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今宵のご指名はどちらですか、お姫様?~王子×姫×執事のラブ・ロマンス~

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  • 作家夕季麗野
  • イラストにそぶた
  • 販売日2017/02/10
  • 販売価格500円

ローゼマリーは、恋に憧れる純粋なお姫様。しかし、突然隣国の王子・アレクとの縁談が持ち上がり、戸惑いを隠せなかった。執事のレオンハルトに相談すると、「貴女に恋を教えて差し上げる」と囁かれる。艶やかな言葉と共に、寝台で執事の愛の指南を受けたローゼマリー。揺れる心を抱えたまま、アレクと対面する事に。明朗で心優しいアレクはローゼマリーに真っすぐな好意を告げるが、レオンハルトとの関係を知った途端、態度が豹変。ローゼマリーは、強引にアレクの腕に抱かれてしまう事に――。麗しい仮面の下に執着心を隠すアレクと、妖艶でクールな容姿の裏に、繊細な恋心を秘めたレオンハルト。ローゼマリーが選ぶ、運命の恋の結末とは……。

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~プロローグ~
──純白の砂岩と大理石とで造られたヴォール・シュトルツ城の佇(たたず)まいは、雑然とした王都の町並に咲く一輪の花のようだ。
 人々は彼の城を『白き楽園』と呼び、その城の中で育った可憐(かれん)な王女の事を、『薔薇の姫』と言う愛称で誉めそやした。
 一般市民なら誰もが憧れてやまない、王城での華やかで贅沢(ぜいたく)な暮らし……。
 目が眩(くら)むほどの財宝も、世界中の収集家が喉から手が出るほど求める珍品も、そこでは望むモノ全て手に入る。
 しかし、当の白薔薇の姫本人は、与えられた環境に一度も満足を覚えたことがなかった。
 現国王の一人娘として、時に過剰なまでの愛を受けて育った姫君は、王の許しなく外へ出る事は許されず、また、自分の理想や夢さえ持つ事が叶わなかった。
 姫が贅の代償に失ったのは、「自由」という貴重な財産だったのだ。
 不自由な檻(おり)での生活の中、毎夜の様に執事から語られ続けた愛の物語は、外の世界への純粋な憧れを加速させていく……。
 ──どこまでも白く穢(けが)れなき王女は、己の身を焦がすほどの恋の赤色を、密かに求め続けていた。
第一章 純潔無垢な白薔薇
「姫……。ロゼ姫、起きて下さい。もうじき国王様とお約束の時間ですよ」
「うぅ~……ん……。あと三分~……」
 目覚まし代わりの執事の声を夢うつつで聞いたローゼマリー・ヴォール・シュルツは、寝台から起き上がるどころか更にかけ毛布の奥へと潜り込んでいく。
 聞き分け無い姫の姿に嘆息した執事のレオンハルトは、ベッドサイドへ近づいて無理やり毛布を引っぺがしてやった。
「……うぅっ。何するのよぉ~……寒いじゃない」
 だが、ローゼマリーは往生際悪く、今度は枕を抱きしめてぎゅうっと小さく丸まってしまう。
「貴女のあと三分を待っていたら、折角淹(い)れた紅茶が冷めてしまいますので。これ以上駄々をこねますと、私も実力行使しか無くなりますが?」
 レオンハルトの唐突な低い声に驚いて、ローゼマリーがぱっと瞼(まぶた)を開いた時は既に遅く──。
「きゃ……? 何するのよっ、レオン」
 ローゼマリーの真上には、シーツの脇に手をついて自身に覆いかぶさっているレオンハルトの姿があった。
 金色の左目に真っ直ぐに見下ろされ、ローゼマリーの眠気はどこかに吹き飛んでしまった。
「……お、下りてっ! 今すぐベッドを下りなさいっ!」
 物心ついた頃から側に控えていた、執事兼・世話役兼・よき相談相手のレオンハルト。
 ローゼマリーにとっての彼は、共に成長してきた家族のような存在。
 十二の歳を数えるまでは添い寝の過去があるほどに仲が良い二人だったが、今のローゼマリーは立派な成人女性だ。
 ぶしつけに寝台に上がられては、動揺を隠せない。
(子供じゃないんだから、こんな起こし方しなくたって……!)
 密かに鼓動を逸らせつつ、ローゼマリーはレオンハルトのスーツの肩を押し返した。
「もうっ、どいて」
「心外ですね。言葉が届かぬ程熟睡してらっしゃる様でしたので、私が手ずからお起こして差し上げようと思ったのに」
「わ、分かったわよ。……すぐ支度するから」
 しぶしぶローゼマリーが呟(つぶや)くと、レオンハルトはニッと唇を吊り上げて笑い、やっと体を離してくれた。
(その得意げな顔はなに!?)
 朝から立腹のローゼマリーだが、レオンハルトはけろりとした態度だった。
「朝食の準備が出来ていますよ」とテーブルへ促す言葉も、平静そのもの。
(急にあんなに近づかれたら、ビックリするじゃない)
 ──ローゼマリーの間近にあったレオンハルトの視線は、鋭くて熱かった。
 女性も羨む美貌を備えた彼に顔を寄せられ、息がかかる程の至近距離で囁(ささや)かれたら、例え主従関係であっても戸惑ってしまうというもの……。
 折り目正しいブラックスーツの背中を睨(にら)みつつ、長い髪を手ぐしで整えたローゼマリーは、嘆息と共にベッドから下りたのだった。

ご意見・ご感想

編集部

望めばすべてが手に入るような、何不自由ない暮らし…
『白き楽園』と呼ばれる城の中で、
純真無垢な姫が望んだのは──「恋」を知ることだった…

恋を知らぬまま、隣国の王子との婚姻を迫られた
ノルンベッセ王国の第一王女、ローゼマリー姫
年頃の女性ならば誰でも「恋をしたい」と望み、そしてそれを叶えるもの
しかし、そんな細やかな望みさえも叶えられない……
それが王女としての立場だと自覚しながらも、
哀しみを抱えたローゼマリー姫に与えられたのは

異なる虹彩を持つ執事の、
甘美な言葉と優しくしなやかな指──

澄んだ眼差しを向ける王子の、
真っ直ぐで迷いのない言葉と力強い腕──

異なる色をもつふたりが、
何色にも染まっていない白薔薇の姫の心をかき乱し、惑わす…

一度知ってしまった感情と官能から逃れる術を知らない姫は
どちらの色に染められるのか……ぜひご覧ください!

2017年2月10日 12:16 PM

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