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恋する狼の甘い誘惑~幼馴染と秘密の関係~

  • 作家マイマイ
  • イラスト中田恵
  • 販売日2016/06/17
  • 販売価格400円

ベッドよりも立たされたままの方が好きなんだろう、変わってないな、おまえは――男性との付き合いに消極的な藤咲裕果。それでも同僚であり良き友人でもある正樹となら、恋人になってもうまくやっていけそうだと感じていた。ふたりの関係が進展し始めた矢先、偶然訪れた店で裕果は幼馴染の楠木明に再会する。その瞬間、狂ったように互いの体を求め合った五年前の夏が思い出され、気持ちに反して再び明を渇望するようになる裕果。「明なんか大嫌い……」そんな言葉をも愛しそうに受け入れ、裕果のすべてを包み込んでいく明。全てを見透かしたような明に心も体も翻弄されながら裕果が見つけた危うくも揺るぎない本心は……


 真っ赤な舌先が薄桃色の乳首に触れた。
 温かくぬるりとした感触に肌がざわめく。
 きつくつかまれた乳房が、男の指の形にあわせて歪められていく。
 やめてよ、と怒鳴りつけたい。
 それなのに口から漏れだすのは、熱い吐息交じりの小さな喘ぎ声だけだった。
……こんなことをされるために来たわけじゃないのに。
 そう思いながらも、身勝手な男を受け入れていく自分の体が嫌になる。
 ここにいるべきじゃない。
 逃げたい。
 だけど。
 藤咲裕果(ふじさきゆうか)は冷たい玄関ドアに背中を預けたまま、ぼんやりと立ち尽くすことしかできずにいた。
 ひとり暮らしには贅沢過ぎる、タワーマンションの最上階。
 白と黒で統一されたお洒落なリビングの奥には、壁一面に目も眩むような夜景が広がっている。
 テレビドラマや雑誌でしか見たことのない光景。
 まるで現実感がない。
 ここに幼馴染の楠木明(くすのきあきら)が住んでいることを知って一週間。
 裕果はほとんど毎日のようにこの部屋を訪れている。
 懐かしい思い出を語り合うためでも、お互いの近況を報告し合うためでもない。
 ただ、五年前の秘密を守ってほしいと説得するために。
 ぴちゃ、ぴちゃ、と唾液の音が鳴った。
 丸く突き出た乳頭が、左右に転がすようにして舐められていく。
 敏感な突起を労(いた)わるように、どこまでも優しく。
 じん、じん、と胸の芯が痺れている。
 ときおり上下の歯で挟まれ、やんわりと噛まれる刺激がたまらない。
「あ……明……もう、やめて……」
 ヒールの高いサンダルを履いたままの両脚がガクガクと震えた。
 ゆるくカールした長い髪が、ドアと背中に挟まれてくしゃくしゃに乱れていく。
 足元に落ちた白いワンピースはボロ布のように破れ、踵(かかと)の下で黒く汚れている。
 今日は玄関に入ったとたん、いきなり抱きすくめられた。
 洋服とブラジャーを剥ぎとられながら何度もキスをされ、その後は執拗に胸を愛撫され続けている。
 いま裕果がサンダル以外に身につけているものは、小さなリボンがついた桃色のパンティ一枚だけだった。
 その薄布の内側は、もうぐっしょりと濡れている。
 明はそっと顔を上げ、小さく笑った。
「やっぱりおまえは変わってないな、裕果」
「えっ……」
「ベッドで普通に抱かれるより、こうやって立たされたままやられるのが好きなんだろう?」
 低く囁かれる声が、しっとりと心の奥まで流れ込んでくる。
 それと同時に、聞こえるはずのない数々の音が耳の奥に蘇ってきた。
 うんざりするほどの蝉の声、涼しげな小川のせせらぎ、むせ返るような緑と土の混じり合った匂い。
 ざらついた木の肌にしがみつきながら、何度となく背後から突き上げられた夏の日。
 まだ二十歳になったばかりの頃だった。
 抱き合うことができれば、それでよかった。
 他には何もいらなかった。

ご意見・ご感想

編集部

幼馴染……その響きから甘くて淡いコットンキャンディのような思い出を連想しますか?

本作品、裕果にとっての「幼馴染」は苦くて大人の味がする、でも心が奪われて
やみつきになってしまう……そんな危険な香りの媚薬のような存在です。

――静かに、でも確実に裕果の心に沁み込んでくるのは明からの愛
――憎まれ口を叩いて心で反発しているつもりでも体は正直だから騙せないの

どこまでも深く強く私を縛って……

「お前は俺から離れられない」
そんな確信を裕果にはあえて見せない、オトナな明さんの誘惑に……ぜひとも引き込まれまくって下さい!!
二人だけの深淵愛の世界を覗いてしまったあなたもまた、その世界から抜け出したくなくなってしまう筈だから……

ムーディーでセクシャルな世界観をお伝えしたく、珍しく(笑)しっとりなコメントに
してみましたが、読んだ後には心身の熱量がハンパない!
お楽しみ下さいませ♪♪

2016年6月17日 1:53 PM

マイマイ

編集部様、今回も素敵なコメントありがとうございます!

本物の恋愛の渦中にいる人間は、きっとそのことに気付かない。
気が付くのは、ずっと後になってからだろうなと思います。

誰かのことを好きになる気持ち、恋する想い。
もしもそれを自覚する前に彼の体が欲しいという衝動に駆られてしまったら。
そして彼がそれよりもさらに深く、自分のことを求めていたとしたら。

思い切りわがままで情熱的なふたりきりの世界。
きっとそれは、心ならずもまわりの人間を振りまわしてしまうはず。

だけど人生なんて限られた時間なんだから、自分に正直にならなくちゃ損。
ぐだぐだ考えてないで、一番惹かれる人の胸に飛び込んじゃえばいいんだ!
とかなんとか思いながら書きました。

今回もふんだんにエロ場面を盛り込んでありますので、
そういう意味でもお楽しみいただけましたら幸いです。

2016年6月17日 4:31 PM

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