夢中文庫

ヒドいヤツと。

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  • 作家朝陽ゆりね
  • イラスト不破希海
  • 販売日2017/04/07
  • 販売価格300円

いい子だ、願望かなえてかわいがってやるから――
なんて自分勝手なの、こんなヤツだったなんて……。
入社六年目の曽我宏子は倉庫の奥で資料を探していたが、後から入ってきた社員が宏子に気づかず電気を消してしまう。
真っ暗な中脚立から落ち気を失う宏子。電気を消したのはイケメントリオの一人、石原黎だった。
石原は宏子をお詫びのディナーに誘う。断っても強引に、しかも他の社員からの印象を良くした状態で。
実は俺サマ暴言を吐く腹黒オトコで!?
女性に不自由しないはずの石原だがなぜか宏子に執着する。
彼いわく、宏子は二大条件をクリアしているらしい。
そんな勝手ばかり言われても困る!!
反発する宏子はいつしか彼に惹かれてゆき……?

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「まったく! これじゃあ、ぜんぜんわからないじゃない!」
 曽我(そが)宏子(ひろこ)は狭い倉庫の中で、脚立のてっぺんに座っていた。分厚い伝票の束を膝の上に置いて繰っている。
 倉庫といっても埃っぽく汚い建物や物置小屋ではない。高層ビルのフロアを仕切った細長い資料保管場所で、各事業部が保管用資料を置いている。整理整頓さえしていれば至ってきれいな場所である。整理整頓さえしていれば──。
 幸か不幸か、宏子はその整理整頓が好きなタイプだったので、配属されてから自分の所属する事業部の棚は完璧にしていた。しかしながら他事業部までは手を出せないので、他の場所は見事な惨劇状態になっている。
 とはいえ、今、ボヤいているのは整理整頓のことではない。膝の上にある帳簿のことだ。伝票に貼るべき領収証の類が別紙参照になっていて、その別紙がどこにあるのか指示もなにも書かれていないのだ。
(つーかさぁ、だから問い合わせが来たんだろうね。これ、探すの大変だわ)
 はぁ、とため息を落とした時、扉が開いた。宏子は反射的に顔をそちらに向けた。ワイシャツ姿が一瞬視界に入った。だがすぐに視線を膝の上に戻した。
 ガタガタガタ、音がしている。さっき入ってきた男がなにかやっている。
(うるさいなぁ)
 そう思った時だった。
 パチン──と音でもしたような錯覚。一瞬にして周囲が真っ暗になった。
「な──」
 さっきの男が倉庫を出る際にスイッチをオフにしたことを悟るも、脚立のてっぺんに座っているのですぐには動けない。
(ちょっと待ってよ!)
 戻ってこい! 電気つけろ!
 そう叫びかけた時、膝の上の分厚い帳簿が揺れて落下した。
「あっ!」
 真っ暗な中、膝から感じる重みを追おうとしてバランスが崩れる。脚立が大きく揺らいだ。
「え! ちょ──」
 両手が宙を彷徨うが、なにもつかめない。
 視界は真っ暗でなにも見えない。
(たすけて──!)
 声は出なかった。助けて、という言葉が脳裏に浮かんだ時には、体がどんな状況になっているのかさっぱりわからなかった。
 ふわりと浮いたような気がする。
 大きく投げ出されたような気がする。
 ガツン!
 痛みが走るが、一瞬のことで、意識はそのままどこかへ行ってしまった。
*****
「曽我さん、まだ倉庫なんですか?」
「じゃないの?」
「遅すぎません?」
「あー、確かに」
「ちょっと見てきます」
*****
 救急車。
 救急隊員が担架を持って慌ただしく走ってくる。
 フロアには各事業部のスタッフが何事かと集まっている。
「なにかあったんですか?」
「靴下事業部の人が倉庫で倒れていたんだって。脚立が転がっていたから、上から落ちて棚で頭打ったみたいだって」
「倉庫?」
「あぁ。真っ暗な中で倒れていたそうでさ。どうも後から来た人間が、確認せずに電気を切って出ていったみたいだ。靴下事業部の棚って倉庫の奥のほうだろ? 電気をつけずに入るなんてありえない。だから後から来た人間が、中に人がいるのをうっかり忘れて電気を切ったとしか考えられないって話で。本人は脚立の上だし、どうにもできなかっただろうし。真っ暗な中で降りようとして失敗したんじゃないのかなぁ。なにもなければいいけど」
「────」

ご意見・ご感想

編集部

あなたのおっしゃる通りです――
痛い思いをした宏子が原因を作った黎に文句を言えば、
彼は紳士に&真摯に↑のようなお返事をします。

あれ、礼儀正しいイイ人じゃないか??
……そんなわけないのです、油断大敵とはこのこと。
そこからの黎はぶっ飛びレベルの俺様っぷりを発揮します、
「遠慮」って言葉、彼の辞書にはないのかしら∑(`□´/)/

宏子の話聞いてる? 彼女の意見尊重してる??
潔いほどの自分本位さがある意味清々しい黎、
YES以外の返答は…ゆ、許されません…でしょうか…(ソワソワ)

しかし宏子は丸め込まれる系女子じゃなかった!!

ん? ぶつかり合う二人の気持ちに変化が感じられますね…
全くかみ合わなかった筈の会話、
もはや黎の言葉だけで何もかも決まってしまうかと思いきや、

怖いか? 俺だって怖いよ――

二人の間に何があったのか、どう変わっていくのか……
気付けばヒドいアイツと勝気なアノ子に夢中☆
彼らの向かう先を感じて&見守って下さいませ!!

2017年4月7日 8:43 AM

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