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三日間の恋人だったハズですが?~いつしか、甘い罠に落ちて~

  • 作家乃村寧音
  • イラスト炎かりよ
  • 販売日2017/01/13
  • 販売価格500円

ストレスと過労で体調を崩し退社、婚活も失敗した29歳の美玖。「東京にいるのはもうムリ、田舎に帰ろう」と決心し引っ越しをすることに。引っ越しの四日前、友人が開いてくれたお別れ会に飛び入り参加してきた男、エリート商社マンの隆介と意気投合し、つい一線を越えてしまう。それきりかと思いきや、残りの三日間を一緒に過ごすことになって!? 昼間は甘い時間を過ごし、夜は激しく求められ、いつの間にか縮む距離に戸惑う美玖。気持ちがわからないまま、ペットのカメを連れて田舎に帰り一軒家で一人暮らしを始めるが、思っていた以上の不便さと、おまけに気の進まない縁談がやってきて……。困り果てた美玖の脳裏に浮かんだのは……。

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 全く、ピンとこない。
 本当に申し訳ないけれど、そう思った。
 婚活サイトで出会って、三回目のデート。国立西洋美術館に行ったが、ひとりで見るほうがずっと楽しいと思ってしまった。
 悪気はないのだろうが、誰でも知っている程度の知識をひけらかす男には興味を持てない。どう聞いても、自分の意見など見えないどこか受け売りの話。きっと、知的ぶってるけど風船頭なんだろう。妙に上から目線なのも気になる。
 別にいいけど、何の意味があるんだろう。女は俺の話を感心しながら聞けとでも?
 二十九歳のわたしより、六歳年上の人。会社員。見た目はごく普通。悪い人でもないみたいだし……そう思って、しぼみがちな気持ちを奮い立たせ来てみたけれど、結論として、
(ダメだ、断ろう。帰ったら、今日のうちにメールしよう)
 そう決意するに至った。
 婚活サイトで出会った男はこれで五人目。断ったほうが多いけれど断られたこともある。被っていた猫がずれたのかもしれない。いずれにしても深い仲になった相手はひとりもいない。一度目のデートで大体結論が出る。今回は三回目まで保ったのだからまだ頑張ったほうだ。
 婚活は半年くらい前に始めた。わたしはソフト開発の会社で余裕なく働いていたが、二十九歳になってすぐ体調を崩して二週間ほど入院した。過労とストレスが原因だった。このまま同じ会社で働き続けていていいのかと考えるきっかけになった。
 東京でのひとり暮らしは十年を超え、頼る人もいない。地方の出身だが、二年前母が亡くなりとうとう天涯孤独になった。家族がいてくれたら……そんな気持ちになった。彼氏とも同じ頃に別れ、それっきり特別な相手もできなかった。仕事に追われ恋愛のことなど頭に浮かばなかったということもあるが、そんなわけで急に、そろそろ結婚するべきなのかも、と思い立ったのだ。
(状況から逃げたかっただけかもね……)
 もしかしたら婚活相手が悪いわけではないのかもしれない。今目の前にいる男だって、結婚相手としてだけ考えたら条件はきっと良いほうだ。自分だって別に美人なわけでも条件が良いわけでもない。取柄は、髪がきれいだというくらいだろうか。人から褒めてもらえるのはそれくらいだ。ああじゃないこうじゃないと、高望みしているのはたぶんわたしのほうなのだろう。
(こんな気持ちのまま付き合うなんて、かえって失礼だものね……)
 婚活そのものをやめようと思った。たぶんわたしに結婚など無理なのだ。
(前から、そう思っていたじゃない。体調を崩して、ちょっと血迷っただけよ)
 口の端で笑顔を作り、隣の男に相槌(あいづち)を打ちながらわたしはそんなことを考えていた。
 もともと結婚願望は薄かった。
 主な理由は、たぶん中学生のときに親が離婚したからだ。離婚は子供の心を傷つけるというが、感覚としては傷ついたという気はしない。ただ、結婚に夢が持てなくなっただけだ。
 わたしが育ったのは地方都市の郊外だ。昔は何もなかったけれど開発が進み、古い集落と新しくできた住宅団地が共存しているようなところ。そんな街の片隅の一軒家でわたしたち一家は暮らしていた。
 幼いころは、平凡な家庭だと思っていたのだけれど、両親の不仲はわたしが生まれたころからずっと続いていたらしい。わたしは一人っ子だ。
 不仲だからお互いに別な相手に走ったのか、別な相手がいたから不仲だったのか、そのへんはもうよくわからない。とにかく、小学校の高学年の頃にはすでに両親とも他に相手がいて夫婦仲は冷え切っており、泥沼化していた。当然ながら『暖かい家庭』なんてどこにもなかった。
 寂しさを分かち合える相手もおらず、飼っていたリクガメだけが心の慰めだった。

ご意見・ご感想

編集部

一夜の関係のはずなのに……なんでこの人はここにいるのだろう。

結婚や都会での生活に希望を見いだせず、それならば母が住んでいた
田舎の家に帰ろうと引っ越しを決意した美玖さん。
しかし友人が開いてくれた送別会で出会った凄腕商社マンの隆介さんと
意気投合し、熱い一夜を過ごしてしまいます。

どうせ引っ越してしまうんだし……
適当そうな人だし……
気持ち良いし……

でも、それで終わりかと思いきや、全く帰る気配のない隆介さんに戸惑う美玖さん。
Sっ気が強く、過激になっていく隆介さんの求愛に、美玖さんはだんだんと
自分の知らなかった新しい一面まで気づいてしまい……

出会い方や環境のせいで、すれ違うふたりの気持ちのベクトル!
矢印が見えそうなほどの二人のすれ違いっぷりに焦れなれがらも、
段々と隆介さんに心を開いていく美玖さんにきゅんきゅんしてしまいます♪
いつもは飄々な態度なのに、ふとした瞬間に見せる隆介さんの頼りがいのある
真剣な表情に、きっと虜になっちゃいます☆
ぜひお楽しみください(^o^)

2017年1月13日 4:12 PM

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