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強引専務が恋したシンデレラ

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  • 作家若菜モモ
  • イラスト
  • 販売日2017/08/25
  • 販売価格300円

親会社の黒瀬エンジニアリングの御曹司・佳貴は、スマートでエリートで、女子社員たちの憧れの的。美桜はそんな佳貴と秘密の交際を続けている。しかしながら心はいつも不安でいっぱいだった。なぜならあまりにも佳貴はハイスペックで、平凡なOLの美桜には釣り合わないと思うから。そんなある日、親会社の常務の娘と佳貴との縁談が進んでいると聞いてしまう! 激しいをショックを受けるが、佳貴の将来を思えばこれは良縁。なんの後ろ盾もない自分では、きっと……。ここは潔く身を引くべき――そう思った矢先、佳貴からプロポーズされてしまい!? 振り子のように揺れる美桜の心。どうすればいいの? 愛しているからこそ身を引こうとしたのに――。

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第一章 忙しい彼
「北原(きたはら)さん、おはよう。いつも早いね。君がデスクを拭いてくれるから助かるよ」
 まだ誰も出社していない朝、わたしが社内のデスクを拭いていると、渡航業務課の花田(はなだ)課長が少し疲れた様子で入ってきた。
 グレーのスーツが少しよれっとしている花田課長は三十五歳で独身。わたしが大好きな人は五歳年下だけど、そんなだらしない姿を見るとつい比較してしまう。
 わたしが恋している人は、いつもスーツ姿がビシッと決まっていて、疲れた様子なんてまったく見せたことがない、仕事においても有能な人だ。
「おはようございます」
 首を回しながら花田課長は窓際の自分のデスクへ行くと、椅子に腰を下ろした。
「あ~酒が抜けない……部長、強いんだよ。せめて昨日じゃなくて、金曜日の今日にしてくれればいいのに」
 ひとりごちる花田課長。
 朝なのに疲れ切った様子なのはお酒のせいなんだと、わたしは納得した。
「北原さん、コーヒーもらえる?」
「はい。少しお待ちください」
 わたしは小さく微笑んで、給湯室へ向かった。
 給湯室へ入り、急いでコーヒーメーカーに粉と水を入れてセットする。コーヒーが落ちるのを待っていると、一年後輩の小暮(こぐれ)恭子(きょうこ)がやって来た。一年後輩といっても、友達感覚の仲が良い関係。
「美桜(みお)さん、おはようございます。今日も早いですね。美桜さんより早く来ようと思ったのに」
 恭子ちゃんは残念そうにため息を漏らす。
「いいの、いいの」
 にっこり笑って、花田課長のカップを棚から取り出す。
 わたしは社会人になって今年三年目の北原美桜、二十五歳。あと半月ほどで二十六歳になる。わたしが勤めているのは、大手エンジニアリング会社の傘下である四十人ほどの社員が働く旅行会社。一般の観光客の旅行をお手伝いする部署もあるけれど、わが社の主となる業務は、親会社のビジネスマンたちの渡航手続きや旅客機やホテルの手配。
 親会社のビジネスマンたちは一ヵ月に何度も商用で海外へ行くから、わたしたちも年間を通して忙しい。そして恩恵もあり、お給料も他の旅行会社に比べると少しいい。
 花田課長のカップをトレーに置くと、恭子ちゃんがすかさずドリップされたばかりのコーヒーを注ぐ。
「美桜さんの髪型、ようやく見慣れてきました」
 以前のわたしの髪型は肩甲骨辺りまでの長い黒髪で、日曜日になんとなくイメチェンをしたくてヘアサロンへ行った。
 今は肩までの長さで、ゆるフワヘアになり、黒髪から嫌味にならない程度のブラウンになっている。
 わたしですら、鏡を見るたび、イメチェンした自分にまだ驚くのだから無理もない。
「似合っていないかな……まだ慣れなくて」
「いえいえ、よく似合っていますよ。以前のもステキでしたけど。最近、男性社員は美桜さんにだけ、愛想がいい気がしません?」
 恭子ちゃんはにっこり笑う。
「え? そんなことないよ」
「はぁ~数少ないわが社の独身の花田課長や木村(きむら)さんや、高村(たかむら)さんが美桜さんにモーションかけているのがわからないなんて」
「モーションって、そんなことないよ。気のせい、気のせい」
 そう言いつつも、確かに髪型を変えてからよく話しかけられるようになったのは気づいていた。でも、食事や飲みに誘われることもないから、ただ単に話しやすい雰囲気になったのかもしれない。前が話しかけづらかったんだなと思う。
「髪型を変えたときも聞きましたけど、何かあったんですか?」
 月曜日の朝、会社のいろいろな人から「何かあったの?」と、聞かれたが、ただ単にイメチェンしたくなった。それだけだった。
「本当に何もないんだよ?」
「彼氏さんに言われたとか、勘ぐっちゃいました」
「彼氏はいないって、知ってるでしょ?」
 そう恭子ちゃんに言いながらも、嘘をついていることが申し訳なくて、胸が痛む。
 恋人はいる。もう三年も付き合っているステキな人が。でも、彼は親会社である黒瀬エンジニアリングの御曹司で、専務取締役。黒瀬(くろせ)佳貴(よしき)さんはわが社でも知られているから、いろいろと詮索されたくなくて内緒にしている。
 この一週間、佳貴さんはドバイに出張していて、今日のお昼前に成田国際空港に到着する。
 明日の夜、彼とわたしは食事をする予定になっていた。

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