夢中文庫

急転直下!~年下幼馴染は肉食獣に豹変する~

  • 作家永久めぐる
  • イラスト雪乃つきみ
  • 販売日2016/09/21
  • 販売価格300円

「お願い! 住むところが見つかるまで居候させて!」四歳年下の幼馴染・小暮誠人からかかってきた突然の電話。彼は何年も前から渡米していたが、急きょ帰国が決まったらしい。しかし、手違いで住むところがないと言う。仕事でもプライベートでも頼まれごとに弱い美鈴は、渋々ながら同居を許可したけれど……。久々に会った誠人は見惚れるほどに格好よくて、昔の面影も見当たらないくらいに大人の魅力を漂わせていた。しかも、彼はとんでもなくスキンシップ過剰で、美鈴をひどく翻弄する。――幼馴染という気楽な関係を壊したくないのに、誠人君はどうして変わろうとするの? 意地っ張りOLと策士な幼馴染の、甘くて切ない攻防戦の結末は……?

一 始まりは金曜日
『みいちゃん、いま電話してもいい?』
 そんなメールが石田美鈴(いしだみすず)のスマートホンに届いたのは、彼女がようやく家にたどり着いた、まさにその瞬間だった。
 疲労でじんじんと痛みを訴える足をなだめすかしつつ、駅からの道を歩いてきたのだ。その苦行からようやく解放されると思った矢先の出来事で、正直なところ着信音に苛立った。
 が、急用なら大変だとバッグの中からスマートホンを取り出したところ、会社からの呼び出しでもなんでもなく、古い知り合いからのメールだった。
「ん? 誠人(まこと)君からだ。珍しいなぁ。なんだろう?」
 首をひねりながらひとりごちた。古い知人から久々に来る連絡は嬉しいものだ。酷かった疲労さえ軽くなったように感じる。
 メールの送信主は小暮(こぐれ)誠人。美鈴の、四歳年下の幼馴染だ。幼馴染と言うには出会った年齢がいささか大きすぎるが、かといって友人や旧友と言うのはしっくりこない。やはり幼馴染というのが一番近い関係だろう。誠人は美鈴を姉のように慕い、美鈴は彼を弟のように可愛がっていたのだから。
 バッグから家の鍵を取り出しつつ、もう一方の手で返信を打つ。
『いま家に着いたところだから五分待って』
 送信ボタンを押しながら、美鈴は履き慣れた黒のハイヒールを脱ぎ捨てた。途端につま先の痛みは引き、解放感に自然と目が細まる。
 ほう、と小さなため息を漏らした瞬間、手の中のスマートホンがぶるぶると震えた。
『了解。じゃあ五分後に』
 誠人からの返信は簡潔だった。
 彼女はそれを確認すると、テーブルの上に無造作に置いた。
「あああああ! ほんっと疲れたわぁああ」
 長く尾を引くため息をつきながら床にバッグを放り出し、ソファに思い切り倒れ込む。長年愛用しているソファは、ばふんと柔らかい音を立てて彼女の体を受け止めた。
 目を閉じれば、ぐるぐると世界が回ってるような錯覚を覚える。疲れているせいなのか、眠たいからか、それとも空腹のためか彼女自身にさえ分からない。
「あーうー……動きたくなぁーい」
 五分後には電話がかかってくる。分かっているのに、疲労を訴える体は鉛のように重くてメイクを落としに行くのさえ億劫(おつくう)だ。
「んー……。メイクは後で落とせばいっか」
 狭いソファの上で、器用に寝返りを打った。
 見慣れた天井に見慣れた照明。
 ぼんやり眺める彼女の耳に届くのは冷蔵庫のモーター音と、はるか遠くから聞こえる車のクラクションや電車の通過音だけ。
 昼間、彼女が身を置いているオフィスの喧噪(けんそう)を思い出してしまうほどに静かだ。
「ん? あー、蜘蛛の巣」
 正確に言えば、蜘蛛の『巣』ではなく『糸』だ。照明カバーの縁から天井に向けて、一本の糸が渡っている。
 そんなか細い糸が見えるのは、糸に埃がたまって太っているからだろう。
 そう言えば最近、ちゃんと掃除してないな。彼女の胸に罪悪感に似た感情が湧き上がった。

ご意見・ご感想

編集部

年下幼馴染の誠人くんと久しぶりに再会した美鈴ちゃん。
可愛らしいあの子は今や立派な男性に!
そんな幼馴染・誠人くんに「居候させて!」なんて急に言われて、
さあ大変!困った美鈴ちゃんですが、
可愛らしくお願いされたら思わず(´•ω•`♥)きゅぅん
として、ダメとは言えないのです…

しっかり甘え方をわかっている誠人くん、なんという策士!

意識しないようにしていた美鈴ちゃんですが、
そんなの無理~!!!というくらい愛されちゃってます(/ω\*)
策士系幼馴染との波乱がいっぱいドッキドキの同居生活をぜひご覧ください!

2016年9月21日 11:01 AM

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