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腹黒秘書の言いなり~ゆゆしき事情を抱えた純情女社長~

  • 作家吉田行
  • イラスト弓槻みあ
  • 販売日2017/01/20
  • 販売価格500円

恋人同士になりたいわけではありません、契約を結びたいのです――
アメリカでMBAを取得した由里華は、榎コンツェルンのCEOだった父の急死によって日本に呼び戻される。
父の跡を継ぐはずが、重役達が決定会議をボイコット。このままでは事業を経営できない、悩む由里華を救ったのは秘書の友輔。
由里華の幼馴染みである彼までも、ライバル企業が引き抜こうとして……。
友輔は榎コンツェルンに残るための条件を提示してくる。
求めてきたのは由里華の体。なぜ?恨んでいるの?由里華は実家で幼い頃の話を聞き、友輔との出会いを思い出す。
約束したじゃない、守ってくれるって……。弄ばれるだけではない、二人の間に芽生えた気持ちは……?

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 青山に新しく出来た高層ファッションビルのオープンセレモニーが行われていた。広いガラス張りのドアの前に紅白のテープが張られ、何人かの関係者が並んでいる。
 真ん中にいるのはまるで女優のような華やかな女性だ。真紅の綺麗なミニ丈のスーツから七センチヒールのパンプスを履いた長い足が伸びている。
「きれいねえ」
「あの人が榎(えのき)コンツェルンの社長さん?」
 周りを取り囲んでいる見物人がため息をついた。歩道には人があふれ、皆美しい女社長に向けてスマホを向けている。
「では、皆さんテープに鋏(はさみ)を入れてください」
 司会の声に合わせて皆がテープカットをした。金の鋏を持ち、カットしたリボンを持って微笑む女性にカメラのフラッシュが集中する。
「では、榎コンツェルンのCEO、榎由里華(ゆりか)から皆様にご挨拶を申し上げます」
 マイクを受け取り、一段高い台に上がった由里華に関係者だけではなく通りすがりの通行人も注目している。
 長いブラウンの髪を柔らかくウェーブさせ、首元に大きな真珠のネックレスをつけた榎由里華は若く美しい女社長として就任当時からマスコミを騒がせていた。
「皆さん、本日は青山センタービルのオープンにご出席いただきありがとうございます。このビルは先代である私の父、榎光司(こうじ)の悲願であり……」
 由里華は二十八歳という年齢に似合わぬ落ち着きでスピーチを続けた。名門大学からアメリカでMBAを取得した彼女は若くしてすでに上に立つ人間の風格を持っていた。
 その側で一人の青年が彼女を見守っていた。CEOの第一秘書、眞木(まき)友輔(ゆうすけ)である。自分の主人を見守るその顔も俳優のように整っていた。
「このビルはこれから青山をさらに華やかに発展させることでしょう。我が榎コンツェルンは──」
 スピーチを続ける由里華の側で眞木友輔はちらりと腕時計を見た。そして胸ポケットに一瞬手を入れる。
 その時、滑らかに話していた由里華の言葉が一瞬止まった。
「その……一階に入っているブーランジュリーは国内初出店で……名前は……」
 テナントの名前を度忘れしたらしい由里華に眞木友輔がなにか囁いた。彼女はすぐ冷静さを取り戻して話を続ける。
「ヴンダバーです。意味は『素晴らしい』、皆さんとこのビルとの出会いが素晴らしいものになりますように」
 マイクを切ると、由里華は華やかに笑ってお辞儀をした。そんな彼女に観衆から惜しみない拍手が──秘書の眞木友輔からも──送られた。
「いい加減にして!」
 榎由里華は青山センタービルの最上階に作られた特別室にいた。窓一面がガラス張りですぐ側にミッドタウンが見える。
「どうしたんですか、由里華様」
 広々としたその部屋にいるのは由里華と友輔、二人だけだった。いずれは豪華な調度品が揃えられる特別室も今は真っ白なソファーが一揃え置いてあるだけだ。
「人前では止めて、言ったでしょう!」
 ふかふかのソファーに身を沈めた由里華は、先ほどの姿が嘘のように乱れていた。七センチの黒いヒールを脱ぎ捨て、グレイのストッキングに包まれた足を絡ませている。
 さらに、ぴったりと合わさった腿の間に手を指し込んでいた。仕立てのいいスーツのスカートがくしゃくしゃによれている。
「もう止めて! 強すぎる……」
「苦痛なら、ご自分で外してもいいんですよ」
 焦っている由里華とは対照的に、友輔は冷静だった。由里華は仕方なく自分でスカートを捲り上げ、ストッキングと繊細な若草色の下着を一緒に脱いだ。
 下着の中には小さなピンク色のローターが潜ませてあった。無線式で、遠くからスイッチを入れると細かく震え、淫らな欲望を湧き起こす。
 榎コンツェルンの女社長は、淫具をつけたまま人前に立っていたのだ。

ご意見・ご感想

編集部

やる気が空回り……?
いや、そうじゃない、使命感と誇りが彼女を突き動かす――。

由里華は榎コンツェルンを引き継ぎました、亡くなったお父様の意志を胸に。
そんな彼女に無慈悲な試練が待ち受けます――重役達の離反――

美しくて優秀な彼女への嫉妬が渦巻く世界の中で、
ただ一人味方であるはずの友輔……
味方?本当にちゃんと味方してくれる?
友輔の気持ちがわからなくて、読み進めながら由里華に負けず劣らず
ハラハラしてしまうこと間違いなし!!

求められるのは身体だけ、それが取引だから。

強気でブレない女社長
それを上回る強気で思慮深い(計算高い!?)美形秘書
ハイスペックな二人が織り成す「素直じゃない」愛と濃艶、
どうぞお楽しみ下さい♪♪♪

2017年1月20日 12:33 PM

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