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あまえてほしいの

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  • 作家あゆざき悠
  • イラストまろ
  • 販売日2016/04/06
  • 販売価格400円

頼られたい、甘えられたい、そんな彼が恋愛の対象。頼られることに歓びを感じる坂井美咲は「美咲さんといると、ダメになる」と同じ理由で振られてしばかり。今回もダメか……と落ち込んでいる美咲の元に、以前パートナーを組んでいた後輩の前田智紀が期間限定で支社からやってきた。なにかにつけてじゃれついてくる智紀に「この男は違う。甘えてくる振り、じゃれつく振り。何もかもがどこかしらウソ臭い。特に彼のあの笑顔がウソ臭い!」と苦手意識からストレスな日々。「からかわないで」と智紀を一蹴するも、ひょんなことから一夜を共にしてしまい、美咲の方がドキドキと意識してしまう。「タイプじゃない」と呪文のように唱える美咲だが――。

プロローグ
 梅の香りが漂う公園ではこの時期になると、夕刻から梅の木がライトアップされる。期間限定のデートスポットだ。
 たくさんのカップルがいる中、その男はぴたりと足を止め、隣を歩く女の腕を掴んだ。
「どうしたの?」
「話があるんだ。美咲(みさき)さん」
「話──?」
 彼女はその話の内容をすぐに悟った。自分よりも背の高い男の顔を大きな瞳でジッと見つめる。
「俺──美咲さんといると、ダメになる」
 その一言に彼女はまたか、と思ってしまうのだ。それでも顔をあげ、彼の言葉を待つ。大きな瞳が揺らぐことなく、彼の顔に向けられていた。
「美咲さんのこと、すごく好きだ。好きだけど、俺──俺だって、美咲さんを守ってあげたくなるし、相談に乗ってあげたい。でも」
 一息つき、彼は彼女から顔を逸らした。
「一度も頼ってくれなかったじゃないか。俺ばかり甘えて──それって、男としてどうなんだって。俺、もっとしっかりしなきゃならないんだ。後輩の育成だってあるのに、頼ってばかりじゃダメだって」
 彼女は言葉を紡ぐことはしなかった。ただ、苦痛に歪む彼の顔をジッと見ていた。
「美咲さんに頼ってばかりいたら、俺、本当にダメになる」
 だから、別れたい。その言葉を紡ぐのが辛いのだろうか。彼は唇を震わせていた。その様子を見てしまった彼女は、ゆっくりと口を開いた。
「わかったわ。ごめんね。悩ませてしまっていたのね──気付いてあげられなくてごめん。今まで、楽しかったわ。本当にありがとう」
 彼女が弾き出した言葉に、彼は頭を横に振った。
「ほら、今だってそう──俺が言うべき言葉をすべて美咲さんが言っちゃったじゃないか。俺、たぶん──楽しかった。すごく好きだった。だけど、今は苦痛だ。男として何もできないって言われたような気がして」
 そんなつもりはない。だが、彼女は口を閉ざすしかなかった。彼は彼女を置いて、走り去ってしまったのだ。
「今回は大丈夫だと思ったのになぁ」
 ゆっくりと歩き出した彼女は、涙さえも出ない。こんな恋の終わり方は一度や二度ではない。
「だって、甘えられたいんだもの。頼られたいのよ」
 ボソッと呟いた彼女は、小石を蹴る振りをする。
 いつだって同じことの繰り返しだった。頼られたい、甘えられたい、そんな彼が恋愛の対象。頼られることに歓びを感じるのに──。
 そんな彼女に近付いてくる男たちは今の彼のように彼女の元を去っていくか、本当にダメな男になるかのどちらかだ。
「今回は、結婚まで考えていたのにな──」
 ボソッと呟いても虚しさが残るだけ。彼女はなぜか、涙一つ零さなかった。

ご意見・ご感想

編集部

からかわないで!!全然タイプじゃないのにドキドキしちゃう!?
頼られたり甘えられたりすることが大好きなしっかり者の美咲さんが主人公です。
会社では上司からも後輩からも頼られっぱなしで大忙しなところに、
元パートナーの智紀君と期間限定で一緒に仕事をすることに……

じゃれてくる智紀君だけど、なんかウソくさい!
真意がわからず混乱してしまう美咲さんは智紀君に誘われるままに……
一筋縄ではいかない腹黒男子に翻弄される美咲さんがもう可愛くて可愛くて♪
なんと、前作『愛しあってますっ?』からの友情出演も……

社会人女子は共感、そうでない方もついついうなづいてしまう女子の心理をお楽しみください!

2016年4月6日 6:11 PM

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