夢中文庫

若女将は年下御曹司に魅了される

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  • 作家深雪まゆ
  • イラストにそぶた
  • 販売日2016/07/20
  • 販売価格400円

「お前がピンチのときは絶対に助けてやる」――近くに出来た新しいホテルのせいで窮地に陥っていた実家の旅館を救うため、杏奈は保育士の夢をあきらめ若女将として働く決意をする。しかし経営はさらに厳しくなる一方。そんな中、長期の宿泊客として現れたのが、爽やかな印象の那雪だった。なぜか彼は杏奈やこの旅館の現状を知っていて、どうやらこの旅館へやって来たのには特別な理由があるようだった。那雪を目にする度に、ざわりと胸が騒ぐ。そんな彼に「俺のものになればこの旅館を救ってやる」と尊大な言葉で迫られ大ピンチ。強引な行為を拒みきれずに組み敷かれ……。幼い頃に交わしたあの言葉が、再び運命を結んだと知った杏奈は――。

長春色の作務衣(さむえ)姿で、広い玄関先を掃除している御笠杏奈(みかさあんな)は、西に傾きつつある眩しい日差しに手をかざした。真夏の厳しい日差しは鳴りを潜め、川上から流れ込んでくる涼やかな風が頬を撫(な)でる。この時間の空気が好きで、杏奈は目を閉じて深呼吸をした。
「杏奈、そろそろ着替えないと、お客さん到着するわよ?」
「あ、はーい!」
 その声に反応して顔を上げ、パタパタと足早に引き戸玄関から中へと入った。フロント脇から裏へ回り箒を仕舞うと、そのまま支度部屋へと足を向ける。
 ここは栃木県の山の中にあるみかさ旅館だ。父が社長を務め、従業員は家族を含めても十二名ほど。民宿に毛の生えたような規模だが、祖父の代から受け継いだこの旅館は杏奈にはとても大切な場所だ。
 さっき声をかけてきたのは母親で、長い間この旅館の若女将をしていたが、今年の夏頃から体調を崩し一線を退いた。杏奈に似て線の細い彼女は、体を壊してからまた少し痩せた。着物だから分からないわよね、と彼女は言うけれど、その背中は明らかに小さくなったと思う。
「あなた、その姿もだいぶ様になってきたわよね」
 支度部屋で母が見守る中、杏奈は作務衣から着物に着替えている。以前は一人で着られなかった着物も、今は手早く身支度を整えられるまでになった。
 杏奈が着替えている様子を母親がニコニコしながら見つめていて、その顔にはずいぶん皺(しわ)が増えたように思える。
「そりゃそうよ。大学卒業してすぐこっちに帰ってきてもう何年よ? 毎日着るんだし、上手くならなくちゃ嘘だわ」
「初めの頃なんて、着替えるだけで大騒ぎだったものね」
「もう、そんな昔のことを言わないでよ、母さん」
 今年二十五歳になったばかりの杏奈は、なに不自由なく大学まで出させてもらったが、卒業後の就職を諦めた。このみかさ旅館の経営が傾いていることを、妹から電話で聞かされたからだ。
──お姉ちゃん。このままだとうち、だめになっちゃう。
 自由奔放で気の強い妹が、泣きそうな声でSOSを送って来たのだ。両親からはそんな話を全く聞かされていなかったので、それはまさに青天の霹靂(へきれき)だった。
 大学まで面倒を見てもらった恩を返せるなら、と保育士の夢を諦め実家へ戻る決意をした。自分の夢を諦めてまで帰ってこなくていい、と両親は反対したが、それでもみかさ旅館は杏奈にとって深い思い入れがあり、とても大事な場所だ。それがなくなる事態だけは避けたかった。
 そうして若女将としてみかさを支えることになった。
 接客業を甘く見ていた一年目、慣れない仕事に悪戦苦闘し、改めて両親のすごさを思い知らされた。それでもくじけず頑張った杏奈は、ようやくそれなりの仕事が出来るようになった。
「さて、準備OK。どう? 母さん」
「いいわね。その桜色の着物、気に入ってるみたいね」

ご意見・ご感想

編集部

大好きな場所を守るために、保育士になる夢を諦めてまで
若女将として奔走する杏奈ちゃん。
なんて健気でいい子なんでしょう!!

そんな中、長期滞在のお客様がやってくるというので
張り切っちゃいます!
ところが…

「ここには野ウサギがいるのか?」

なんて、いきなり聞いたかと思ったら、
急にあんなことになるなんて……
お客様とこんなことしちゃいけない!
でも、彼は杏奈ちゃんを知ってるようで?

「ピンチのときは助けるって言ったから、俺はここに来たんだ。杏奈」

ふと思い出す初恋の男の子。
まさかと思いつつも、視線が離せない!!

若女将×御曹司の初恋ラブをご堪能くださいませっ><

2016年7月20日 8:09 PM

深雪まゆ

 初めまして! 作者の深雪まゆです。
夢中文庫様より初の1作目を配信させて頂きました!

 TL小説で初めての現代物です。そしてテーマは「和」
私が年下ブームにハマっていることもあり、ヒーローは年下になりました。

 大切な場所を守りたい、そう思う杏奈だけど上手く行かなくて。
そんなとき現れたのが救世主ともいえる彼だった。旅館を守りたい、でもお客様とこんなことしちゃいけない……という杏奈の葛藤。
 彼に触れられるたび、心が体が引き寄せられ気持ちさえも揺れ動く。そうなるのはどうしてなのか――? 

 杏奈の揺れる気持ちを一緒に共感してもらえたらうれしいです。

 公開PVでは杏奈の意味深なセリフが出てきます。よかったらチェックしてみて下さいね☆

https://youtu.be/1UjMpv8Zt9M

ではでは、どうぞよろしくお願いします^^

2016年7月20日 11:08 PM

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