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強面ヤクザといちゃこら溺愛ライフ?!

  • 作家仙崎ひとみ
  • イラスト不破希海
  • 販売日2017/11/21
  • 販売価格400円

看護師を目指して日夜悪戦苦闘中の杏菜。学校から帰ってきたら、なんだか怖そうな車が停まっているし、家には人相&服装の悪そうな男たちがいるではないか。何事かと思えば、事業が思わしくない父が不渡りを出したという。彼らの言い分は「お嬢さんが嫁いでくだされば借金は棒引きにします」というもの。そして彼らは力いっぱい任侠世界の人で。杏菜は組長に直談判に行くものの、逆に丸め込まれてしまう。70歳の組長の嫁になるの? 泣きそうな杏菜の前に現れたのは、竜爾という名の組長の息子。いきなり強引で濃厚なキスをしてきたかと思えば、今すぐ出て行けと突き放して――杏菜の未来はどうなるの!?

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山城(やましろ)杏菜(あんな)は学校の帰り道、友人の美咲(みさき)と今日の研修について話し合った。
「杏菜ぁ。聞いたよ。今日の病院研修で患者さんに言い寄られたって?」
「ちょっと違うかも。ケガをして不安だったから話し相手が欲しかったみたい。治療が終わったら、あっさり帰ったよ」
 杏菜は看護学校に通う、スイーツ好きのいたって普通の十九歳。
 今日は付属の医科大学へ赴き、実地研修を行った。
 医師や看護師について現場の医療を学ぶのだが、一日中緊張し通しで身体も精神もヘトヘトだ。
「この間もケンカで血を流したチンピラを介抱したとか言ってなかった?」
 美咲は、ショートカットの似合う爽やかな外見と溌剌とした性格を持つ、看護学校に入学してからつきあうことになった友人だ。
 ちょっとおせっかい気質がたまにキズだが、杏菜と気が合うので一緒にいることが多い。
 肩までの黒髪セミロングで一見おとなしく見える杏菜とは、周囲からもいいコンビと言われている。
「チンピラとは言ってないよ。夜だったしよく見えなかったもん」
「暗いところで妙な男とふたりきりなんて危険でしょ。次は救急車呼びなよ。あんた、怪我人に感情移入し過ぎじゃない?」
「でも……」
 バニラアイスクリームをトッピングしたイチゴのミルフィーユクレープを一口囓る。
「何回も聞いたよ。ステキな看護師さんに憧れて、でしょ?」
「ん……」
 中学生の頃の話だ。両親が結婚十周年アニバーサリーの旅行中、急性盲腸炎になり救急病院へ緊急搬送された。
 携帯電話の電源を切っているのか両親とはまったく連絡が取れず、痛みをこらえながら手術同意書にサインをした。
 たったひとりで人生初めての手術を受けることになる。不安で不安で心が押し潰されそうなとき。
「杏菜ちゃん。大丈夫よ。今ね、ご両親と連絡が取れたの。すぐにきてくれるって」
 看護師の女性が優しい微笑みでそう言ってくれた。
「ご両親が到着するまで、ずっと手を握ってあげるね。だから手術頑張って」
 看護師の一言に杏菜の心が急激に落ち着いた。
 あとから両親に聞いたところ、携帯電話の着信記録が何十件も残されており、看護師の女性が何回も連絡を取ろうとしてくれたらしい。
 杏菜の不安を解消し、優しく励ましてくれた彼女のことを、今でも忘れられない。
(看護師って、なんてステキな職業だろう……)
 感動した杏菜は将来看護師になると決意した。
 そして六年後。その思いを胸に宿したまま日々勉強に励んでいる。
 不安そうな表情を浮かべる患者を見ると、どうしても他人事のように思えず、感情を傾けてしまうこともあった。その度、友人の美咲に心配されてしまう。
 だが杏菜は、看護師こそ天職だと思っている。
 どんなに忙しくても患者さんが「ありがとう」と言ってくれるだけで、報われた気持ちになるのだから。
「あんたの優しさに付け込んで過剰に迫ってくるような患者がいたら、すぐわたしに言いなさいよ」
「心配かけてごめんね。でも大丈夫。わたしは日々看護師として精進する気持ちしかないから」
「まーだ看護師じゃないけどね。見習い学生の立場で患者に一目惚れされるあんたはすごいよ」
 美咲は呆れた口調でそう言うと、チョコのかかったバナナと生クリームがたっぷり入ったクレープを頬張った。
「そんなんじゃないと思うよ。不安なときは誰だってすがりたくなるもの」
「はいはい。そういうことにしておきましょ」
 杏菜は方向の違う友人に手を振り、そのまま帰途につく。
 毎日が楽しい。看護の勉強は大変だし研修はもっと大変だが。
(早く看護師になって病気やケガで困っているひとをいっぱい助けたいな)
 そんな杏菜を電信柱の陰から大柄な男がじっと見つめていた。
 杏菜が自宅に到着すると、門の前に驚くほど大きな高級車が二台停まっていた。
「違法駐車? 邪魔ねえ」
 なぜか玄関のドアが開いていた。うっかりものの母が鍵を閉め忘れたのだろうか。
「やだ……。不用心でしょ」
 異変はそれだけではなかった。妙な靴が散らばっていたのである。
「お客さん……? でも……」
 どうも変わった靴だ。つま先の尖ったエナメルとかパイソン柄とか、普通の社会人が履く靴には見えない。
 父は小さいながらも印刷会社を経営している。その関係の客だとしても……と考えたところでリビングから母の悲鳴が聞こえた。
「お母さん?」
 杏菜は靴を脱ぐと、慌ててリビングへと向かう。

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