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ナイショの関係~キスから始まる恋物語~

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  • 作家夕季麗野
  • イラストロジ
  • 販売日2016/12/08
  • 販売価格300円

短大を卒業後、実家で花嫁修業をしながら生活を送る里桜。養子の里桜を本当の子供のように育ててくれた両親の愛に応えるように、敷かれたレールを歩いてきた。そんな里桜のもとに、両親が持って来たお見合い話。突然の話に里桜は戸惑い、血の繋がりのない兄・恭助に「お見合いする事になったの」と報告するが、その日から恭助の様子がおかしくなった。ギクシャクする二人の間に、里桜が戸惑ったのもつかの間。ある日、里桜は恭助の部屋で突然抱き締められ、唇を奪われてしまう。「俺は、悪戯でこんな事をしたんじゃない」真剣な瞳で囁く恭助に、里桜の心は激しく揺れて――。…二人の固い絆が紡ぎ出す、甘く切ない「ナイショの恋」の物語。

プロローグ
──女の子は大人になったら、然るべき男性に見初められて、親元を巣立っていくもの……。
 私は、両親から幾度となく、こう言い聞かされて育った。
「里桜(りお)。あなたは女なんだから、立派な大学なんて行く必要ないのよ。そんなことより、花嫁修業をしっかり積んでおく事の方が、ずっと大事なんだから……」
 今にして思えば不思議だけれど、当時の私は、敷かれたレールの上を歩く事に躊躇いはなく、ただ大好きな家族が喜んでくれるなら良い……。その一心だけで、日々を過ごしていたように思う。
 高校も短大も、両親の強い勧めで都内の私立学校へ進学し、滞りなく卒業した。
 その後は特に夢も目標もなく、「花嫁修業」の名目で、家族と同居を続けている。
「私達は、里桜の幸せを願っているわ」
「里桜はいい子だな。さすが、私達の子供だよ」
 それは、ふわふわした綿雲の上に乗って宙を漂っているような、気楽で退屈な生活。
 なんでも両親の望むままだった私は、操り人形のようだった。
 そして、いつからか、分からなくなってしまったのだ。
 自分自身が、心から「結婚したい」と望んでいるのかどうか。
 私にとっての幸せが、本当はどこにあったのかを……。
第一章 お見合い話
「ただいま……」
「お帰りなさい。随分遅かったわね。遅れる時は連絡しなさいって、いつも言ってあるでしょう?」
──日も落ちたとは言え、時刻はまだ午後八時を回ったばかりだ。
(一時間残業になっただけで、そこまで心配しなくても……)
 里桜は、内心母の過保護ぶりに嘆息しつつ、靴を脱いで玄関へ上がった。
「みんな心配するんだから、電話くらい寄越しなさいね。嫁入り前の娘が一人で夜道をウロウロして、何かあったらどうするつもり?」
 確かに連絡しなかった自分が悪いかもしれないが、もう子供の頃とは違う。
 両親の事は大好きな里桜だったが、ある程度自由にさせて欲しいという不満もあった。
「さ、早くご飯にしましょう。お父さんも待ってるわよ」
「え? お父さん、帰ってるの?」
「ええ。あなたに大事な話があるんですって。久しぶりに、早く仕事を切り上げたそうよ」
 里桜の父・正孝(まさたか)は、大手商社の重役の一人。
 仕事の話は家庭では殆(ほとん)ど口にしない、寡黙で厳格な一面があった。
 特に、里桜が短大卒業後はより多忙になったのか、家で顔を合わせる回数自体少なくなっていた。
 食卓の時間に帰宅したのも数ヶ月ぶりだし、面と向かって話をするのも久しぶりだ。
(お父さん、一体何の話だろう?)
 里桜は、ほんの少しの不安を抱えながら、母の背中を追って廊下を歩いて行った。
「里桜、お帰り」
「……ただいま」
 正孝は、ダイニングテーブルの椅子にもたれて、新聞を読んでいるところだった。
 里桜がリビングに入ってくるのを確認すると、新聞をおもむろに丸め、テーブルへ置いた。
 母はいそいそとキッチンへ立ち、食事の支度を始めている。
「お父さん、話って何?」
「とりあえず、座りなさい」
 突っ立ったままで行儀が悪いと注意され、里桜は鞄(かばん)を空いている椅子に置き、正孝と向き合って座った。
「つい先日、いつも贔屓(ひいき)にして下さっている取引先の社長とそのご子息に、お会いする機会があった」
(なんだ、仕事の話かぁ……)
 里桜は、難しい事を聞かれなければいいけど……とぼんやり考えながら、正孝の次の言葉を待っていた。
 すると正孝は、腰掛けている椅子の下にあった紙袋を持ち上げて、中から何かを取り出す。
 A4版の大きさで、質の良さそうな皮の装丁が特徴的だった。
(なんだろう、アレ)
 里桜の疑問をよそに、正孝は再び口を開く。
「お互い家族の話をしている内に、すっかり意気投合した。ご子息が里桜に興味を持っている様子だったから、お前の写真を見せたんだが、いたく気に入って下さってな……」
「えっ? ちょ、ちょっと待って、お父さん!」
「お前と、直接会ってみたいとまで言って下さっている」
 珍しく饒舌(じようぜつ)に語る父だったが、里桜はさっぱり要領を得なかった。

ご意見・ご感想

編集部

「女の子は、立派な男性の元に嫁ぐのが何よりの幸せなのよ。」

そう言う両親の元、当たり前のように
実家で「花嫁修業」をしていた里桜ちゃん。

そんな気楽で退屈な日々に突如として飛び込んできたお見合い話。
どこか現実感を感じられない話に戸惑い、悩む里桜ちゃんは
優しく頼りになる兄・恭助さんに相談しますが……

止めようのない想いに胸を焦がす──
芽生えた想いが胸を突く──
すれ違うふたり想いが一つになり、一線を越える時…

流麗な文で紡がれる、甘く切ない関係に、
胸がキュゥンとなること間違いなしでございます~!

2016年12月8日 11:14 AM

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