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一途王女の想い人は、国一番のゲスな騎士!?

  • 作家高久ややこ
  • イラスト風凪ひかり
  • 販売日2018/7/13
  • 販売価格600円

口の悪いツンデレ騎士×勝ち気で一途な王女。王女ルシェリーの片思いの相手は、赤毛の騎士のアレシュ。アレシュは容姿端麗で剣の腕も優秀だけど、複数の女性と噂が絶えないクズ男!周囲はあの男はクズ男だと忠告するけれど、彼に一途に恋するルシェリーは毎日彼に求婚し、断られてもめげずに続けて早五年!しかし、そんな彼女に他国の王子との婚約話が舞い込いこんでくる。かたくなに結婚を拒むルシェリー。父王はなにを思ったか閨の礼儀作法の教師をするようアレシュに命じて!?

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プロローグ
 レーンベルグの王城にある薔薇園では一週間ほど前から春咲きの薔薇が咲き始め、その華やかな姿と芳香で見る者を楽しませていた。
 亡きベアトリス王妃が愛した薔薇園には国内外から多品種の薔薇が集められており、冬期以外は美しく華やかな薔薇を鑑賞することができた。
 日中は一般にも開放されているため賑やかだが、城門の閉じられた夜になると訪れる者もなく静寂に満ちていた……。
 夜空に浮かぶ月と煌めく星達が庭園の薔薇を愛で、夜風が優しく花弁を揺らす。
 まるで絵画のようなその風景に男は眼を細め、血が滲むほど噛みしめていた唇を緩めた。
「……あと数日で満開になりそうだな」
 男の名は、アレシュ。
 珍しい赤い髪と琥珀色の眼をしており、それは彼がレーンベルグ人ではないことを示していた。
 異国人であるアレシュだが、レーンベルグ国王ハンスに忠誠を誓った仕える騎士だった。
 騎士服の襟に付けられた双頭竜の徽章は、彼が王護騎士であるということを表していた。
 <王護の騎士>とは文字通り王を守護する騎士で、騎士団には属さず王の傍近く仕え……護衛としてだけでなく補佐官としても王を支える存在だ。
 文武両道であることが求められるが、就任条件には特に『武』が重視される。
 三年に一度の選抜試合で勝ち抜いた、国内で最も強い騎士でなければならなかった。
 王が視察に出たり外遊する際には必ず、その傍らには王護騎士であるアレシュの姿があるため、彼はすっかり有名人となり……王護騎士というだけでなく、その派手な女性関係でも有名人となっていた。
 ひときわ目立つ長身に、すらりとした手足。
 精悍さと甘さが絶妙なバランスの顔をしており、その恵まれた外見に王護騎士であるというステータスも加わり、城勤めの女性達の中には彼に憧れ恋する者も多かった。
 流した浮き名は数知れず、その相手は素人から玄人まで幅広いものだった。
 遊び慣れた未亡人から、世の男達に一夜の夢を売る高級娼婦まで……まさに来る者拒まず去る者追わずの状態だった。
 騎士として剣の腕は最高だが、男としては最低。
 それがこの男、アレシュだった。
「明日はとうとう、ルシェリーがシュトラスバルト帝国へと出発する日だな……早いな、二週間などあっという間だった」
 アレシュは琥珀の瞳を、夜空に向けた。
「……本当に、本当にあっという間だったよ。ルシェリー……」
 レーンベルグ王国の王女の名前を、消え入るような小さな声で呼んだアレシュのその表情を見ている者は、ここにはいないと分かってはいたけれど。
「ははっ……情けねぇよな。自分からさんざんふっておきながら、このざまだっ……」
 アレシュは両手で、切なさに歪む顔を覆い隠さずにはいられなかった。
 この想いは、誰にも知られてはいけないから……日に日に強くなる妄執のような、狂気すら孕んだこの想いを隠し通さなくてはならないのだから……。
「……ベアトリス様。貴女が教えて下さった薔薇の花言葉、俺は今でもちゃんと覚えていますよ」
 王妃ベアトリスは貴族の出身ではなく、街で人気の食堂の看板娘だった。
 お忍びで訪れた王がベアトリスに恋をし、強く求められて妃となった平民出の王妃だった。
 そのため貴族の姫とは違い、身分に関係無く誰にでも親しく言葉を交わした。
 当時まだ少年だったアレシュにも王妃は優しく声をかけてくれ、天涯孤独の身の上であると知ると何かと気にかけてくれ、温かく接してくれた。
「薔薇の花言葉……花の色だけでなく、相手に贈る本数にも色々な意味があると。将来、愛した人に出会ったときのために覚えておきなさいって、貴女は教えて下さいましたね」
 薔薇を贈って愛を告げる相手なんて、いない。
 ……したくとも、できない。
 きっと、一生。
 誰にも……すみません、ベアトリス様。
 心の中で王妃に詫びたアレシュの脳裏に浮かんだのは、金の髪に蒼い瞳の“天使”だった。
 アレシュが出会った、アレシュの天使……。

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