夢中文庫

片恋センチメント クールな彼の甘い戯れ

  • 作家西條六花
  • イラスト鈴ノ助
  • 販売日2018/5/18
  • 販売価格700円

大学四年の楓は就職活動中だが、内定がひとつも取れず焦りをおぼえる日々。そんな中、先に内定をもらった彼氏の浮気が発覚。おまけにアパートの上階のボヤが原因で部屋が水浸しになり、やむなく伯母が所有する単身者用マンションに引っ越した。そこで出会ったwebデザイナーの永江は優しげな雰囲気の草食系、楓は彼に好感を抱く。しかし実際の永江はクールでSっ気のある意地悪な性格の持ち主だった。外見と中身のギャップに翻弄されつつも、素の彼に心惹かれた楓は永江に告白するが、思わぬ断り方をされて──。素直だが猪突猛進な性格の女子大生が、見た目穏やかなのに中身はクールな大人の男性に翻弄させられるラブストーリー。

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*プロローグ
 テーブルの上に置いたスマートフォンを、一心に見つめる。
 時刻はあと二分で、午後四時になろうとしていた。高梨楓(たかなしかえで)はディスプレイを見つめ、強く念じる。
(鳴りますように……今回は絶対鳴るはず……!)
 先日受けたのは、建設会社の総合事務職だ。エントリーシートの提出と書類選考、そして一次試験をクリアし、最終面接まで終えた楓は確かな手ごたえを感じていた。結果は採用者のみ、本日午後四時までに電話連絡となっている。
 これ以上ないほどの念を込めていたそのとき、突然玄関のチャイムが鳴り響いた。ビクッと肩を揺らした楓は、立ち上がって玄関に向かう。
「はい」
「宅配便でーす」
 数日前、ネット通販で頼んだコンタクトレンズが届いていた。箱を受け取り、伝票にサインをしてリビングに戻る。急いでスマートフォンを見ると、四時を一分ほど過ぎていた。画面に着信を示すメッセージはなく、楓はため息をつきながら床に倒れ込む。
(……また落ちちゃった)
 本当はもう、結果はわかっていた。採用の場合、だいたい最終面接の三日後には連絡がくるものだという。要は「この日までに連絡します」という期日ギリギリにくるのは、ほぼありえないということだ。
 それでも一縷の望みを抱き、待っていた結果がこれだった。
(あーあ、もう何回目だろ……)
 大学四年生の楓は、現在就職活動の真っ只中だ。
 大学の人文学部で文化人類学を学ぶ楓は、当初公務員を目指して勉強していて、ゆくゆくは社会教育主事の資格を取りたいと考えていた。運よく一次試験を突破し、楓は八月の上旬に二次試験を受けた。
 周りの友人たちは精力的にいろいろな会社の面接を受けており、既に内定をもらっている者も何人もいる。そうした周りに流されるように、楓は公務員試験の勉強をしつつ民間企業を何社か受けたものの、やはり気合いが足りなかったせいか受けた会社はすべて落ちた。
 そして八月中旬、公務員試験の最終合格発表の日、合格者の中に自分の受験番号がないのを知った楓は呆然とした。しばらく何も手に付かないほどショックだったが、どうにか頭を切り替え、秋採用の就活に力を入れて今に至る。
 むくりと起き上がった楓は、テーブルの上に散らかる紙を見つめた。一体何社分、こうしてエントリーシートを書いただろう。金融系、食品系、ベンチャー系など、あらゆる分野の会社に片っ端からエントリーしたものの、そのいずれからも内定をもらえていない。
 今回は最終面接までいって落ちた分、エントリーシートやWeb筆記試験で落とされるよりも、格段にダメージが大きかった。
(もう駄目。……心折れそう)
 暦はもう、九月の末になっている。
 卓上カレンダーには、びっしりとエントリーの締め切りや面接の予定などが書き込まれていた。「もしこのまま、どこからも内定がもらえなかったら」と考え、楓は暗澹たる気持ちになる。
(就職留年、とか……?)
 チラリとそんな考えが頭をよぎるが、親が許すとはとても思えない。ならばこの秋採用、もしくは冬採用で、どこかしらに内定をもらわなくてはならないということだ。
 最初こそ大手企業ばかりを選んでエントリーしていたが、落ち続けている現在は、分野を問わず中小企業なども受けている。おかげで志望の動機を考えるのも一苦労だった。
(あ、やばい。バイト行かなくちゃ)
 四時半から居酒屋のアルバイトがあるのを思い出し、楓は急いで立ち上がって準備をする。
 就活中の今は、コールセンター勤務と居酒屋のアルバイトを、週四回入れていた。居酒屋は賄いが出るため、食費を浮かせる意味で絶対にはずせない。
 ふと見回すと、八畳のリビングは足の踏み場もないほど散らかっていた。「帰ってきたら片づけよう」と思いつつ、荒れた室内から目をそらし、楓は身支度をして部屋を出た。
 平日の午前、大学の構内は私服姿の学部生の他、リクルートスーツの就活生もちらほら見える。
 就職課で相談員との面談を終えた楓は、スマートフォンを手に廊下を歩いていた。
(祐樹(ゆうき)から返事がないけど、まだ寝てるのかなー……)

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