夢中文庫

美しき女装王子の男装騎士への密やかな誘惑

  • 作家江本マシメサ
  • イラスト夢咲ミル
  • 販売日2020/11/10
  • 販売価格800円

従属国バルテレミーの王女でありながら、ジール王国王太子の護衛騎士を務めるエレオノールは女性から絶大な人気があり、親衛隊が存在するほど。そんなエレオノールはある日、王太子からある任務を命じられる。その内容とは、第三王子グラシアンを誘惑し、恋愛対象が女性であるのか、男性であるのかを探るというもの。聞けば、グラシアン王子は華やかな女装姿で日々を過ごし、色恋沙汰には全く興味を示さず縁談を断ってばかりいるのだという。無謀な内容に思わず絶句するエレオノールだったが、辞退することもできず仕方なく任務にあたることに。誘惑などできるわけがないと思っていたのだが、意外にも王子はまんざらでもない様子で……?

第一話 男装騎士は、王太子の無茶振りに困惑する
 ジール王国一、モテる騎士がいた。
 それは、ジール王国の従属国バルテレミーの王族エレオノール・ド・ギユメットである。
 銀を紡いで磨いたような髪はうっとりするほど美しく、澄んだ青空のような瞳は正義感と誠実さを感じる輝きがあり、整った目鼻立ちは芸術品とも言われている。
 颯爽と歩く姿は、百合の花の如く。誰もが見とれ、心を奪われてしまう。
 女性から絶大な人気があり、王宮の侍女を中心とする“エレオノール様親衛隊”があるほどだ。
 親衛隊の活動である、茶会や慈善活動、食事会にも必ず顔を出すので、人気は高まる一方だ。
 エレオノールは“レオ様”と呼ばれ、親愛と憧れを一心に受ける存在である。
 そんなエレオノールは同じ年、二十一歳の王太子フランシスの護衛騎士を務め、常に付き添っている。
 王太子フランシスは金色の巻き毛に、灰色の瞳を持つ美丈夫だ。
 そんなフランシスとエレオノールが並ぶ姿を見た人々は、“太陽と月が、同時に地上を照らしているようだ……!”と熱いため息をついていたのだった。
 ジール王国を訪れた姫君は、決まってエレオノールに恋をした。
 しかし、エレオノールは姫君達の想いに応えなかった。
 否──応えようがなかったと言ったほうが正しいのか。
 なぜならば、エレオノールは“女性”だから。
 すらりと高い身長に、端正な顔立ちをした青年に見えるエレオノールだったが、バルテレミー国の王女なのだ。
 十五の春、忠誠の証としてジール王国へやってきたエレオノールは、国内の貴族と婚姻を結ぶ予定だった。
 しかし、あまりのすばらしい偉丈夫っぷりに王太子フランシスが、「誰かと結婚させるのはもったいない。是非、私の護衛騎士にしたい」と言い出したのが始まりである。
 彼女の父親であるバルテレミー王は「こんなはずではなかったのだが……!」と頭を抱えた。だが、王太子フランシスの熱心な説得により、バルテレミー王は条件付きで渋々許可を出したのだ。
 条件というのは、結婚適齢期になったら帰ってくること。
 それから、数年の月日が経った。
 バルテレミー国での女性の結婚適齢期は十八歳。エレオノールは二十一歳なので、とうに過ぎている。
 バルテレミー王より、もう何年も「エレオノールよ、帰ってこい」という手紙が届いていた。だが、王太子フランシスが引き留めていたために帰国できていなかったのだ。
 その状況にも限界がきていたらしい。結婚をさせる気がない娘を、ジール王国へ置いておけないと、バルテレミー王が珍しく怒りを露わにしているようだ。
 温厚な人物として名高いバルテレミー王は、エレオノールを政治の駒として見ていなかった。可愛い娘の一人として、溺愛していたのだ。ジール王国へやるのも、当初は渋っていたくらいである。
 バルテレミー王は王太子フランシスに宛てた手紙で、エレオノールを返さないのならば兵を引き連れて迎えに行くとまで書いていたらしい。

オススメ書籍

難攻不落な部長に、けなげな人魚姫は今日もドキドキさせられています

著者田崎くるみ
イラスト炎かりよ

お前にとって俺がたったひとりの相手だろう――横田紗耶香二十五歳、大手食品メーカー勤務。親友の有住は会社の先輩に溺愛され、もうひとりの親友未知は優しい御曹司と結婚。ふたりとも幸せそうで嬉しい!最高の親友に恵まれ、重要な仕事を任されるようになり張り切る紗耶香。でも完璧な彼女にもコンプレックスが。女性から妬まれ、男性から心ない視線を向けられ嫌な思いをしてきた。それを一蹴したのが七瀬圭司。自分にも他人にも厳しいが部下思いの部長で、紗耶香は入社前から彼のことが大好き。親友に勇気づけられ告白を決意した矢先、七瀬に断れないお見合い話が持ち上がって!?ずっと抑えていた本気の恋心を紗耶香は伝えることが出来る?

この作品の詳細はこちら