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寵愛乙女は甘い恋に溺れて~陛下のおひざに失礼しますっ!?~

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  • 作家月森あいら
  • イラスト中田恵
  • 販売日2017/08/08
  • 販売価格500円

「あなたにちょっかいを出す者は、誰だって容赦はしない」突然異世界に飛ばされてしまったレナ。自分の身に何が起こっているのか把握する前に、近くから声が聞こえてきて…?「いいから、下りてくれないか」彼女はよりにもよってこの国の王・リュシアンの膝の上に落ちてしまったのだ! なんとか不審者ではないと説明するものの、実権を握る厳しい感じの「母上」に閉じ込められて!? 母上の目を盗んではレナに会いに来てくれるリュシアン。優しい彼にレナはどんどん心を開いていくが…。いつか家族に会いたい。元の世界に戻りたい。そんな気持ちが二人の距離を遠ざけて?お互いを想う心が切なくすれ違う異世界ラブストーリー!

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プロローグ
 ずき、ずき、と頭が痛む。
 反射的に玲奈(れいな)は、後頭部を押さえた。いったいなにが起こったのだろう。なぜこんなにも、頭が痛いのだろう。
 ゆっくりと目を開けると、視界は歪んでいたけれど、目の前を鮮やかな緑色が掠めた。玲奈は何度もまばたきをする。しかしその緑は消えることなく、玲奈の目の前にあった。
「な、に……?」
「誰だ、おまえは」
 続いて、男性の声がした。玲奈は大きく、目を見開く。
「どこから降ってきた。いったいどこの人間だ」
「わ、たし……?」
 玲奈は何度もまばたきする。徐々に霞んでいた目の前がクリアになって、視界に映っているのが男性の顔だということに気がついた。
「……は?」
「は、ではない」
 座っているのは、ごつごつとした感覚の上。玲奈は腰をもぞもぞさせて、すると目の前の男性の頬に、さっと朱が走った。
「な、んなの。あなたは、いったい……」
「それは、私の台詞だ」
 男性の声は、驚きに少し尖っているものの柔らかかった。優しい人なのだと思った──目に入っていた緑は彼の瞳で、アーモンド型のそれはきりりとつりあがってうつくしい。
 眉は濃く、髪と同じ琥珀色をしている。すっきりと高い鼻梁に、やや薄い唇。美貌の男性だと、ひと目でわかった。玲奈の胸が、どくりと鳴る。
「いいから、下りてくれないか」
「下りる?」
 男性は、困ったように眉根を寄せる。玲奈はきょろきょろとまわりを見まわし、驚いて目を見開いた。周囲がまったく見たことのない、まるで豪華な絵本から抜け出してきたような光景だったからだ。
 猫足の、金色のソファ。張ってある布には細かい薔薇の刺繍が施してある。本棚にはたくさんの分厚い、色とりどりの豪華なハードカバーの本が詰まっていた。背表紙に書いてある金色の文字はくねくねとしていて、まったく不可解だ。
「あの……」
 玲奈は、男性のほうを振り返った。そして彼と顔の距離が、とても近いことに気がつく。
「近い……」
「おまえがこんなところに乗っているからだ」
 男性は、手を伸ばしてきた。反射的にその上に自分の手を置き、すると座っているものがぐらりと動いた。
「きゃっ」
 そこで、気がついた。玲奈は男性の膝の上に座っていたのだ。
(道理で、顔が近いわけ……)
 え、と玲奈は気がついた。男性の膝の上に座っている。自分はいったい、なんということをしているのだ。
「きゃあああ、あ、ああ!」
「叫びたいのは、こっちだ……」
 呆れたように、男性が言った。

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