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収監城の公爵と囚われ王女~甘美な交換条件~

  • 作家さえき巴菜
  • イラストロジ
  • 販売日2016/10/26
  • 販売価格600円

「あなたはわたしの囚人だ」――王城内の陰謀に巻き込まれ、貴族を収監するグラール城に送られた王女クラリサ。城の主グラール公爵アルヴァントは優しい兄のような幼馴染だったが、六年後、囚人と看守として再会したアルヴァントは冷たく尊大な男に変わっていた。食事や必要なものを差し入れる対価として、要求される淫らなこと。――わたくしには婚約者がいるのに! けれど熱のこもる口づけや優しく肌に触れられ、身体と心が蕩けていく……。しかし、そんなクラリサの元に王妃の審問の報せが入る。自分の証言がなければ断罪の恐れがあると知り、収監城を脱け出す決意をしたクラリサは……!?

プロローグ
「はぁ……あ……っ」
 男の口づけはいつも長く、執拗(しつよう)だった。
 絡め、吸いあげられたクラリサの舌は痺(しび)れてジンと痛む。それでもピチャと淫らな音を残して唇が離れると、寂寥(せきりよう)めいた奇妙な胸の疼(うず)きを感じた。
 うっすらと目を開けると、濡れ光る唇をゆっくりと舐(な)める舌先が見えた。
「クラリサ王女」
 唇は低くかすれた声を紡ぎ、口角を上げて笑いの形をとる。それだけで、硬質な印象を与える整った容貌は艶やかなものを帯びた。
「……っ」
 ゾクリと背に震えが走る。
 思わず目線を下げると、笑う気配とともに男は両腕を伸ばしてきた。
 淡い金色の髪、男らしい骨の目立つ首元、黒い上衣をはおった広く、厚みのある肩──それらをサッと目におさめ、クラリサはごくりと唾を飲む。
「いっ、一度だけのはずだわ!」
「いいえ、王女」
 男は、クラリサの長い黒髪を梳(す)くようにして手を下ろし、それを華奢(きやしや)な背中のくぼみに当て引き寄せた。
「唇ではありません」
「一度だけって……ん、きゃ……っ」
 硬い腕の中でぎこちなく抵抗するが、まったく利かない。逆に、色の淡い金髪がふわりと顎をくすぐって、首筋に顔を埋められた。
 クラリサは身をよじったが、男は手をゆるめず、さらに引き寄せてしまい込むように抱き締めた。自分とはまるで違う硬い男の身体に密着し、クラリサは身を強張らせたまま「あ……!」と声を上げる。
 生暖かく湿ったものが、首筋に這(は)わされた。舌だと気づいたときには、すぐ唇に変わって押しつけられ、チュッと音を立てて吸われる。
「ひゃ……っ」
 脈打つところにそうされて、その親密さと小さな痛みに、言い知れぬ甘美なものが全身を貫いていく。
 クラリサはうろたえ、情けない声を上げた。
「……や、やめて、口づけだけって言ったわ! アルヴァント……!」
「そうでしたか?」
 肌の上から唇を離さず、アルヴァントは笑った。その息で、濡らされたところがヒヤリとして肌が粟立つ。それに気づかれたくなくて、クラリサは男の胸元に両腕を突っ張り、引きはがそうとした。
「そ、そうよ! 今日は、それだけって約束したわ!」
「今日は、ね」
 くく、と喉の奥で笑い、アルヴァントは挑発するようにゆっくりと顔を上げた。
「……っ」
 悔しいことに、クラリサはまた息を呑んで見惚れてしまう。
 頭ひとつ分高い位置にある顔は、少年の頃とは違って骨が太く、男らしい大人のそれだった。
 片手で前髪を梳き上げると、冷たく整った容貌が際立つ。眦(まなじり)の切れた二重の目は緑の斑点が散った灰色で、変わった色合いだけは昔と変わらないが、宿る光は知っていた少年のものではない。──そこに映る自分も、少女ではないのだから。

ご意見・ご感想

編集部

身も心も囚われれば、もう逃れる術はない──

王城内の陰謀に巻き込まれ、疑いの目を向けられたクラリサ王女は、
「収監城」の異名を持つ、グラール城に収監されてしまいます…
青白い岩肌を見せる山中に聳えたつグラール城の主は
幼き日に兄と慕った少年、アルヴァント・グラール様。
しかし、優しく穏やかな笑みを浮かべていた少年は、
冷たい微笑みを浮かべる男性へと変化していたのです。

施しは受けない!と強気のクラリサ王女にアルヴァント様は
毛布や食事の対価としてあるものを求めます…
甘く蕩けるような条件に戸惑いながら翻弄されて──?!

陰謀渦巻く世界、囚われの王女様を救うのは誰?
ドキドキハラハラのファンタジック・ラブストーリー!
ぜひご覧ください!(*´∀`*)ノ。+゚ *。

2016年10月26日 1:21 PM

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