夢中文庫

国王は夜ごと淫らに寵妃を愛でる

  • 作家月森あいら
  • イラスト不破希海
  • 販売日2017/02/21
  • 販売価格500円

「ひどいこと、しないで」「しませんよ。……ただ」故郷に居場所をなくした第十王女ロキサーヌは貿易相手の国へ後妻として嫁ぐことが決まっていた。しかし彼女のもとに届いたのは婚約者の訃報。未来への不安を抱くロキサーヌを迎えてくれたのは、見目麗しい青年。彼は、嫁ぐはずだった国王の息子オディロン――。そして現時点での国王だった。繰り上がりのように婚姻話が進んでいく中、彼への気持ちが大きくなっていくロキサーヌ。あくまでお互いを護るための契約……それでも触れられた肌の熱は容易に冷めてはくれなくて……!?愛を確信できずにいる中、ロキサーヌに届けられたある情報によって、国を巻き込んだ恋物語は急速に動き出す――!

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序章
 その報せは、ロキサーヌにとってあまりの衝撃だった。
 思わず書簡を取り落としてしまったほどで、それは侍女のサンドラが拾ってくれた。
「なんというお報せでしたの?」
 なにも言わずにロキサーヌは、書簡をサンドラに手渡した。驚いたように彼女はそれを受け取り、目を通す。サンドラもまた、書簡を落としそうになっている。
「……まことなのでしょうか」
「このようなこと、わたしに偽りを告げてどうするの。わたしは……カストネル王国に、嫁ぐはずだったのよ」
 驚きのあまり詰まってしまった声で、懸命にそう言う。そんなロキサーヌの髪を、海風がさやさやとなびかせた。
 大きく船が揺れて、ロキサーヌは転びそうになる。とっさにサンドラと手を取り合い、転ぶことからは免れた。故国のレスコー王国を出て、ひと月。嫁ぎ先のカストネル王国までは、もうすぐだ。
 しかし当初の予定は、変わってしまった。自分の運命を思ってロキサーヌは、大きな不安が迫りあがってくるのを感じていた。
(わたしは……、いったい、どうなるの)
 微かに見える、霞(かす)んだ台地の稜線(りようせん)を見やる。そこは果たして、ロキサーヌを歓迎してくれているのか、否か。
(この先……どうなってしまうの)
 書簡を握る手が、わなわなと震える。自分の不安をあからさまに知らしめるわななきを懸命に抑え、ロキサーヌは首を振って、カストネル王国につながる台地を見やる。
(それでもわたしは、わたしに与えられた運命を生きるしかない)
 サンドラが、心配そうに見つめてくる。そんな彼女に微笑みかけ、ロキサーヌは体に力を入れる。
 そんな彼女を慰めるように、海風が吹いた。なおもさやさやと髪を揺らし、衣装を揺らし、そうやってロキサーヌは、もうすぐカストネル王国に到着しようとしていた。
第一章
 カストネル王国は、春のさなかだった。
 港にはたくさんの人々が、レスコー王国からの船を迎えに出ていた。この船が運んできたのはロキサーヌたち一行だけではない、小麦に大麦、野菜、花の種に羊毛。さまざまな貿易品も、海に揺られてやってきたのだ。
 出迎えの者たちの目的は、輸入品にもあったかもしれない。しかしやはり一番の目的は、白いドレスに身を包んだロキサーヌであり、民たちは歓声をあげて花嫁を迎えた。
(これほどに、歓声をあげてくれるということは)
 サンドラに手を取られ、船から下りながらロキサーヌは思った。
(王の死は、民には知られていないのかしら。まだ、秘密にされているのかしら)
 しかしカストネル王国の王が亡くなったということは、すぐに民衆、そして近隣諸国に知れ渡ることとなるだろう。
(そうしたら、その花嫁であったはずのわたしは? 故国に送り返されてしまうのかしら。ここまで来た甲斐(かい)もなく……)
 そう思うと、憂鬱な気持ちが湧きあがった。ロキサーヌはレスコー王国の王女ではあるが、側室の子だ。しかも母親の身分が低かったため王女としては中途半端な立場にあって、このたび結ばれた婚姻も、後妻としての結婚だった。
 優しかった母は、もう亡い。ロキサーヌには帰る場所がない。そのうえ夫となるはずだったカストネル国王の死とあっては、この先自分がどうなるのか。不安しか浮かばなかった。

ご意見・ご感想

編集部

どんなに気持ちが募っても、しょせんこれは契約でしかない…

婚約相手が死亡したことによって故郷にも、嫁ぎ先にも居場所のなくなってしまったロキサーヌ…
そんな彼女に手を差し伸べたのは、義理の息子になるはずだったオディロンという美青年だった――
ロキサーヌは後ろ盾を求め、オディロンは婚約者を求めての利害の一致で交わした契約に、
やがて胸が痛みだす…

言葉とは裏腹に優しい指先……
甘い時間はロキサーヌを蕩かすと同時に心を苦しめます…
冷たい言葉と溺れるような行為
どちらの彼が本物なのか……

そんななか、彼女の前には数々の試練!
女王として……そして1人の女として。
誰を選び、なにを得るのか。
そして彼女を取り巻く世界に抗う力はあるのか……

ドキドキとハラハラが止まらない!
国家を揺るがす!?恋愛ファンタジー☆
ぜひお楽しみ下さいヽ(`▽´)/

2017年2月21日 10:22 AM

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