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代筆恋愛~年上小説家に愛されて~

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  • 作家黒田美優
  • イラストにそぶた
  • 販売日2016/12/07
  • 販売価格400円

今度こそ“代筆”ってやつを手伝わせてもらうんだから!──隣に住む優しい兄のような存在・柚木がちょっとしたハプニングで利き手を骨折してしまった! 彼の職業は小説家…原稿の締め切りが間近に迫った危機的状況に、眞実は自ら「代筆」を申し出る。しかし、その申し出をなかなか許可してくれない柚木。実は、柚木が書いている小説は…大人向け恋愛小説だったのだ! その事実を聞いた眞実は戸惑いながらも、どうしても柚木の力になりたいと彼の書いた小説を読み始める。想像をかき立てられる官能的な表現にドキドキして、次第に体が火照っていく…そんな時、柚木に後ろから抱き寄せられてしまい――!?

楠眞実(くすのきまみ)は言われるがままに文庫を受け取ると、まず表紙を見た。
 赤いドレスを身に纏(まと)った女性が悲しそうに微笑んでいた。黒い背景に赤いドレスがよく映える。
「『華は咲く場所を自ら選ぶ』……」
 思わずタイトルを口にした。この女性が“華”なのだろうかと直感的に眞実は思う。
 表紙をつまみ、そのページをめくる。文庫本を眞実に手渡した和服姿の男、安藤柚木(あんどうゆずき)をちらりと見た。眞実よりも高い身長に自然と上目遣いになる。切れ長の色素が薄い瞳、明るめの髪色が和服とミスマッチであるが、その瞳は真剣そのものだ。見つめ合い、沈黙する。そこに男女の甘い空気はない。張りつめた緊張感だけがそこにはあった。
 眞実の目線を読み取るように柚木は頷(うなず)く。夕日が柚木の髪を橙色に染め、整った顔立ちに影を作った。
「読んでもいいよ。読んで、眞実が俺の代わりに書けるっていうなら書けばいい。でも、それを読んで俺のことを嫌いになっても知らないから」
 どこか突き放すような冷たい言い方。
 それは眞実の知っているめんどくさがり屋で気さくな、隣に住む“優しいお兄ちゃん”ではなかった。知らない“男の人”だ。
 眞実は唾を飲み込んで喉を鳴らす。焦りを隠すように、ショートボブに切りそろえられた赤茶色の髪を耳に掛ける。そうして、覚悟を決めて文庫本のページを捲(めく)った。
 その様子を見た柚木は照明器具から垂れる紐(ひも)に手を伸ばし、部屋を明るくした。そのまま畳の上で胡坐を掻(か)く。
「立ったままじゃなくて座れば?」
「あ、うん」
 眞実が促されるままに座ろうとした時、着ていたパーカーの裾を柚木に引っ張られ胡坐の上に尻もちをついた。
「ゆ、柚木お兄ちゃん!」
「別にいいだろ? 昔はよくこうやってた」
 抗議しようとする眞実に柚木は淡々と言い放つ。眞実はそんな冷たい口調で話す柚木を見たことがなくて、それ以上は言い返さなかった。
「もう……」
 いつもとは違う調子の柚木に居心地の悪さを感じながらも、眞実は本に目を落とした。
 ヒロインが男と交わっているところから、その小説は始まった。
 経験の浅いヒロインが好意を寄せている男性とは違う男性と気の迷いで夜を共にしてしまう。
 男の存在を言動で拒否しながらも、体は正直に反応を示し、流されていくヒロイン。
 卑猥(ひわい)な隠語、表現、苦し気に喘(あえ)ぐヒロイン、それを意地悪くなじる男。
 激しく始まった冒頭は情熱的で背徳感があった。
 眞実は柚木にばれないように静かに息をつく。
 顔は火照り、心臓がいつもより早く鼓動を刻んでいた。
 眞実は小説でこんなにも想像をかき立てられることを知らなかった。文字の羅列が次第に脳内に映像を作り出し、キャラクターの息遣いが聞こえてくるようだ。官能的で、体を動かす時に聞こえるであろうベッドの軋(きし)む音や布と体が擦れる音が耳の奥で聞こえる気がした。その事に気づき、羞恥から思わず文字から目をそらしてしまったのだ。
 柚木と密着している太ももが汗ばんできているのがわかる。
(まさか、柚木お兄ちゃんが書いている小説がちょっとエッチな恋愛小説だなんて知らなかった……。しかも、結構生々しい。これを、私がお兄ちゃんの代わりに書くの?)
 眞実はそう思うと次第に手のひらからも汗が滲(にじ)み始めた。
 中高とエスカレーター式の女子学校に通っていた眞実にとって“行為”に知識があっても経験はなかった。高校を卒業してフリーターになった今でもそれは変わらない。
 男性が苦手なわけではないけれど、どう接していいかわからず未だに彼氏ができたことはない。
 そんな眞実にとって柚木は異性の中でも自然体でいられる貴重な存在だった。
「眞実、手が止まってるみたいだけど。もう読むのをやめるのか?」

ご意見・ご感想

編集部

家が隣同士で兄妹のように育った、眞実ちゃんと柚木さん。
成長した今でもその関係は変わらず、
お互いがありのままの心でいれる、とても大切な存在でした。
ある日、ちょっとしたハプニングにより柚木さんが利き手を骨折…
小説家の柚木さんは、執筆が難しい状況になってしまうのです!(>_<)

そこで眞実ちゃんが「代筆」に立候補!したのですが…
なかなか許可してくれない柚木さん、実はその理由は、
柚木さんが「大人向け恋愛小説」の作家さんだから──!

初心な眞実ちゃんは、手とり足とり教えられる官能に翻弄されていきます…!
高鳴る胸は恋愛小説のせい?それとも……

代筆がもたらす恋の予感、ぜひご覧ください!

2016年12月7日 11:53 AM

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