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おっとり神官の溺愛指南~永遠の誓いは神様の前で~

  • 作家水戸けい
  • イラストにそぶた
  • 販売日2016/12/20
  • 販売価格500円

天使のかんばせを持つ新任の神官カシムに夢中になる若い娘たち。美貌の姉と比較されないよう、おてんばに育ったアリーは、浮かれた雰囲気になじめない。そんなアリーの、さりげなく人を気づかえる優しさこそが美しいと思うカシムは、アリーのコンプレックスを知り、彼女の腰を引き寄せささやく。「君が愛されるべき存在だと、僕が教えてあげよう」自分の容姿に自信が持てない心優しき娘アリーは、美貌の神官カシムの官能的な愛され方の手ほどきに、胸をとどろかせつつも自信を持てない。カシムの素朴な内面を知るごとに惹かれていくアリー。そしてカシムもアリーの内面の美しさに惹かれ、この出会いは神の導きだと思極めるが……。

1.美しき神官と真っ赤な巻き毛
 新たな神官が赴任してくると聞いた人々は、次の礼拝の日を待ち遠しく過ごしていた。
「新しい方って、とっても若くてステキな人らしいわよ」
「ヘビアス様も素晴らしい神官だけれど、私たちの恋の相手と考えると、ちょっとお歳を召されすぎているものね」
「だからヘビアス様は故郷へお戻りになられるのよ。息子さんから、戻ってきてほしいって連絡があったんですって」
「奥様が亡くなられて、ひとりきりになってしまったんですもの。当然よね」
 貴族の中でも変わり者か、家を継がなくてもいい者が選ぶ職業のうちのひとつ、神官職の独身者は未婚女性にとって魅力的な相手だった。社交界のわずらわしいお世辞や見栄から解放される上に、赴任先で人々に尊敬され、愛されながらゆったりと日々を過ごせるからだ。
 しかも相手が優秀な神官であれば、帝都にある中央神殿へ呼ばれることもある。若い娘にとって人や物、さまざまな土地の文化が集まる帝都はあこがれの土地だった。
 娘たちが夢中になるのも無理はない。
 さえずる年頃の娘たちの中にあって、アリー・ミディスンだけは彼女たちの話題に興味を持っていなかった。
(どんな神官がいらしても、私には関係ないわ)
 真っ赤なクセ毛を指にクルクル巻きつけながら、アリーは退屈の息をこぼした。
(誰が来ても私に魅力を感じるはずはないし、異性の興味を引くために胸を強調したり、動きづらいドレスを着たり、ちっとも楽しくないのに笑顔を浮かべたりするなんて、つまらないもの)
 それよりも馬に乗って駆け回ったり、たわいもないことで友人と笑い合ったりするほうがずっと楽しい。けれどこの調子だと、お茶会はしばらく新たな神官の話題ばかりになるだろう。
(新しい神官が、とっても太っていて目が糸のように細くて、立ち居振る舞いが下品な人だったらいいのに)
 そうすれば恋について、娘たちがさえずる声もちいさくなり、いつもの話題で盛り上がれるから。
 そんな、望みとも願いともつかないアリーの思惑は、礼拝の日にヘビアス神官に紹介された、カシム・ソロイアークの姿に砕け散った。
 あちらこちらから、好意的なさざめきが湧き起こる。
「……天使だわ」
 それが自分のつぶやきだと、アリーは気づけないほど彼に惹きつけられていた。
 見事に輝く上品な金色の髪に、シミひとつない白い肌。柔和な瞳は晴天とそっくりな青色で、スウッと通った鼻筋は男らしく、唇は艶やかな血色をにじませている。
 絵画にある天使そのものだと、アリーは自然に胸の前で指を組み合わせた。
「カシム・ソロイアークです。いたらないところも多々あるかと思いますが、よろしくお願いいたします」
 大きな声を出しているわけではないのに、カシムの声はよく通り、教会の隅々にまで響いた。その瞬間、教会に差し込む光が強くなった気がしたアリーは、めまいをおぼえた。
「ほんと、アリーの言うとおり天使みたいな人ね」
 耳元でささやかれ、アリーはハッとして横を向いた。隣にいた友人は、にっこりとする。
(私の言うとおりって……。私、そんなことを言ったかしら)
 覚えはないが、きっと言ったのだろう。
 カシムに視線を戻したアリーは、あらためて見てもやはり美しいと、カシムの優雅さに自分の望みが砕けたことを知った。
(神様はいじわるだわ。私の願いとは正反対の、とんでもなくハンサムな神官を連れてきてしまったんだもの)
 これでは友人たちだけでなく、年頃の娘を持つ親たちも彼に夢中になってしまう。お茶会の話題は誰が彼を射止めるかに集中し、誰もが草花の変化や鳥の声を意識しなくなるだろう。
(つまらないわ)
 こっそりとため息をついたアリーは、教会を出たところで予想よりもずっと人々が浮かれていることを知った。

ご意見・ご感想

編集部

――君が愛されるべき存在だと、僕が教えてあげよう。

豊満なボディと誰もが振り向くような美貌を持つお姉様と比較され
自分には魅力がないと思っている今作のヒロイン・アリーちゃん。
そんなアリーちゃんが住む村に神官として赴任してきたのは
金髪碧眼の天使のような美貌をもつカシム様…!

色めき立つ村の女性たちと同じように
カシム様の美しさに目を奪われたアリーちゃんでしたが…
自分には関係のないことだわ!とつんけんした態度をとります…

しかしそこは神に仕える神官様!
愛され方を知らない、自分に自信がないと迷えるアリーちゃんに
手とり足とり腰とり?! 甘い愛を教えちゃいます
(*/▽\*)

愛を教えつつ、教えられつつ…
アリーちゃんは自分の本当の魅力に気づくことが出来るのか!?
お楽しみください☆

2016年12月20日 4:28 PM

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