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溺愛王子のレプリカ・ドール~生まれたばかりの無垢な想い~

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  • 作家月森あいら
  • イラストまろ
  • 販売日2016/09/28
  • 販売価格500円

レプリカ・ドールとして生を受けたエルミールは、人間になるという願いを胸に街に出る。行くあてのない彼女を拾ったのは、褐色の髪に蒼い瞳の青年クリストフ。ドレスに礼儀、食事にダンス。同時に甘い恋も教えられる。人間になりたいという思いは高まり、そんな中同じレプリカ・ドールだった仲間に出会う。なんと彼女は人間になっていた。人間になるには人間からの愛が必要だという。「あなたを愛してくれる人間はいないの?」互いの愛は確信しているのに、人間になれないエルミール。最後のピースを見つけたとき、彼女を待つ運命は?永遠を生きる人形が、愛する人のために取った行動とは?生まれたての心が送るピュアラブストーリー。

プロローグ 生まれいずる魂
 かちかち、きゅるきゅる。とんとん、きゅっきゅ。
 部屋には金属音が響いている。かたときも休むことなく音は続き、その部屋の扉を開けたフローラは笑みとともに、ため息をついた。
「お母さま、またそんなに根を詰めて」
 フローラの手には、木の盆がある。彼女は、湯気の立つスープと表面がかりかりに焼けたパンを運んできたのだ。『お母さま』、と呼ばれたかの人物は、それでもそちらに目を向けない。
「お母さまは、人間なのですから」
 ことり、と音を立てて盆をテーブルに置きながら、フローラは言った。
「きちんと食べて、眠らないと。効率もあがりませんわよ?」
「もう少しなのだ」
 ふいに『お母さま』がそう言ったので、フローラは目を見開いた。その目は紫色で、窓から入ってくる光を受けてきらきらと光っている。
「もう少しで、新しい子ができる」
「だからって」
 フローラは、パンをちぎった。焼けた表面とはまた違い、ふわふわに焼きあげられた白い中身が見えた。
「前お持ちしたぶんも、全部食べていらっしゃらないではありませんか。本当に、お体を壊しますわ」
 そう言ってフローラは、ちぎったひとかけらを『お母さま』の口に押し込める。血色の悪い唇は小さく、覗いた歯も小さかった。口に入れられたパンを咀嚼(そしやく)する『お母さま』は、見かけの年齢だけでいえば十二歳くらいの少女だった。顔色は悪く、片眼鏡(モノクル)をかけた黒い瞳は、彼女が決して、見かけの年齢どおりではないことを示している。
 少女は黒の、襟高の簡素なドレスをまとっていた。どこか喪服めいたそれは、ますます見かけの年齢との差異を感じさせる。流れるような髪はやはり黒で、それは結いあげる手間を惜しんで下ろしているように見えた。
「そんなに一生懸命、なにを造っていらっしゃるの?」
「おまえたちの、きょうだいだ」
 嚥下(えんげ)したパンが、思いのほか美味だったのだろう。少女は口を開けて、フローラは呆(あき)れた笑いとともにまたパンを入れてやった。
「新しいきょうだいができるんですの?」
「我が子は、多ければ多いほどいい」
 フローラよりもずっと年下に見える『お母さま』たる少女は、そう言ってまた手を動かしはじめる。
 彼女が手がけているのは、たくさんのねじに歯車、輪に留め金。ひと目見ただけでくらくらするような細かいしかけでできている金属のそれが、人形の心臓部であることをフローラは知っていた。
 針の先よりも細い器具を操りながら、少女は音を立てて機械を組み立てていく。旋律を刻む金属音を心地よく聞きながら、フローラはまた口を開いた。
「新しい娘は、どのような子なんですの?」
 それに、少女は答えなかった。作業に集中しているのだろう。フローラのことも食事のことも忘れてしまったようで、そんな彼女にフローラは苦笑した。
(生まれてくるのが、どんな娘でも)
 食事がまだ温かいうちに主人が気づくようにと、フローラは盆をできるだけ彼女のそばに寄せておいた。
(わたしたちは、歓迎するだけ。それがどんな子でも、かわいい妹……)
 フローラは微笑みとともに、いまだ心臓部分だけの妹を見やった。少女の集中度合いからすると、妹が形を持って自分たちの目の前に現れるのは遠いことではないだろう。いったいどういう娘なのか、楽しみにしながら。
 フローラは、少女の部屋を辞した。

ご意見・ご感想

編集部

人間になりたいと願ったレプリカ・ドールは、
たったひとりで外の世界へと足を踏み出す
彼女が辿り着く先にあるものとは―――

永遠の命を持つレプリカ・ドールのエルミールちゃん!
右も左もわからない彼女を助けたのは、紳士・クリストフ君でした!
クリストフ君と出会ってドレスの着方や楽しい食事の食べ方、
そして愛し愛されることを教えられるエルミールちゃん( *´艸`)
大好きな人と、同じ時間を生きていくことを望んでいきます!

人間になるにはどうしたらいいの?
どうしても人間になる方法が分からないエルミールちゃんは次第に焦ってしまいます(;´・ω・)
果たして彼女は人間になれるのか―――?

初々しい2人の触れ合いやデート風景に
キュンキュン間違いなし!
溺愛紳士×心を持った人形のハートフルラブストーリー
ぜひぜひご堪能ください♪

2016年9月28日 2:46 PM

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