夢中文庫

蜜月ラビリンス

  • 作家玉紀直
  • イラストよしのずな
  • 販売日2018/7/24
  • 販売価格300円

まどかがずっと憧れ、恋をしてきたのは、中学生のころ勉強をみてくれていた父の取引先の御曹司、隆臣。ある日、親同士の会社の提携が決まり絆を深める名目のもと、ふたりの結婚が決まる。幸せを噛みしめていざ初夜を迎えるが、まどかはあろうことか失敗してしまい遂げられずに朝を迎えてしまう。それからの新婚生活、隆臣はとても優しくしてくれるが、あの初夜からまだ本当の意味での夫婦には未だなれていないことに悩み続けるまどか。はやく彼の本当の奥さんになりたい!と、彼にその気になってもらうために、いろいろな作戦にでてみるのだが──

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

●プロローグ
「すごい、すごい、どうしてこんなにすぐ解けちゃうんですか!」
 わざとでも媚びているわけでもない。
 和泉(いずみ)まどかは目をキラキラさせながら、十五歳の素直な気持ちを口にした。
 視線は手にしたパズルゲームの本に釘づけだ。なんといっても一時間苦戦しても解けなかったクロスワードパズルを、十分とかからず目の前で解かれてしまったのだから驚かないわけがない。
 彼女の反応を目の前にして、須賀野(すがの)隆臣(たかおみ)はよく整った相貌をふっとなごめる。
 まどかより十歳年上の二十五歳。大学院の修士課程を卒業し、現在は家業である須賀野貿易で社長である父親の片腕となって働いている。
 まだ中学三年生のまどかからしてみれば、とっても大人で、素敵なお兄さん、なのである。
 まどかの父の会社、和泉物産と取引がある関係で、二ヶ月前、初めて隆臣に会った。
 第一印象から“素敵なお兄さん”ではあったが、会う回数を重ねるごとに、その中に淡い恋心が蓄積されていくのをまどかは否定できない。
 まどかが受験生だと知り、なんと彼は週に一回程度勉強を見てくれているのだ。
 今日もその関係で家まで来てくれたのだが、勉強に入る前にまどかがパズルゲームの本に後ろ髪を引かれていると悟った隆臣が「解けないパズルがあるなら見せてごらん」と言ったのである。
 手こずっていたものを見せると、彼はあっという間にクロスワードの鍵を解き、パズルの迷路を抜けさせてくれたのだ。
「そんなに褒められると照れますね」
 机に向かうまどかの横で、椅子の背もたれに寄りかかり隆臣は穏やかに口にする。
 その口調が照れくさそうに聞こえて、まどかはドキッとした。
「て……照れる、照れるって……隆臣さんがですか?」
「うん、おかしいかな?」
「そっ、そんなことはないですっ」
 まどかは慌てて両手を振って否定する。人間誰しも照れることくらいあるだろう。それを驚いたとあっては、まるで人間らしくないと言っているかのようだ。
 それでも、ひとしきり否定をしてから、まどかはこそっと本音を口にした。
「でも……隆臣さんはとっても大人の人だから、わたしみたいな年下に『すごい』とか言われても嬉しくないだろうなって思って……。かえって失礼なんじゃないかって……」
「それこそ、そんなことはないですよ。大人だろうと子どもだろうと、褒められて嬉しくない人間はいないものです」
 隆臣は机に置かれていた問題集を手に取り、ぱらぱらとめくる。
「たとえばまどかさんだって、難しい問題が解けたときに褒められたら嬉しいでしょう?」
「嬉しいです。隆臣さんに褒めてもらえるなら、嬉しくないはずがないですっ」
 張り切って答えたが、隆臣にクスッと笑われ、まどかはハッと口をつぐむ。──はしゃぎすぎてしまったかと感じたのだ。
「俺に限定しなくても、褒められれば嬉しいんじゃないのかな?」
「そ、そうですね」
 頬が熱くなってくる。真っ赤になっているような気がして恥ずかしい。
 隆臣に、と限定した言いかたをしてしまったことで、彼に対する気持ちを悟られてはいないだろうか……
 本を膝に置いて肩を縮めたまま、まどかは隆臣の顔が見られない。すると、そんな彼女の前に開いた参考書が置かれた。
「さて、それでは前回の復習といきましょう。これを解いてみてください。正解したら──俺が褒めてあげるから」
 後半の口調がおどけたものになる。隆臣に褒められると嬉しいと言ったまどかの気持ちを、ちゃんと生かしてくれているのだ。
「はい! 褒めてもらえるように頑張ります!」
 まどかは笑顔で返事をして問題に取りかかった。
 穏やかに微笑む隆臣の表情を見ていると、ドキリと、温かな感情で胸がときめく。
 それでも、彼は大人で、自分は子どもで……
 釣り合わない年齢の切なさに、ちょっぴり、胸を痛めるのだった──
※この続きは製品版でお楽しみください。

オススメ書籍

お義父さんの淫らなお仕置き ―ヌルヌル触手バイブのローションプレイ―

著者加藤文果
イラスト

新婚の侑実は夫の出張中、義父に無理やりレイプされてしまう。屈辱を覚えながらも若い男にはないテクニックに絶頂に導かれる侑実。「夫が、悠一さんが帰ってきちゃいます!」拒絶しながらも、体は義父の調教から逃れられなくて…!

この作品の詳細はこちら