「それに、私にも何か分かることがあるかもしれません。聞くだけなら『ただ』ですよ」元町にある、しおりのみを取り扱う一風変わった店『しおり・MIYAMA』周りの店とは違い不定期に開店する店に訪れたのは、梅の香りのしおりを探しに来た老夫婦だった。しおり以上に求めるなにかを感じ取った店主は、探し主である老父の話を聞くのだが、そこには意外なわだかまりがあった。店主はなんとか求められている「香り」を探し出そうとするが、トラブルが発生し……。思い出や想いが詰まった「しおり」が刻む、拗れたお客様たちの少し奇妙で心温まるストーリー。