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溺愛わんこ男子の一途な愛情

  • 作家なかゆんきなこ
  • イラスト篁ふみ
  • 販売日2017/11/17
  • 販売価格400円

子どものころの再婚で家族になった雛子と滉。病死によって実父を失った雛子とは異なり、滉の実母は家庭を捨てて出て行ってしまった。だから滉は母に捨てられたというトラウマを持っている……雛子はそう思ってベッタリな滉の行動を黙認してきた。だけももう互いに大学生。いつまでもこんな関係はよくないに決まっている! 雛子は「滉と距離を取ろう!」と一大決心をすることに。いろいろと画策するが、すべて徒労に終わってしまう上に、滉のベッタリはますます拍車がかかる。ご飯を「アーン」ってないっしょ! 滉の強引なまでの溺愛に、雛子はようやく自分の気持ちを自覚する。血はつながってない。だけど……悩める雛子に滉は――

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プロローグ
 私こと樋口(ひぐち)雛子(ひなこ)には、一つ年下の義弟がいる。
 父が病気で亡くなって以来、女手一つで私を育ててくれた母が再婚した相手の一人息子。それが義弟の滉(あきら)だ。
 母が継父と再婚したのは、私が小学五年、義弟が小学四年に進級する間際の三月のこと。
 それ以前にも子ども同士を交えて食事をしたり旅行に行ったりと交流を重ねていたから、一緒に暮らすことに少しの戸惑いと不安こそあれ、反対はしなかった。
 びっくりするぐらいダンディで恰好良い継父は、見ているこっちが恥ずかしくなるくらい母にベタ惚れだったし、母も継父の前ではいつも幸せそうに笑っていた。
 もちろん私にも優しくて、物心つく前に父を亡くした私には、継父が向けてくれる愛情が嬉しかった。
 そして義弟の滉は、とても可愛かった。
 亡くなった実父に似て猫っ毛かつ癖っ毛の私とは違い、艶々でサラサラストレートの黒髪に、睫毛びっしりの大きな瞳。
 同じ年ごろの子達より小さくて華奢な身体で、顔立ちは女の子のように愛らしい。
 性格は控え目で大人しく、クラスの男子のように乱暴なことはしない。
 母の再婚相手に年の近い息子がいると聞いて、学校の友達によく「血の繋がらない男子と同じ家で暮らすなんて嫌じゃない?」と聞かれたけど、義弟はそんなだったから、同年代の男子に抱くような嫌悪感は覚えなかった。
 ただ滉は大人しすぎて、私や母だけでなく、実の親である継父にすらどこか一歩引いたところのある子だった。
 それが変わったのは、両親が再婚して、四人で一緒に暮らすようになって間もなくのころ……だったかな。
 その日、継父と母が親戚の用事で家を空け、私は滉と二人でお留守番をしていた。
 母が作り置きしてくれていた昼ごはんを二人で食べたあと、私はリビングで当時ハマっていた編み物を、滉は何かの本を読んでいたと思う。
 ふと小腹が空いた私は、おやつ何かないかな……とキッチンに物色に行った。
 ところが何もなくて、どうしたものかと考えていたら、いつの間にか追いかけてきたらしい滉に「どうしたの?」って聞かれたんだ。
『おやつないかな~って』
『お腹空いたの?』
『うん』
『……じゃあ……ちょっと待ってて』
 滉は冷蔵庫やストッカーから材料を用意すると、手際良く二人分のホットケーキを作り上げた。
『はい、どうぞ』
『うわあ……! すごい!!』
 テーブルに置かれた二段重ねのホットケーキを見て、私は歓声を上げた。
 だってそのホットケーキは、パッケージの写真と同じくらい綺麗な狐色に焼き上がっていたから。
 おまけに形も綺麗なまんまるだ。
 自分でも何度か焼いたことがあるからわかるんだけど、あれ、パッケージの写真みたいに綺麗に焼くのってけっこう難しい。大抵焼き目がまばらになっちゃうんだよね。
『すごいね! 滉!』
『……そんな……すごく……ないよ……』
 私が手放しで褒めると、滉はもじもじと照れ臭そうに言った。
『すごいよ! ……んっ、ふわふわだ~! 美味しい!!』
 ホットケーキは見た目だけでなく、味も完璧だった。
 ふわふわの食感。熱で溶けたバターの塩っ気と、たっぷりかけられたメープルシロップの甘さが絶妙にマッチして、まるでお店のホットケーキみたいだった。
『……本当?』
『うん! 滉すごいね!』
『…………っ』
 その時滉は、一瞬驚いた顔をしたあと、初めて私に笑いかけてくれたんだ。
 はにかんだようなその笑顔は、とても可愛かった。

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