夢中文庫

私の体に触れてはいけません!

  • 作家森田りょう
  • イラスト雪乃つきみ
  • 販売日2017/12/01
  • 販売価格300円

触れてほしい?それとも触れないでほしい?――ある出来事のせいで男性恐怖症の梨奈。症状は治まらず、男性とうまく話せないし緊張で震えてしまう。電車で不快な目に遭ってもそれを訴えることすらできず声も出せなくなっていたところ、医者の湊に助けられた。……のに、梨奈は湊の手を払いのけてしまう。男性恐怖症と知った湊は治療してあげると申し出る。梨奈は悩んだが、このままでは彼氏もできないと精神的な治療を受けることに。ところが湊の治療法は実戦形式で!?湊の温かさに触れ、次第に彼に惹かれ始める梨奈。順調に症状を克服し始めた矢先、恐怖症の原因となった元彼と偶然会ってしまい、しかも湊から治療の終わりを告げられて……?

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考えられない。考えたことがなかった。こうして誰かの体に触れたり……触れられたりするなんて。
「先生、わたし……」
 震える手が、彼の衣服を強く掴んだ。
「いいよ。俺に全部預けて。体も心も……俺が解(ほぐ)してあげる──」
「あっ……」
 静かな部屋に、わたしの甘い声が響き始める。快楽の波がゆらゆらと揺れ、触れられた場所が熱くなって、心を擽(くすぐ)られる感覚。
 わたしに触れるその大きな手は、わたしを闇の中から連れ出した……。

 電車に揺られ、数分も経たないうちに、わたしの体は固まってしまった。
──嘘……。お尻に手が……当たっている? やだ、どうしよう……。また?
 体が無意識のうちに震えてくる。ガタガタと、小刻みに動く体はわたしの恐怖をさらに掻き立てていく。
──だから、朝の通勤ラッシュは嫌なの。この沿線は女性専用車両がないんだもの。どうしたって男性のほうがあきらかに多い割合。
 わたし、朝日(あさひ)梨奈(りな)は、満員電車の中、びくびくと脅えながら窓際の辺りで俯いていた。しがないOLのわたしは、いかにも大人しく見えるのか、ときおり、こうして恐怖と対面する。
 電車はホームに入り、ゆっくりと扉が開いた。わたしがもたれているドアではなく反対側のドアが開き、再びざざーっと人が押し寄せてくる。
「きゃっ……」
 強い力で押しつぶされ、身動きがとれなくなった。それでも、このお尻を弄(いじく)る手は止まることを知らない。鞄を両腕でしっかりと胸に抱きかかえ、早くこの圧迫感から解放されたいと何度か体を揺らして、その手を解(ほど)こうと試みるが、まったく効果はなかった。
──お願い。お願い。早く、次の駅について。
 次の駅で降りる、そう決めたわたしは、強く目を瞑ったままだった。だけど、次の瞬間、びくりと体が跳ね上がった。
「ひっ……」
 目を大きく見開いたまま、声の機能を失った。スカートの中を弄る手、その手はねっとりとわたしのふとももを触ったのだ。
「……っ……」
──声が出ないっ。
 鞄を抱える腕に力が入る。体が強ばり、固まっているように感じた。石のように動かない。
 男性の骨ばった大きな手が、わたしのふとももやお尻のほうを弄っている。太い指はじっくりとわたしの反応を確かめるように、上へ上へと這っていた。
「ひっ……」
 下着に到達した指が、わたしの陰部に触れた。ゆっくりと柔らかな部分を擦られ、否応なしに蜜がじわりとひだを濡らす。背後の男の息が荒くなった。と、同時に後ろの男がこの手の主だとわかった。強く睨みつけたり、大声で「痴漢です!」と叫ぶこともできない。ガタガタと体が震えだす。
 あの日のことを思い出してしまった……。
◇◇◇
「いやっ、やめて! 藤井(ふじい)くんっ、どうして?」
「別に、俺は梨奈の彼氏なんだから体のお付き合いくらいいいじゃん」
 当時付き合っていた藤井くんは初めてお付き合いした人だった。高校三年生、思春期真っ只中の二人は何度も自宅でデートを重ねていたが、初めてのわたしはこういう行為をすることに戸惑ってばかりいた。
 ある日、藤井くんの理性がぷつりと切れたのか、ベッドへと押し倒された。息が荒く、獣のように鋭い瞳でわたしを見つめるその目が今でもはっきりと焼き付いている。下着を剥がされ、少し弄られたが、なんとかその場を逃げ出した。それ以来、男の人と触れ合うことなんてできない。男性恐怖症になってしまった。

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