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戸惑いのモーニングコーヒー

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  • 作家鈴月奏
  • イラスト炎かりよ
  • 販売日2016/01/18
  • 販売価格300円

「ここに住むのはどう?」高層マンションに住む永野修平と、その向かいの古びたアパートに住む三浦志織。アルバイト先のコーヒーショップで挨拶を交わす程度だった二人の仲は、老朽化を理由にアパートの建て壊しが決まったことで、急速に変わっていく。引っ越しの当てもない志織に家政婦の仕事を条件に、空き部屋の等価交換を申し出た修平。住む場所に、アルバイト代という破格の条件と、修平への興味から志織はそれを引き受けて――単なるご近所同士の関係から、家政婦と雇い主へと変化した二人の関係。家というプライベートな空間で明らかになっていく修平の素顔と近づく二人の距離。そんな彼との距離に戸惑う志織に修平が出したある答えとは……?

「君が欲しかった。ずっと君とこうしたいと思っていたんだ」
 切なく訴える瞳に視線を奪われ、答えようとした唇が塞がれる。熱くなった吐息が唇と唇の間で重なって、苦しいはずなのに私は彼の唇を求め続けている。
「……っぁ……」
 薄く開いた唇に差し込まれた舌先に舌先で応じると、湿った吐息に喘ぐ音が混じり、舌先が触れただけなのに下腹部がきゅぅと、熱を帯びた。
「……修平(しゅうへい)さん、私も――」
 ずっとこうしたかったのは、寧(むし)ろ私の方だ。彼の首筋に手を回して紡ぐと、彼は答えを待たずに私との身体の距離をぴったりと縮めた。
「あ……あっ……」
 脚と脚の間。私の身体の中心に、彼の熱が押し当てられている。潤って、指で充分に拡げられたその場所が、彼の熱を感じると同時に、淫らな妄想が現実のものとなるのがわかった。
 彼とひとつになりたい、心も、身体も。そう願って目を閉じたその刹那。
「いいんだね?」
 穏やかに問い掛ける声と共に、彼の熱が私の秘部を強く圧した。
「……んっ」
 ぴくりと身体が跳ねて、脚が自然に広がる。精一杯の承諾の意を込めて、潤んだ瞳で彼の目を真っ直ぐに見つめると、重なった彼の下半身に力が隠(こも)り、私を圧す力は一層強くなった。
「ん、ふ……っ、あ……」
 誰にも触れさせたことのない、自分でも触れたことのないようなその場所に、彼の身体が入っている。その事実だけで肌の表面が粟立ち、滲んだ汗でしっとりと濡れていく。もっと深く、もっと奥で繋がりたいと願っているのに、彼はゆっくりと私を気遣いながら腰を沈め、なかなかその場所には来てくれない。
「……あっ、は、ぅ……んっ」
「痛むのかな?」
 ねだるような甘い喘ぎに、耳元に唇を添えた彼が問い掛ける。
「……意地悪……」
 わかっていてそう聞いているのか、それとも本当にわからなかったのか、その優しい問い掛けが少し恨めしくて顔を歪めて首を横に振る。半分ほど埋まった彼の熱が、私の中で帯びた熱を加速させていく、その感覚だけで鼓動が速まって、もっと乱して欲しいと私の知らない私が訴えた。
「……来て」
 淫らな妄想が理性を打ち消して、信じられないような言葉が唇から漏れる。その言葉を発した瞬間に我に返ってあまりの恥ずかしさに目を閉じた。

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