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絶倫軍人王は王女を過激に溺愛したい

  • 作家仙崎ひとみ
  • イラスト緋月アイナ
  • 販売日2018/7/20
  • 販売価格500円

エミール王子の生誕祭の日、いきなり攻め込んできたのは隣国ガルムンド王国の王ヴィクトル。軍人王と称されるヴィクトルは筋骨隆々の大柄な体躯で迫力がある。さらにその称号にふさわしく、全身に傷があり、威風堂々とした王であった。ヴィクトルは自治権が欲しくばユーフェミナに毎夜の奉仕をせよと言い放つ。自治権など考え及ばなかったユーフェミナにはなんの話かわからなかったものの、我が身一つ捧げることで祖国を守ることができるならばとその条件を受け入れる。そしてその夜からヴィクトルによる責め苦が始まった。ひどい言葉を投げつけられ、屈辱に涙するものの、いつしかユーフェミナは自分の気持ちがわからなくなってきて――

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ユーフェミナは、ロズベリー王国の王城で下働きをしている。
 今日十八歳になったばかりだが、誕生日を祝ってくれるのは炊事場のシェフたちと、下働きをしているメイドや下男だけ。
「おめでとうございます。ユーフェミナ王女」
「十八歳おめでとうございます。これ、おれたちからのプレゼント」
 厨房のテーブルに置かれたのは、ユーフェミナの大好物であるイチゴの生クリームケーキ。
「うわぁ……ステキ。美味しそう……!」
 甘いものが大好きなユーフェミナは、大粒のイチゴとまろやかな生クリームを目にして、思わず感嘆する。
「みんなで作ったんだ。シフォンケーキの部分はパティシェが焼いたけど、ぼくは生クリームを泡立てたよ。ヨハンはイチゴを煮詰めたんだ」
 フワフワシフォンケーキに、蕩ける生クリームと輪切りにしたイチゴが挟んである。
 イチゴジャムを表面に塗りたくり、生クリームで飾りポイップした上に、ルビーのように輝くイチゴを並べたケーキはまるで芸術品のようだ。
 みんなが一緒に誕生日ケーキを作ってくれたということに、ユーフェミナは嬉しくて涙が出そうになる。
 皿洗い担当のドロシーがケーキを切り分け、一番大きいピースの載った皿をユーフェミナに手渡す。
「さあ、ユーフェミナ王女。たんと食べてくださいな。ちょっと痩せすぎですからね」
「ありがとう。ドロシーねえさん。いただきます」
 フォークでイチゴとシフォンケーキを一切れ突き刺すと、大きな口を開けて一気に頬張る。
 口内の熱で生クリームは瞬時に溶け、フワフワのシフォンケーキがほろほろに崩れた。
「美味しい!」
 久々に食べる甘いケーキに、ユーフェミナのほっぺたが落ちそうになる。
「ユーフェミナ王女のうまそうな顔、何度見てもいいねえ」
「おれの分も食べてください。イチゴ水もありますよ」
 パティシェは、カラカラと氷の鳴る瓶の中身をグラスに注ぐと、ライムの輪切りをふちに飾った。
 深い紅色の液体は、まるで宝石のように美しい。
「うわぁ……美味しそう。いただきます」
 ユーフェミナはグラスを持ち、一口含んでみる。
 ブラウンシュガーの癖のない甘みと、酸味のある白ワインビネガー。そして爽やかなレモンの味が交じり合い、とても美味しい。
 ユーフェミナは、イチゴ水が見た目からは想像できないほど手が込んでいることを知っていた。
 イチゴを細かく潰し長時間鍋で煮込んだのち、風味を損なわないように粒を取り出すため、何回もザルでこす。
 舌触りのよいイチゴ水を作るのは、とても時間と労力がかかった。
 だからこそ、このイチゴ水はみんなの思いやりでできており、味もひときわよいと思える。
 庭師見習いのヨハンが、ユーフェミナのためにピンク色の八重咲薔薇を一本用意していた。
「これ。ぼくが世話をしている薔薇です。こんなものくらいしか用意できなくて……」
 ヨハンから受け取った薔薇は朝露にしっとりと濡れ、鼻を寄せてクンと嗅ぐと紅茶とリンゴのような香りがした。
「いい香り……。嬉しいわ、ヨハン。ありがとう」
「へへ……。ユーフェミナ王女が喜んでくれるなら、毎日一生懸命世話をしている甲斐があるってもんです」
 顔を赤らめて、頭をポリポリと掻くヨハンを、周囲のものが冷やかす。
「ヨハンはユーフェミナ王女に憧れているんだよ」
「よかったね! ヨハン! 喜んでもらえて」
 ユーフェミナは、みんなの優しさに心が喜びで満ち溢れてしまう。
「ありがとう。みんな……。こんなに優しくしてくれて……。わたしなんて、この王城のお荷物みたいなものなのに……」
「何を言っているの。ユーフェミナ王女はロズベリー王国の大事な姫君よ。もっと自信を持ったほうがいいわ」
「そうそう。今はこんなところで下働きをしているけど、亡きロズベリー国王の血を引く由緒正しい王女なんだ。卑屈になったらいけないよ」
 みんなにそう訴えられるが、当のユーフェミナはグラスを持ったまま俯くだけだ。
「うん……でも……」
 ユーフェミナは、このロズベリー王国の王女であった。……いや、廃嫡されていない以上、今でも王女であることは間違いない。
 だが、その扱いは平民以下だ。

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