顔で片手をあげた。
「襟の形が古すぎるわ。色も暗いしこれじゃ写真映えしないでしょう。これも、さっきのも全部ボツよ。プロならちゃんと仕事して」
 麗華はファイルを小脇に抱え、立ち上がった。
「来週また仕切り直しましょう。頼んだわよ」
 背中にじっとりとしたスタッフたちの視線を感じながら、麗華は会議室を出た。
「聞いたか? 全部やり直しだと? 編集長は一体なにを考えてるんだ!」
 ドアごしにコーディネーターの不満げな声が聞こえてくる。
「……文句を言っても仕方ないわ。彼女は姫川グループのお嬢様だもの。言いつけを守らなかったら姫川社長に叱られるわよ。俺の娘をいじめるな、って」
 女性スタッフが嫌味な言い方でコーディネーターを慰めていた。
(こらこら、全部聞こえてるわよ……っていうか、これ、絶対にわざと聞かせてるよね)
 嫌味で鬱憤を晴らすような連中に付き合う暇はない。
 麗華は己を鼓舞するようにハイヒールを鳴らし、自分のデスクに向かって歩き始めた。
 しかし続けて聞こえてきた男性スタッフの声に歩みを止める。
「あーあ。結局うちは『氷の女王』のワンマン雑誌だよな。なんかやる気がそがれるっつーか」
(はぁ? 『氷の女王』? それから『ワンマン雑誌』ですって……?)
 そう呼ばれていると知っていたはずなのに、直接聞くと意外なほどカチンときた。
 麗華はくるりと体を返し、会議室へと引き返した。
(ワンマンにならざるを得ないのは、あんたたちが無能だからでしょ!)
 それくらいのことは、言ってやろうと、ドアノブに手をかけた時、
「言いたいことがあるなら、本人に直接言えばどうですか? なんなら俺が伝書鳩(でんしよばと)になりますよ」
 妙に説得力のある、落ち着いた男性の声が聞こえてきた。
(烏谷(からすだに)だ……)
 麗華はドアノブから手を離し耳をすませた。
「さぁ、誰からでも順番にどうぞ」
 抑揚のない、ぶっきらぼうとも言える話し方。
 なのに、なぜか秘書の烏谷は、いつも不思議と人との軋轢(あつれき)を生まない。
 自分でもそれがわかっているから、言葉足らずな麗華をカバーするために、会議室に残っているのだろう。
 案の定ざわめきはぴたりと止まった。
「伝言はないようですね。じゃあ後は頼みますよ」
 近づく靴音に麗華は慌ててドアの前から離れた。追いつかれないように足を速める。
 しかし、すぐにドアが開き、
「あれ、編集長」
 ほんの少し歩いたところで、あっけなく彼に見つかってしまった。
「今の話、聞いてました?」

ご意見・ご感想

編集部

慣れない職場で頑張りが空回り気味の麗華さん…
思わず仕事もワンマンになりがちで、影では「氷の女王」なんて言われているけれども、
それを聞いて傷つかないわけじゃないんです…(;_;)

そんな彼女があまりのしつこさに根負けして、
思わず1週間の恋人契約を結んだのが秘書の烏谷さん…!
「俺を見ていてください」
なんて言われてはいそうですか。となるわけではなく…
麗華さんがあの手この手で逃げようとするのを、
烏谷さんがこの手あの手で追いかけます
(*´艸`*)

おふたりの攻防戦はさることながら、烏谷さんの蕩けるような
溺愛っぷりにも注目です♪

臆病な女王様の恋の行く末は…?
逃がさない系ヒーロー×逃げる系乙女の駆け引きオフィスラブ
ぜひぜひお楽しみください!

2016年11月22日 12:09 PM

オススメ書籍

溺愛お見合いスイーツラブ!~耽美御曹司からのロックオン~

著者有允ひろみ
イラスト霧夢ラテ

ぽっちゃりなのはわかってる。だけどスイーツ愛は止められない。そんな姫子に、祖母が勝手にお見合いを決めてきた。親友の孫で、大会社の跡取り息子の慎太郎だ。長身、イケメン、御曹司。ホントに?向こうはきっと義理立てしてる。お見合いには抵抗があるし、相手にも懐疑的な姫子ではあるが、やむなく了承する。どうせ断られるんだから高級ホテルの期間限定スイーツを堪能したらいいや、そんな気持ちで臨むことに。ところが話は弾み、なんだか楽しい。調子に乗ってスイーツの話をしていたら、慎太郎がいきなりキスを!ここ、公衆の面前なんですけど!そして断られると思っていたのに、慎太郎は交際を求めてきて…こんなぽっちゃりでいいの!?

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

この作品の詳細はこちら