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因襲御曹司の執着愛に溺れる贄(下)

  • 作家藍井恵
  • イラスト海月あると
  • 販売日2020/3/13
  • 販売価格800円

【通常版】800円 /【イラスト特典付き】900円

千晴は遠縁の優斗や姉の妨害にもめげず、俊介と結婚までこぎつけ、前時代的な「盈月の儀式」も二人で乗り越える。だが、甘い新婚生活は長くは続かなかった。同級生たちの噂話を偶然耳にし、俊介との出会いから結婚まで全てが仕組まれていたのではないかという疑惑を持ったのだ。何が本当で嘘なのか、混乱する千晴。セレブはやっかまれるものだと甘く諭す俊介を信じていいのだろうか。知らないことを知りたい、ただその一心で、千晴は俊介に内緒で優斗に会うために京都へと向かう。とうとうこの婚姻の背景にある「因襲」を知ってしまった千晴はある決意をし……!? いちゃらぶ番外編もたっぷり収録!

第十一話 儀式~今宵はまるで処女のように~
 幸せな日々はあっという間に過ぎ、十月になる。修士課程の院試が終わり、仲人が両家を行き来する正式な形での結納が行われた。
 そんなある夜、俊介(しゅんすけ)は義父と酒を酌み交わしていた。
「全て順調だな」
 義父がお猪口(ちょこ)をくいっと傾けて一気飲みしたので、俊介が徳利で酒を注ぐ。
「ええ。お陰様で。ちなみに結納金はおいくらなんです?」
「四億」
「それはそれは……」
 俊介が想像していたより高額だったが、なるべく驚きが顔に出ないようにした。
「清宮(せいみや)家と月出(つきいで)家はこうして支え合ってきたんだ」
「そうですか……」
 裏で、俊介が義父とこんな会話をしていることも知らずに、千晴(ちはる)は修士課程の院試に合格し、幸せの絶頂にいた。
 だが学食で隣に座る莉奈(りな)に「千晴は今年のイブ、婚約者と過ごすんでしょ?」と、悲しげな視線を投げかけられると、千晴は昨年までの辛さを思い出してグッとなった。
 莉奈は、毎年クリスマスイブに居酒屋で、ともにクダを巻いた明田女(めだじょ)仲間の一人だ。いわば戦友。
「でも夜中には帰っちゃうから、夜中からのオールには参加させて?」
「え? どっかに泊まるんじゃないの」
「おうちが厳しくて結婚まで清い関係でいないといけないんだ」
 と、千晴は答えたが、棒読み状態だったかもしれない。
「嘘ー! 何それっ! 彼氏、社会人なのにー!?」
「私は処女です」
 千晴は莉奈を裏切るような気持ちになりながらそう答えた。アイアムアガール並みの棒読みになっていたような気がする。
 千晴は友人に嘘をつくたびに後ろめたく思うのだが、彼女たちはそこで優越感を抱くらしく「やだー、千晴、まだ子どもー」と、うれしそうになるので、嘘も方便のような気がしてきた。
 逆に「彼氏に大事にされている証拠だよ」なんて言われるほうが複雑な気持ちになってしまう。その説で行くと千晴は婚約者に全く大事にされていないことになる。
「あ……はぁ……あ……あぁ」
 千晴の部屋のベッドがギシギシと小刻みに揺れる。ベッドの端で、“彼氏に大事にされていない千晴”は股を開かされ、彼氏に欲望をぶつけられていた。ベッドの上にいるのは千晴だけで、床に立つ俊介が、仰向けの千晴に腰をぶつけている。そのたびに千晴は後退していく。
「んっ……しゅん……はぁ……あっ……んん」
 俊介がベッドに乗り上げ、片膝を立てた。千晴は両脚を彼の腰にからめ、シーツを掴んで腰を浮かせる。
 俊介が覆いかぶさり、乳頭にかぶりついてくる。千晴は顎を上げて喘ぐことしかできない。
 俊介が胸から唇を離す。
「千晴……」
 切なげに彼女の名を呼び、すでに剛直で奥まで埋め尽くしているというのに、さらに先があるかのように、俊介がしなやかに背を反らせて腰を押しつけてくる。
「しゅん……すけ……ふぁ……ぁ……」
 これ以上近づけないのに、近づきたい、そんなセックスだった。だが、二人の間には0・1ミリのゴムの壁がある。
「は……あぁ!」
 千晴は絶頂を迎えた。

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