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乱れる愛、咽び泣く 闇の花3 ~祠☆闘士シリーズ~

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  • 作家朝陽ゆりね
  • イラストもなか知弘
  • 販売日2015/12/08
  • 販売価格700円

『希代の術師』と謳われた祖父が残した膨大な日記。相田透子は、表の世界では医者だが裏の世界では除霊師として生きていた。日記には共に暮らす警視庁捜査員田神涼と、その後輩斉藤との関わりのヒントまでも記されていて…。涼と生きていくことを固く誓った透子は思い切って自宅をリフォーム。引越しの荷物を二人で片付けようとした矢先、涼が事件で呼び出されてしまった。ホスト殺害事件に駆り出された涼は、ホストクラブ『Stand Guys』の秘密に迫る。覚悟を決めて最奥部に入り込んだ涼が見たのは、両刀使いの権力者日高の姿。一方、その日高と因縁の深い畑中に拉致されてしまった透子。畑中は実は術師だった。透子の式神に導かれ、涼は透子を救い出せるか?!

1、激情の枷
 一ヶ月にわたるリフォームの末、ようやく引越業者が荷物を運び終えて帰っていった。
 相田(あいだ)透子(とうこ)はホッと息をついた。亡き祖父が遺した資料を引き取ったはいいが、収納する場所に困り果てたのだ。また一人で暮らすために手に入れた家は、恋人の田神(たがみ)涼(りょう)が転がり込んできて、それでなくとも面倒が多い。だから思い切ってリフォームに踏み切った。最新の技術を以てすれば、間取りも簡単に変更できる。
「なかなかのもんだな。寝室はこだわっただけあって使いやすそうだ。なんていったって広いし」
「そうね」
「なぁ透子、ずっと一緒に暮らすんだからさぁ、籍入れようよ。大きな顔して自分の家だって言いたいんだ。お前のことも、女房だって言いたい」
 後ろから透子を抱きしめる。
「なぁ」
「……」
「俺はごくフツーの凡人だから、結婚もしたいし子供も欲しい。俺の子を産んでくれ」
「……」
「それに警部補にも昇格したんだ。お前が医者や除霊師を辞めても余裕で食わせていける」
 透子はしばし黙り込んでいたが、やがてその手を振り払い、ムッとしたように続けた。
「その話をする前に、やらなきゃいけないことが山積だわ。この荷物の山、早くなんとかしてくれない? それに自分の家だって言いたいなら、リフォーム代払ってよ。一千万かかったのよ、一千万! 建ててまだ間がないのに、こんな大金注ぎ込んでリフォームだなんて、半分は涼のせいなんだからね!」
 この居候は仕事柄忙しくて、まったく手伝ってくれない。言葉で透子を労(ねぎら)うだけだ。
「今日は頑張るって」
「リフォーム代は?」
「ははは、わかってるよ。でも半分にして」
 笑いながら透子の頬にキスをし、運び込まれた荷物に向かった。
 表向き、医院を開業している医者の透子は、これを本業と言っている。だが、実際は裏の家業のほうが収入はいい。代々神主を生業としていた家系だが、その裏で除霊師として存在していた。透子も当然その血と力を色濃く受け継いでいる。その証拠に、透子には霊が視えた。
 透子のかけている流行を無視したダサいメガネは視力のためではない。幼い頃、霊が視えると泣く透子のために、『希代の術師』と謳われた祖父が渾身の力を以てして作った代物だった。これをかけると霊が視えなくなるのだ。そんな透子は、術師として修行に励み、表の世界では医者、裏の世界では除霊師として生きていた。
 透子の両親は幼少の時に他界している。残った祖父と暮らしていた。その祖父も中学二年の時に他界。以後は母方の叔母に引き取られ、北海道で暮らした。その叔母も大学卒業間際に病死し、透子は医者になると東京に戻ってきた。生まれ育った場所の近くに医院を開業したのだ。
 一方、共に暮らしているのは警視庁刑事部捜査第一課に籍を置く捜査員、田神涼。中学二年の時に京都から東京に引っ越し、透子と三ヶ月間だけのクラスメートになった。今から約三年前、事件をきっかけに再会。そのまま居ついてしまった。
 バタバタと片づけに取りかかる。大型の家具は引っ越し業者が整えていったものの、それ以外のものを涼が運んだり動かしたりしていた。
 そんな時、涼の携帯が鳴った。それを透子が嫌そうな目で見る。涼は透子がなにを言いたいのか察しながら、携帯を取った。

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