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売れっ子作家とラブシーンのお勉強っ!?

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  • 作家ひなの琴莉
  • イラストまろ
  • 販売日2015/8/25
  • 販売価格300円

「きみさ……高校生の時、俺のこと好きだったでしょ?」出版社に務めるユイが担当になったのは、高校時代に片思いをしていた神田だった。売れっ子作家になった彼はオーラを放っていて遠い世界に住んでいるみたい。仕事で会うたびにユイは好きだった気持ちを思い出す。封印していたのに…やっぱり、好き。ある日、夜中に呼び出されて打ち合わせを終えたユイは神田の家で眠ってしまった。目を覚ますとキスをされて「拒否するなら書かない」と言われてしまい身体の関係になってしまう。こんな関係イケないと思いつつも、快楽に溺れてしまい、好きな思いは膨らんでいく。しかし、神田はなにを考えているかわからなくて…。再会系ラブストーリー。

プロローグ
身体が熱くなってしまう。
顔を左右に揺らせばキスから逃れられるのに、拒否できない。仕事とか関係なしにユイの胸はときめいてしまう。
唇が離れると至近距離で目が合った。寝ないで書いていたのか目の下にはクマがあり、薄っすらとヒゲが伸びている。目を細めてユイの頬を手の甲で撫でた。
「空乃先生、なにするんですか!」
「キス」
当たり前のことのように言い返されてしまう。
甘い空気に包まれているけれど、立場上キスを続ける訳にはいかない。それにキスよりも行動が進んでしまっては困る。
「軽々しくキスなんてしないでください!」
少し強い口調で言うユイの腕が頭上に持って行かれて押さえつけられた。
「なんで?」
「……当たり前のことじゃないですか」
「ふーん」
ユイの手を押さえつけていない方の手でジャケットのボタンを外していく。本気で抱こうとしているのだと思いユイの瞳には焦りの色が浮かぶ。
「嫌っ。なにするつもりですか……!」
「誘ってきたのはそっちでしょ。可愛い寝顔を見せておいてさ」
「そ、そんな! 誘ってなんかいませんっ」
抵抗するように身体をよじらせて脚をばたつかせる。
口元をクイッと上げて冷笑を浮かべた。
「あっそ。拒否するなら書かない」
「えっ……?」


「忙しい時に悪かったな」
暑いのだろうか?
スーツのジャケットを脱いでから、編集長は椅子に腰を掛ける。
打ち合わせ室に呼び出しされた伊川(いがわ)ユイは、なにを言われるのかと眉間にしわを寄せながら言葉に耳を傾けた。
「なんでしょうか……?」
「そんなに不安そうな顔をするな」
「個室へ呼ばれたら誰だって緊張します」
もったいぶってなかなか言わない編集長を怪訝な表情で見つめる。
「実はだな。前回、伊川に担当してもらった作品の売上がよかったんで、またきみにお願いしようと思う」
「本当ですか!」
ユイは、安堵の笑みを浮かべる。
編集長は、クスっと笑って身を乗り出す。
「ああ、作家の名前を聞いて驚くなよ」
編集長は口を尖らせて澄まし顔をした。その表情からして売れっ子作家なのだと予想がつく。緊張と期待感で胸が高鳴るユイは編集長を見つめた。
「……どなたでしょうか?」
「空乃一流(そらのいちる)だ」
腕を組んで背もたれに体重をかけた編集長は、顎を上げて「どうだ」とでも言いたそうに、にやりと笑った。
「すごいです! 空乃先生がうちの出版社から出すなんて夢みたい。それに、担当が私なんて……プレッシャーが大きいですが頑張ります。編集長、ありがとうございます!」
「ただし!」
空気が変わりユイは差し出しかけていた手を引っ込める。
編集長は、ユイに顔を思い切り近づけてきて睨む。ユイは編集長の迫力に息を止めて唾を飲んだ。
「作家の名前を聞いただけで我が社がかなり力を入れているのは言わなくてもわかるよな?」
「もちろんです」
「先生の機嫌を損なうことなどは絶対にするなよ」
「は、はい!」
「もしも、契約をやめるなど言い出した暁には……クビを覚悟しろ」
「えっ……? ク、クビ」
職を失ってしまうのは勘弁してほしい。
仕事を任せてもらえるのはありがたいが、大きなプレッシャーがのしかかる。
固まってしまったユイに「クビは冗談だが」と前置きすると一呼吸置いて言葉を続けた。
「それくらいの気持ちで接してくれってことだ」
「が、頑張ります!」
「じゃあ、よろしく頼んだぞ」
編集長はユイの背中をポンと叩いて出て行く。
「ありがとうございました!」
ユイは、頭を深々と下げた。
(うわ……どうしよう。空乃一流先生の担当になることができるなんて夢みたい)
ひとりになった打ち合わせ室でユイは、現実だとは思えず火照る頬を手で抑える。そしてしばらくその場で呆然としてしまった。
いつまでも浮かれてはいられない。早速資料を集めて企画書を作らなければ。空乃にも近いうちに会うアポを取らなければならない。
頬をパンパンと叩いて気を引き締めた。

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